第24話
闇の蒼石を手に入れ、城の外へと出る。城の外には、ゴーレム二体とドラゴン八体がたたずんでいた。
「ストライク、どうやって独眼龍を手に入れたんだ?不正したのか?」
タカが話を切り出す。僕らに倒されたのがよっぽどショックだったのか、STRIKEは素直に話し出した。
「自分でプログラムを組んで作ったんだ。IDドレインをさ」
「IDドレイン?」
僕の疑問に、タカが追加した。
「プレイヤーの情報を吸い取るってことだろ?」
「そうだ。簡単に言うと、プレイヤーを殺すアイテムみたいなもんだ。この世界にそのプレイヤーは存在しなくなる。そうすると、はぐれ神獣と同じだ。それを捕まえればいい。独眼龍のときは、未完成で暴走したけどな」
「それで、独眼龍を手に入れたのか」
生徒会長が、異常なほど取り返そうと躍起になっていた理由が分かった気がした。
ある日、急にこの世界から決別させられる。そして、自分の相棒は他人のものになっていた。そして、それは不正プログラムによってなのだ。
生徒会長は、おそらく不正プログラムによるものだと気付いていたのだろう。不正プログラムの存在を知らなかった僕でさえ、急にそんなことになれば不信感が湧く。正義感が人一倍強い生徒会長のことだ。よほど許せなかったに違いない。
「融合アイテムも自分で作ったのか?それと、マリオネットは?」
「融合アイテムも、自分でプログラムを組んだ。対の灰色ダイヤを解析して、参考にしたんだ。マリオネットもそうだ。解析して、同じアイテムを複製した」
「それだと、初めはオリジナルの対の灰色ダイヤとかが必要だろ。それはどうしたんだよ?」
「買ったんだよ。ネットオークションで現金と交換して、ヴァースドルを増やしてな。」
「それじゃ、かなりの金額がかかるだろ」
「ああ、それだけで現金二十万以上は使ってる」
僕らはそれを聞いて、言葉を失ってしまった。一つのゲームに二十万もかけられるだろうか。よっぽどビースト・オブ・ザ・ゴッドが好きなのだろう。
「さて、不正をしていたんじゃ警察に通報しようか」
ゲームの中の不正は、警察じゃ取り締まってくれないような気がするが。僕の提案に、タカが助け舟を出す。
「警察よりは、ビースト・オブ・ザ・ゴッドの発売元に連絡して、二度とビースト・オブ・ザ・ゴッドをできないようにしてもらおうぜ」
「ま、待ってくれよ。それは、それだけは勘弁してくれ。なんでも言うこと聞くからさ」
チームメンバーにだけ、僕に任せてくれるように話しかけた。みんなはそれを快く了承してくれた。
「なんで、不正なんてしたんだ?」
「どうしても、この世界で一番になりたかったんだ」
「不正してゲームやって、楽しいか?」
「……」
STRIKEは僕の問いかけに、すぐには答えられなかった。きっと、本人もどこかで罪悪感を感じていたんだろう。現に、生徒会長が入院したと言ったとき、言葉を失っていたのだから。
「人から奪った神獣を全部返す!そして、二度と不正プログラムは使用しないし、作らない。これを約束できるか?」
「ああ、このゲームを続けられるなら、なんでもするよ」
「ちゃんと約束を守るなら、僕たちの胸にしまっておく」
「……わかった」
「もし、約束を破るようなことがあれば……闇の蒼石を使用して、ゲームをできないようにするからな」
それにはタカが反応した。
「ちょっと、キョウ。それってどういうことだ?」
僕はみんなに説明して聞かせた。闇の蒼石は、この世界を支配するアイテムではない。この世界で一つだけ、どんな願いも叶うアイテムなのだ。――とアイテム欄に説明されていた。
「絶対に約束は守るよ」
「わかった。なら、今度は不正なしでドラゴンを育てて来いよ。強くなったら対戦しよう!」
こうして、僕はこの仮想世界と現実世界――と言っても、かなり狭い。たった一人のだが――の二つの世界の平和を守ったのだ。
あれから、一ヵ月後。僕らは、まだヴァースにいた。
まだ、僕らの冒険は終わらない。先週は新しい地域さえ追加されたのだ。追加によって、世界さえ広がった。僕らも、そしてこの世界も日々成長を遂げている。
僕は仲間たちを見回す。みんな頼もしい仲間たちだ。
僕の相棒、グリフィン。人面鮫、一角竜。スレイプニル――アキラはペガサスを、この八本足の馬へと進化させていた。闇麒麟――コミちゃんも同様に闇属性へと進化させた。サイバーゴーレム2体、サイバードラゴン――ナリミンと中野、そして奥村は先々週に追加されたアイテム、サイバーチップで進化させた。ナリミンに言わせると、ずっとこのアイテムが追加されるのを待っていたらしい。
そして、独眼龍。
「さぁ、行こう!」
僕らの冒険はこれからも続いていく。




