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群青の走馬灯、これにて参拾回目。  作者: 水星の讃美歌
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2.日常、晴天なり。

窓越しに澄み切った青空を見やる。

__変な夢だった。

着慣れた制服に身を包み自室を出ると、トーストの匂いが漂ってきた。自然と階段を降りる足が速まる。

「おはよう」

眠気が取れずに気怠げな声でいつものように挨拶を交わす。台所に立っていた母がこちらを振りかえり、短く返事した。

今日はいつもより10分近く遅れる起床だったため、そそくさ食べ終えすぐに家を後にする。

 紅が通う高校は、家から自転車で約30分。自宅を出てすぐにとてつもなく急な坂道を下るルートが出現し、何よりそこを駆け下りるのが登校時の一番の楽しみにである。ちなみに下校時はそこを登らなければならないので、過酷ルートに変わる。坂を下ってすぐに旧式のポストがあり、そこでとある人物と待ち合わせをする。

「紅君、おはよう。」

同じクラスの少女、冬間華妃。

紅の彼女にあたる。

いつもと同じように挨拶を交わし、他愛もない話に花を咲かせながら学校に足を運ぶのが、紅の慣れに慣れた日課である。

華妃とは大した会話をするわけではない。内容は薄く、一時間も経てば忘れてしまう程中身のないような話ばかり。だが、それがいいと紅は思っていた。紅はめんどうなことが何より嫌いで、やらなければならないこと以外何もしたくないという無気力思考を持ち合わせていた。それ用に対応しているかのように、華妃との会話はふわふわしていて当たり障りないので、無理に深入りすることもせず思ったことを返せば不思議と会話が成り立ってしまうので楽しくて仕方がないのだ。

「紅くん。」

華妃がいつものふわふわした口調で話を切り出そうとしている。んあ?とテキトーに返す。今日は何を語るのか。

「私、思うんだよね。紅くん見てると。」

「何て?」

「紅くん見てると、紅生姜、思い出すの。」

…。

「そうか、じゃあ俺の前世は紅生姜か。」

「そうだね。てことは、紅くんは人間じゃなかったんだ。」

「あー。突然変異だよ。」

「うーん。意味違うけどね。」

「そういう設定。」

「設定ね。じゃあ共食いになっちゃうからこれから紅生姜食べちゃ駄目だよ?」

「待て。何故そうなる。俺の好物だ食べるぞ。」

「あらぁ、あっさりした顔して意外と残酷だね。」

紅だって会話がかなりカオスだという自覚はある。しかしもう慣れたし、それにいつまでも付き合っていられる自分がいた。

会話が終わる頃にはあっという間に学校に到着している。

今日もそうだった。

そして紅と華妃は、ほぼ同時に学校に足を踏み込んだ。

右足から。

空気をよむかのように、この街にチャイムが響いた。




これから、あとがきにキャラクターのプロフィールを簡単に書いておこうと思います。


No1 東雲しののめ こう 高2男子。

めんどうなことが嫌いでテキトー。大雑把。

主人公。

橙の目、赤い髪に華妃と同じ髪飾りを身に着けている。髪の毛は割りと長め。

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