俺は自堕落令嬢と婚約破棄したい
「アーニャ!!お前との婚約を破棄する!!」
「んん!なんで?」
「なんでもくそもお前が自堕落過ぎるからだろうが!!」
「ふわぁー」
「いい加減起きろよ!!なんで俺が毎朝起こしに来ないといけないんだよ!!」
「だって私あなたが起こしてくれないと起きれない体ですもの」
「はぁー。本当に反省しないなぁ。俺の身にもなれよ・・・たくっ!!」
いつも通り王都にある婚約者の屋敷に来て婚約者であるアーニャ嬢を起こす俺の名はアルス・ガーデノン。ガーデノン伯爵の嫡男だ。
毎朝アーニャの部屋に来ては起こして。荷物を持って一緒に馬車に乗って。馬車に乗っている間も俺に寄りかかって眠る自堕落令嬢。
こんなんで伯爵夫人なんてできるのか?
心配だ。絶対に不味いと思う。なので親に何度か婚約破棄するべきだと直訴したりもした。
だがなぜか親はアーニャをたいそう気に入ってるのだ。
なぜ!?
「おい!!アーニャ!!学園に着いたぞ!!起きろ!!」
「もう少しだけ寝かせてぇー」
そう言いながら俺の膝の上に仰向けに寝転ぶ。
はぁー。無防備過ぎる。アーニャは自堕落のせいか。凄い我が儘ボディなのだ。
でもお腹は出てないんだよな。こんな無防備では襲われてしまうぞ。
慣れているとはいえ俺のきかんぼうが反応してしまう。くそっ!!
今朝も起こしに来たときに俺に抱きつきやがって。薄い服だからいろいろダイレクトに伝わってきて反応してしまうだろうが!!
それで、やっと治まったと思ったらこれだ。
はぁー。俺の身にもなって行動してくれよ。アーニャ。
俺は学園についても起きないアーニャを仕方なく馬車から降ろしてお姫さま抱っこしながら教室に向かう。いつもの光景だからみんな気にしなくなっている。
「おい、アーニャ。教室に着いたぞ。」
「ふぁ。ありがとうアルス」
そう言って抱き締めてくる。胸が凄い当たる。くそっ!また固くなってきた。誤魔化すの大変なんだぞ!!
「もっとちゃんとしろよ」
「はぁ~い」
いつもこの調子だ。いくら学園では多少の自由が許されているとは言え。貴族令嬢としては自由すぎる。自堕落すぎる!!
やはりガーデノン伯爵家の事を考えると婚約破棄すべきだぞ。
なぜ父上は許可しないのか?
そんなにこの婚約にメリットがあるのか?
まぁ・・・アーニャは確かに美少女だけど。認めたくはないけど女性としては魅力的だと思う。でも貴族としては無しだ。絶対に無し!!
そんな事を考えながら授業をやっているとアーニャはこくりこくりと船を漕いでいた。
こいつ・・・寝てやがる!
先生に当てられたらどうすんだ!?
そうしたら案の定先生に当てられるアーニャ。
「アーニャ起きろ。先生に指名されたぞ」
「んん。分かった。」
小声でアーニャを起こす
でも寝てたから授業内容が分からないみたいだ。なのでいつも通りに小声で答えを言う。
「ありがとうアルス」
へにゃと笑うアーニャ。全く世話が焼ける。
そんな感じで授業をこなしてお昼になった。
「ふぁ~。お腹すいたねアルス」
「お前は寝てただけだろう」
「えへへー♪」
くっそ可愛いな!!もう!!
「アルス!!ご飯食べさせて。あーん」
そう言って口を開けるアーニャ。ちなみにいま俺たちは食堂にいる。当然多くの生徒がいるわけだが。
「全く。世話が焼けるな」
といつも通りに彼女の口に食べ物を運ぶ。
そうすると美味しそうに嬉しそうに食べるアーニャ。可愛い。
でも貴族令嬢として伯爵夫人になる女性としてはこれは不味いよな。
「アーニャ。自分で食べろ。じゃないと婚約破棄するぞ」
「でもアルスに食べさせてもらうのが一番美味しいんだもん」
「くっ!・・・・だとしても時と場所を弁えろよ!!みんなが居るんだぞ!!」
「そのくらい分かってるわよ。でもアルスにどうしても食べさせてほしいの」
そう言って潤んだ瞳で見てくるアーニャ。くっ!!負けそうだ。
「全く。公衆の面前でイチャイチャと。特にアーニャ嬢。貴族令嬢としてもっとちゃんとしてくださいまし。まるで平民みたいですよ」
と別の生徒にいきなり言われた。イチャイチャはしてないつもりだが、概ね事実だ。だけど他人にアーニャの悪口言われるとくそムカつくんだよな。
声のする方に向けば生徒会の一人。ユリエ・ゴスティン公爵令嬢がいた。アーニャ程ではないが美しい令嬢だ。
「これは、ごきげんよう。ゴスティン様。」
「ごきげんようガーデノン様」
「大変お見苦しい光景申し訳ありません。ですが学園では自由が許されておりますのでお許しください。」
「あら。さきほど自分でもおっしゃっていたじゃないですか。時と場所を弁えろと」
「そ、それは・・・」
「貴族なんですからマナーをちゃんと守ってくださいまし」
くっ!!ムカつくが正論だから言い返せない。ゴスティン公爵令嬢はそのまま踵を返して消えた。
「アルスー。ごはーん。」
「くっ!!お前のせいで怒られたんだぞ!!もっと貴族としての自覚持てよ!!」
「ぶぅー。」
そう言って頬を膨らませるアーニャ。可愛いけど心を鬼にせねば。
「もうこれ以上はしません!!」
「ええええー。アルスぅ。私のこと嫌いになっちゃったの?」
「は!?最初から好きじゃないし!!」
「いつも抱きつくと頬を緩ませるのに?」
「そんなわけねぇし!!」
「私はそういうときのアルスも大好きだよ」
「っ!」
「だから大好きなアルスに食べさせて欲しいなぁー」
「くっ!!今回だけだぞ!!」
「ふふふ♪」
くそっ!!また負けた!!貴族としてのマナーを身に付けさせないといけないのに!!やはり婚約破棄してやる!!
