可能性
少し、本当に少しだけグロい表現が含まれています。
いいよという方はどうぞ↓
真っ白な白鳥が空を舞い
真っ黒な鯨が海を泳ぐ
そんなモノクロな世界に
僕らは一体何を求めたのか
その答えは、きっと誰も知らない
「ハヤレは何処に居る?」
「多分どっかのバーに居るはずだけど。」
それが何処だかは、分からない。
さてこれからどうするか
あっ、と突然ウジナが叫ぶ
「螺旋都のバーと言えば、あそこじゃない?」
「あそこ?」
そそ、とうんと頷きながら話す
「中田のキッチン」
「は?」
なんだ?ダジャレか?だったらよしてほしい
こっちは真剣なのだ
「だ〜か〜ら、『田中のキッチン』って言う、この街の有名なバーだよ。何故かあそこには人が寄ってくるという怪奇事件も有名。知らなかった?」
「うん、全然。だからハヤレさんがそこに居ると?」
「まぁ、今のところ怪しいのは此処だけかな・・・・・。」
1つでも可能性があるなら迷う事はない
だけど、なんだか言いなりになってるみたいでこちらとしては痛い
「・・・・・・・・・田中のキッチンってどこにあるのさ。」
微かな抵抗。言いなりはヤだけど、今はそこしか目安がついてない
一時的にもそんな事を思ってしまうと止まらなくなるのは僕の悪い癖
でもそんな考えも次の彼女の言葉で砕かれた
「知らない」
何処にあるか知らないんじゃ行く事も出来ないじゃん
どうすんのさ・・・・・
「知らないって・・・・・・なんで?どっか特別な所にあるの?」
「うん、・・・・・・・・・情報1によると”森の神殿”って呼ばれてるくらいだから『森』にあるんじゃない?」
森・・・・・・
たしか街の外れにあったような無いような・・・・
その時1人の青年が声をかけてきた
「どうしたんだ?迷子か?」
僕が声を発する前にウジナが問うた
「まぁそんな感じです。・・・・・・・・1つ聞いてもいいですか?」
「ん?いいよ、何?」
「この辺りに『森』ってありますか?」
それはちょっと直球すぎじゃないか?
ここは遠まわしに言ったほうがよかったんじゃ・・・・
「ああ、もしかして君達『田中のキッチン』を探してるのか?」
この男、あのバーの事知ってたのか・・・・
じゃあ知ってるかな?場所
「そうです。だから道を探してるんです。」
「僕たちそこにちょっと用がありまして」
ずっと黙ってるのは嫌なので、話に加わる
すると男は言ってはいけない事を言ったのだ
ウジナに対して・・・・・
「はぁ?お前らまだ”子供”だろぉ〜?おこちゃまは家でツミキでもしてな〜?」
こいつはただ馬鹿にしてるのだ、僕らの事を
僕は何も感じない、ただ呆れるだけ、
でもウジナは・・・・・
「死ね。」
「は? うぎゃあっ!!?」
片手に青年の顔、片手に血で濡れた剣
そう、ウジナは男の”顔”を切ったのだ
とっても絵になってる
「私は”可能性を皆無にする奴”が嫌いなんだ。あなたの顔を半分切れば考えてる事分かるかな?」
はは、狂ってる
どいつもこいつも、まぁ僕もね。
なるほど、ウジナは可能性絡みか・・・・
「そんなことしても見れない。いいから行こ?時間もったいない」
「そうだね。あーあ折角洋服新しいの買ったのに、”また”血でよごれちゃった」
理性が無くなるのも困りものだよね?と苦笑しながら言った
何回か同じ事をしてしまったらしい
「はぁ、その格好じゃどっちみち目立つから買いにいくか・・・・」
「やった。」