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序
吹きすさぶ風の中、ただ空を見上げている。
その、紺碧の空を。
小高い丘の上、ただただ天高い紺碧を見つめていた。
まだどことなく幼さの残る顔には、強い意志が見られる。
なぜ、こんなに悲しいのだろう?なぜ、こんなにも胸が騒ぐのだろう?
なぜ…こんなにも呼ばれている感覚がするのだろう?
父がいて、母がいる。何ひとつ不自由などない満ち足りたはずの暮らしの中。
だが、何かが足りない。
幼い頃から感じてきた、この焦燥感はなんなのか。
ただ空を見上げる。
見事なまでの紺碧の空。
ここは、風の精霊の守護を受け、風の止むことのない国。
吹きすさぶ風に、雲ひとつない空。
そんな空を緑の瞳がただ見つめ、そして、決意した。
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