運命的な出会い
日の光が差し込む朝は風情がある。
僕は『朝』が嫌いだ、だから機嫌も最低下。
コンコン、とドアが鳴る、きっとオルガが来たのだろう。
彼女は今日僕を殺るつもりだ。だから必ず”質問”してくるだろう。
”あなたの本当の名前は?”って。
「失礼するわ。あら?今起きたところだった?ふふ、なら丁度いいわ、降りてらっしゃい。ご飯できてるわよ。」
「あ、はい。今すぐ行くんで。」
ニコニコと返事を返す。我ながら気色悪い。
でもそんな自分を本当の表情だと思い込んでるオルガは、今きっと満足充満してるだろう。
余談だが、昔の僕だってここまで笑った事は無い。
「さて、今日の獲物はどうでるかな?」
ふふ、あー楽しみ。
―-―-―-―-
「あぁ、やっと来た。さぁ、ここに座って。はい、おかわりしてもいいからね。」
「はい、有り難うございます。」
まぁ、味はなかなか・・・・とでも言っておこう。
だって僕には感覚が”無い”から、味なんてものは分からない。
あー重症だな。
「どうする?今日も泊まってっていいのよ?と言うよりもここに住んでいいのよ?ほら、私も1人で寂しいから・・・・。」
そう言えば、この女に家族はいない。ならば面白くないじゃないか。
一応確認しておくか。
「あれ?オルガさん、家族の方たちはいらっしゃらないんですか?」
「ええ、家族は・・・・・ちょっと遠い所にいてね、今は1人なのよ。」
なるほど、でも一応は居るって言う事ね。ならいいとするか。
居なかったら今ここで君を殺してたよ。命拾いしたね?
「そうなんですか・・・・、じゃぁ今日もここに泊めてもらおうかな?」
「ええ!ぜんぜんOKよ!じゃぁ、決まりね♪昼間とかは・・・・・・・まぁ、外をぶらぶらと歩いてくるといいわ。暇つぶしにね。」
「あぁ、そうですね、じゃぁそうします。」
いつでもニコニコ、いつでも無表情。これが僕だから。
―-―-―-―-
ここは公園だ
子供たちが声をはりあげながら遊んでいる。
微笑ましいその光景すら、僕には何とも思えない。
僕の目的は『この世界の邪魔な人間を消す』事。
それと同時に”クルエ同盟”も追っている。
この行動に意味は無いと分かっている。でも僕の”体質”がそれを許さない。
意思、感情はもう体質に奪われてしまった
今度は何を”僕”から奪っていくのか・・・・
恐ろしい なんて事はない。それすらも分からないくなっているんだから・・・。
ふと、いつしか見た黒い少年を思い出した。
彼は、もしかしてこの事を言ってたんじゃないか?
邪魔な存在になる人間・・・・
今度会うときは、何もかもが歪んだ時・・・・?
取り合えず、彼はもっともマークしておかなくてはな。
そうこう考えていると、突然僕の前に誰かがやってきた。
「どうしたの。」
それは、綺麗な銀色の髪をした僕と同じくらいの少女だった。
今は知る予知も無かった・・・・・
彼女との再会が、僕の運命を大きく変える事になるなんて・・・・
「大丈夫?」