爺
広場の中央に人だかりができていた。
あそこに爺がいるんだと思うんだけど・・・・
こんなに混んでたら会う事すらできないじゃないか!!
「ん?あ!カカ!ルエ!こっちだこっち!」
「あ!ショウキだ!!いや〜助かったぁ!」
「行くぞ。」
さっきの少年は ショウキ・ロカ、カカの双子の弟だ。
1卵生だから良く似てる、唯一の違うところは瞳の色だ。
カカが赤で、ショウキが青。とっても綺麗なんだよ!
「っと、とうちゃーく☆」
「あ〜疲れた〜・・・なんで俺がこんな人ごみの中を・・・ブツブツ」
「はは!2人ともお疲れさん♪はい、水。」
「さっすがショウキ〜気がきくぅ〜♪」
「サンキュ、ショウキ。・・・ところで爺さんは?」
カカは水を飲みながら質問する、私もだけどね。
「爺さんならもっとあっちだ。どうやらトウトの奴らに捕まってるらしいよ。」
「うげぇ〜あのトマトに!?可哀想ぅ〜・・・。」
「あほか、トウトだ!トマトじゃねぇ!」
カカが激しいツッコミを入れてくる。さすが・・・鋭い。
トウトとは・・・まぁ強いて言えば”ミーハーな奴ら”の集まりみたいなもの。
きっと今は今後の予定とかを聞きだしてるに違いない。
さて、そろそろ助けないとやばいよね?
「よしっ!私爺の事助けてくるね!」
「おー気をつけろよー」
「無理はすんな〜」
最初にカカ、次にショウキの順に言ってきた。
ああもう!ホントに2人とも優しいんだからっ。
とまぁ、私は人の中を掻き分けて中央に立ったわけだが・・・
「ねぇ〜え、ヨクゥ今度は何処に行くわけぇ?」
「うえぇ〜ん、ヨクが居なくなったらリカ寂しいよぅ・・!」
「ねえね、またここに戻ってくんでしょ〜?」
「うるせえな、俺が何処へ行こうが、戻ってこようが関係ねぇーだろ!とっとと離れろ!」
んふvV
今一瞬、誰!?って思ったでしょ?
実は私たちは”爺”って言ってるけど、彼本当は19歳のピッチピッチの若者だよ〜。
しかもかっこいいんだって。
何かと仲が良かった私たちと爺、
だからお別れは辛い・・・なのにお別れも出来ないなんて絶対嫌!
だから、今日はちゃんと『じゃあね』って言いたいんだ!
よしっ!もう大丈夫・・・
ルエ、いっきまーす!
「ちょーーーーーーーーーーーーーーーーーと!邪魔なんだけど!?」