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3.伝説の勇者 『違いに気づく』

 冒険者になったのはいいが今日はもうすでに遅い。

 まずは宿取りをするか。


 薄暗くなりいよいよ大人の時間になりかけている街をぶらぶらと歩く。

 やっと帰ってきたアザファールの風景。

 だが、俺の目に映る風景はアザファールそのものなのだがどうにも違和感を覚えた。

 何が? そう疑問に思いしばらく思考したところ俺の知っているアザファールと違う点があることに気づく。


「そうか、人族だけじゃなくて多種族も居ることか」


 一回目の召喚では王都だというのに人族のみで構成されていた国だった。

 それもその筈、なにせ俺が召喚された理由は魔王討伐ともう一つ、多種族国から攻めてくるのを抑圧するという理由から召喚されたのだ。

 確かに魔族以外の全種族は魔王討伐という同じ目的を持っていたが、なら魔王討伐の後はどうなるか。それは安易に考えがつく。

 今までともに戦ってきた同盟国での争いが始まるのだ。

 その内乱を少しでも免れるために俺という化け物を他国に見せつける。それが俺を召喚したもう一つの理由だ。


 しかし、今俺の目に映る光景はどうだ。

 森人エルフ鉱人ドワーフ獣人アニマルヒューマンが道路を行き来している。

 当たり前のように見ていたが、今思えば信じられない光景だった。


「俺が居ない間に同盟国で何か条約でも立てたのか?」


 俺は馬鹿だから政治面はあまり詳しくないがそうでもないと……

 ひとしき思考したところで、情報がない今いくら考えても無駄だという結果に至った。


「まあ、そんなことは今はどうだっていいか。そうだ! 宿探ししなきゃならんのだよ!」


 俺は急いで宿探しに勤しんだ。

 と言いつつも、俺はどこの国でもエルフ美女に猫耳美少女が愛でられると思うと嬉しくてしょうがなかったというのは俺だけの秘密だ。

 前の召喚の時の俺とは一味も二味も違うぜ! グフフ




 宿は意外と簡単見つかった。

 宿の支払いの際に気づいたことなんだが、やはりここでの通貨はコルというらしい。

 価値的には白金が最高硬貨10万コル。

 日本円の感覚でだいたい10万くらいかな?

 かなというのも、この世界ではコルが共通通貨として利用されているからだ。

 地球では日本で発行されている日本円とアメリカで発行されているドルと通貨が変わってくる。そのため円高とか円安という言葉があるのだがこの世界ではそれがない。

 そのため他国との間に微妙な差が出てきてしまうのだ。それは仕方がないことなんだけど正直値段交渉とかいろいろとあって面倒で仕方がない。


 おっと、それで白金、大金貨、金貨、銀貨、銅貨の五種類あり。

 それぞれ白金は言うまでもなく大金貨は1万コル、金貨は1000コル、銀貨は100コル、銅貨は一コルなのだそうだ。

 10コルはないらしい、なぜかは知らない。


 宿代は一泊で3600コルと他の宿屋に比べれば少々安い宿にした。

 別にケチったのではないぞ。他の宿の雰囲気が合わなかったからだからな。

 ちなみに他の宿屋は平均して4500コル程度だったとおもう。


「まあ、これは前と同じ感覚でいいか」


 それよりもこれからのことを考えなければ。

 冒険者業をするから武器や装備を整えておいたほうがいいな。

 俺の持ち金はエルザークから貰った土産かねとスピンドウルフの部位によって12万ほどは貰っている。

 かといってエルザークがくれたものがほとんどだ、12万が俺の稼ぎだ。

 スピンドウルフはそこまで魔物階級は高くなくてこの稼ぎなら冒険者ってひょっとしたら勇者よりも稼ぎがいいのかもしれない。

 知りたくなかった事実だ……。


 まあそれはともかく今の持ち金に宿代や食事代を差し引いてもまだ余裕はある。

 明日あたりにでも道具をそろえて依頼でも請けるか。


 それにしても文字が読めないのはとてつもないほどに不便である。

 宿屋で名簿表に記入しなきゃいけないのに書けないのなんのって。

 これは本格的にやばいな。

 近いうちに誰かに教えてもらおう。

 そうだ! アスハさんにでも教えてもらおうかな。

 マンツーマンのみっちり授業、くぅううう~考えただけでたまりませんなあ。


 一回目の召喚ではありえなかった思考をする。

 やっぱ異世界来て馬鹿みたいに必死こいて血なまぐさい戦場に行くなんてナンセンスだ。

 昔の俺にあったら殴ってやりたい。まあ、今の俺だったら返り討ちになるが。


 そんなアホな思考をしながら俺はベッドに横になる。

 久々のベッドだ、今日は疲れをとるのに専念しよう。

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