そうしてアーニャを送ってから家に帰る。
「このまま、あいつと結婚したら周りの貴族達との関係が悪くなるに決まっている。どうにかして婚約破棄させられるようにしないと」
そうして俺は考え出すのだが・・・アーニャの顔やアーニャの胸。アーニャの温もりを思い出してしまって、俺の息子が荒ぶってしまう。
「これは仕方ないことだ。処理をしないと落ち着かないからな」
そう言い訳をして俺は処理をしだす。
「ああっ!!アーニャ!!アーニャ!!お前エロすぎなんだよ!!可愛いすぎなんだよ!!うっ!!」
気持ちをリフレッシュした俺は今度こそ婚約破棄について考え始める。
「アーニャ。次こそは婚約破棄するからな!!あっ!また元気になってきた」
くそっ!!あいつが抱きついてきたりするからだ!これもそれも全てアーニャが悪い!!
「ただいまぁー」
「おかえりなさいませ。お嬢様」
「今日の仕事はどのくらい?」
「はい。こちらに纏めております」
アーニャお嬢様は帰って、そうそう机に山のように置かれた書類に目を通します。そして素早く判断を下し書類を処理していらっしゃいます。
いつもおっとりとしているお嬢様ですが、化け物と言われるぐらいに天才です。
あらゆる発明や新商品を出してそれを世界中に売り捌いております。
この世界で生きていてお嬢様の商品に触れない日常などありえないレベルなのです。
おっと。世界と言っても。正確にはこの大陸と現在確認できる大陸のみですが。
とにかく富がお嬢様の手の中に入ります。そしてもちろん権力も。
いろんな所の弱味さえ握っております。それはもう。王家や他国が危惧するレベルで。
ですので暗殺者が日夜やってきてはお嬢様に襲うのです。
かくいう私も。
「っ!!」
素早くナイフをお嬢様に向けて刺します。そんな私の名前はマリア。この国の王家が抱える暗殺者です。
そしてそのナイフをお嬢様は人差し指と中指で挟んで止めました。
「マリアは相変わらず真面目ねぇー。無駄だって分かってるでしょ?」
「お嬢様は相変わらず隙だらけなのに隙がないですね」
「ふふふ。私が隙だらけになるのはアルスの前だけよ」
「ご冗談を」
お嬢様はアルス様との時間を邪魔されるのが最も嫌い。だからその時に襲おうものならとんでもない目にあってしまうし。
それ以前に威圧で動けなくなってしまう。本当にお嬢様は化け物だ。
「お嬢様はどうして、そのように富と権力を求めるのですか?」
「う~ん。私はただアルスが欲しいだけ。その為に確実な手段がそれだったの。後は・・・そうね。新しい物を作るのもやっばり好きなのよねぇー」
「さようでございますか・・・」
「うん♪」
アルス様を手に入れるためにこんなことを?
お嬢様。やりすぎです。
「マリア。この世界は私とアルスの為に存在しているの。だからアルスとの時間を邪魔するようなものはいらないのよ」
「・・・」
「今日もゴスティン公爵令嬢が邪魔してきたのよね。多少の刺激は良いスパイスになるから良いんだけどね。」
そう言いながらお嬢様は今日のアルス様との惚気話をし始めます。その間もどんどん書類を処理していきます。
「アルスったら今日もあそこを元気にして鼻を伸ばしてたのよ?
それを気にしながら照れるアルスがとても素敵で・・・。
ああっ!!早くアルスと結婚出来ないかしら?アルスと毎晩愛し合いたいし。アルスにずっと側で甘えたいわ。」
アルス様・・・。この化け物との婚約を破棄するなど無理でございますよ。アルス様の父上達には賄賂・・・援助と脅しまでしておりますし。そもそもアルス様もお嬢様の事が好きなようですし。
ですから
どうか二人とも末永く爆発してくださいまし。