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ドラゴニュートは湯を知り、ドラゴニートになる

作者: RK

ドラゴニュート。

人とドラゴンの間に生まれた種族と伝説で語られている彼らはその話に違わず強い種族であった。

しかしながら、変温と恒温の境に生きる彼らは極端な外気の変化を苦手としている。

特に朝が寒い気候は彼らにとっては辛いものらしく、雨でも降っていれば彼らのやる気は制限される。

冒険者でも、ドラゴニュートがパーティーにいると朝は日光浴のために時間を使うし、雨が降る場合は依頼を受けない。

遠征の際には火の魔石を使うらしい。

出費が嵩むが、彼らの高い身体能力はそれを補ってあまり得るものであるからこそ許されていた。

だが、「時は金なり!」叫んだ商人がいた。

ドラゴニュートの性質は時間だけでなく、様々なものを失っていると主張したのだ。

それに賛同するものも多く、ドラゴニュート達に不満をぶつける者も出始めた。

さすがのドラゴニュートたちもそれには怒り、すわ人とドラゴニュートの戦争に発展するかに思われた。


「ちょっとまて!」


そこに待ったをかけたものがいた。

その者は時は金なりを主張した商人の息子であった。戦争は儲かるが、ドラゴニュートとの戦争は勝ち目がないのがわかっていた商人の息子は父の尻拭いをする為にドラゴニュートについて調べていた。

そして、彼は思いついたのだ。

ドラゴニュートは朝に湯浴みをすればいいと。

冒険者たちは今までよりも早く依頼をこなせ、ドラゴニュートたちは早く活動できる。

雨の日や遠征には対応できないが、それでも今より時間を有効に使えると思ったのだ。

そして、実際にやってみれば成功した。

ドラゴニュートたちは湯浴屋に来て金を落とす。冒険者たちも汗を流しにくる。

投資した金は直ぐに戻り、商人とその息子は賞賛された。



「ぐわはははっ!!湯水の如く金が湧き出ているわ!!」



そんな高笑いは長くは続かなかった。

なぜからドラゴニュートたちが湯浴屋に入り浸り働かなくなったからだ。

確かに収入は増えた。右肩上がりだ。

だが、冒険者たちや他の商人たち、それどころか国の顰蹙を買ってしまったのだ。


「このままではまずい!」

「どどどどどうしたら!?」


商人親子は慌てて頭を捻り、ドラゴニュートたちの利用を制限した。

その際に、ドラゴニュートたちとの戦争が再び起きかけたが国の取りなしもあってなんとかなった。



後世のこの商人親子の評価はものすごい。

ドラゴニュートからは神のように讃えられているが、人間からはドラゴニュートたちを怠惰にしたと避難されている。

そして、湯浴屋によって怠惰になったドラゴニュートたちをゆとり世代と呼び、人々は彼らをドラゴニートと呼ぶようになったのだった。


「どうしてこうなった!」


そう叫ぶかつてをしる世代。

だが、嘆いても勇敢なドラゴニュートはもういない。

いるのは湯浴屋に入り浸る怠惰なドラゴニートたちだった。

ゆとり世代は幸せそうに湯浴屋で寛ぎ続ける。

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