014 黒い液体
「二人とも座れよ。といってもオサリムはカウンターの上でテキトーに頼む。何か飲むか?ここは両方の世界の理が共存する空間だ。どっちの世界のモノも俺の知識にあれば出せるぞ」
ウルスカにカウンターチェアを勧め、座るよう促す。続いてロンググラスとショットグラスを生成。各々にロックアイスとクラッシュアイス少々を入れて注文を待つ。
「酒の方がいいか?若干酒には早い時間だが別に構わねーよ。そのうち酒の種類も増やす。もっとも俺は舐める程度の下戸…」
「アキト!私是非とも飲んでみたいモノがあります」
「お、おぅ…」
やたらと食い付きがいいなウルスカの奴。そんなにキラキラ目を輝かせてのリクエスト、一体なんだ?
「和也さんの世界でモノを冷す箱の中に常に常備されていた黒くて泡の出る美味しそうな水…アレを飲んでみたいです」
「黒くて泡の出る水ねぇ…」
そんなの1つしか思い当たるフシはない。が、飲みたいモンかねぇ?
「いつも美味しそうに召し上がってらっしゃいました」
「ワシも見たことはある…じゃが黒い水じゃぞ。身体に悪そうではないのか?」
まぁ身体に良いものではないかもしれないが、何だろうと適量を越えて摂れば毒になり得る。
「紅茶だってモノによっては黒いだろ?色が濃かったり、渋かったりするじゃねーか。御希望のモノはそこまで身体に悪いわけでもない。が、まぁ飲んでみて気に入らなければ止めとけ」
黒くて泡の出る水…代々木くんは確かペプ⚫派だった気がする。ダイエットもあるが、普通のコーラを選択。
ペ⚫シのペットボトルとバースプーンを生成、“プシュッ”開栓してスプーンの背を使いグラスの内を這わせてゆっくり泡立たせないように淹れていく。そして軽くステアした後に二人に出す。
「言っておくが、一気に飲むなよ。特にオサリムは身体の大きさに対して量が…」
「ングングングングング、プハーッ!…なんじゃこれは!!あま~いのじゃ♪」
目をキラキラさせて満面の笑顔でコッチ見ている。ショットグラスを抱えて嬉しそうに飲んでるを様を見ると胸焼けしそうになる。
「そしてそして旨いぞ。ングングング、それになんじゃ、このシュワシュワ弾け…ゲェ゛ェェェェェプッ!」
汚いし、早いよ。お前の身体の大きさでショットグラスって樽やピッチャーサイズだろうに…ショットグラスの中身は既に半分近く減っている。
「疲れた時の糖分補給には割りと良いみたいだが、飲み過ぎは良くないし、今みたいに大量に飲むとゲップが出るぞ。忠告を無視すんな」
聞いてないだろうが、取り敢えず小言を呟いておいた。
「私が知っている甘さと違うようですね。ですが、この喉越しは爽快感があります。…ウッ」
「こっちはミード(蜂蜜酒)だっけか?それに紅茶もあるみたいだし、俺の知ってる話と異なるみたいだな」
「ミードはここまで爽快感はありません。それに冷やしたり甘さをここまで強調する味も、ゲフッ…失礼」
「無理すんなよ、この手の飲み物はゲップが出て当然なんだ。鼻から出すか音を立てずに上手く抜いてくれ」
「ゲェップ!お代わりじゃ。コレは気に入ったぞ。早く寄越すのじゃ」
へいへい…飲み過ぎた処で直ぐにどうこうならんだろうが。。。気に入ってくれたようでなによりだ。
「カロリーそこそこ高いから常習的に飲むなよ」
「カロリー?」ナニソレ?って顔で俺を見る二人の眼差し。おやおや、そーゆー概念はコッチでは薄いのかね?
「甘くて栄養価が高いって事だ。水と同じ様に飲んでると太るぞ!」
“ビクッ”二人の動きが止まった。オモシレェ♪
「ま、代々木くんがいて良かったな。彼に頼めばいくら飲み食いしようが元に戻れるし、体型維持なんて楽勝だろ。ホントによく出来たヤラシイ能力ですこと…」
「コラ、起きんか小僧!」
聞くや否やオサリムは瞬時に代々木くんを起こしに…あ…鼻と口を塞ぐのがここからでも見えた。
こりゃ起きるのは時間の問題…か?
あ~永遠の眠りにつかせるは勘弁してあげて…いや待てよ。
コレはテンプレで言うところの最初に遭遇するお約束的な危険てヤツなんじゃない?
代々木くんの顔色は青から紫に変色…
まぁまぁまぁ、きっと気のせいだな。
いやいや、多分この部屋が薄暗いせいだな。
きっと見えない強制力が働いて、華麗に助かるハズだから平気平気。
一応言っておくけど、早々に『へんじがない…ただの●●のようだ…』的なポップアップはさすがに望んでないよ?
(まぁ面白そうではあるけどさ…)
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2019/01/19/Sat/12:00-




