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その1『深淵団誕生と繁栄』

 世の中にはいつの時代もばかな連中がいる。この荒れ果てた宵闇の世ではなおさらだ。

 だが、バカな状況を真に受けたものがいたとしたらどうなるか――。


 このレポートは実体験をもとに作成したものである。



 深淵団(しんえんだん)。『深淵の力をもって世界を駆け抜けていこう』というモットーをもとに、ネットで拡大を続けていたグループだ。


 当初はSeals社との関連も疑われたが、結果はある動画投稿者が仲間集めのために出まかせを言っているだけに過ぎなかった。


「鬼に妖怪、はては騎士までうろうろしている。こんな世の中だからこそ底知れぬものの力が必要なんだ! 俺にはその力がある、だから、付いてきてほしい」


『一緒に世界を変えよう』といえば、未来の見えない若者はころりと騙される――とでも思ったのだろう。「そんなことはない」と言いたかったが、未来の見えない若者や大人はころりと騙された。

 インターネットやSNSでは名前に『深淵団』を冠したユーザーが急速に増え、グループになったことでマウンティングも始まった。


『深淵団になぜ入らないの?』

『お前は異形だからそんなことを言うのだろう』


 深淵団で探せば出てくるものは、異種ヘイトや強引な勧誘の多さだ。最初こそ目立った活動をしていなかった。ところが人数が増えていくに杖、勧誘キャンペーンを銘打って勧誘指導を動画内で行うようになった。


 このあたりからSeals社とのかかわりが出てきたのか、機材が豪勢になったり、スタジオを使った動画投稿が増え始めた。当人は「広告収入が増えたおかげ」と言ってはいたが、暗黒騎士との接触情報もネットワークの伝手で耳にしていたほどだ。


 幸い深淵団のおかげで飯の種もいくらか出来たのは事実だ。荒事を行う深淵団員からのボディーガードや、もめごとの仲裁。時には深淵団側から自宅調査の依頼まで来た。


 私は『仕事を選ばないタイプ』の探偵なので、すべて引き受けた。そして、同時に深淵団の内情を個人的に探ってもいた。

 いずれ、大きなことが起きた時に週刊誌あたりにタレこみ、飯の種とするために――。

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