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過去

どうもMake Only Innocent Fantasy代表の三条 海斗です。

8話なんですが、本当は次の9話とあわせてひとつのお話だったんですが、このパートが長くなってしまったので、それぞれ別々の話とさせていただきました。

まだまだ稚拙な部分が多いですが、最後までお付き合いお願いします。

時は遡ること、20年前。


「やっと、この研究を始めることができるな。」

そう感慨深げにつぶやく。

実際、ここまでくるまでに時間がかかった。

はじめは偶然見つけた未知のウイルスだった。

EXウイルス。

Extraという英単語から名前を付けたこのウイルスは不思議なことに地球上のものではなかった。

自己増殖はするが、空気感染といった感染をしない。

そんな不思議なウイルスに私は心が惹かれていった。

このウイルスを解明すれば、きっと大きなことにつながる。

なぜか確信めいたものがあった。

だから私はここまで来ることができたのだと思う。

周りの人間は笑っていたが、数少ない理解してくれる友人にもあった。

だからこそ、私は何としてでもこの研究を達成しなければならない。

しかし、この研究は私がいままで研究していたクローン技術や、万能細胞の研究とは大きく異なる研究分野になる。

この先は苦労の連続だろう。

だが、不思議と心が躍るのを感じた。

「やってやるさ。」

私は決意を込めてそうつぶやいた。


 * * * * * 


「……。」

ごぽごぽというような音を立てて、淡い光を照らしている培養器。

その中には一人の胎児が入っていた。

私は意を決して、その子にEXウイルスを注射するためにスイッチへと手を伸ばした。

だが、手が震えて思うように進まない。

「っ!」

力強く手をたたきつけてみる。

手は思うように動いた。

怖いんだ。

そう自覚するのに時間はかからなかった。

これでもう30人目だというのに。

「……今更、何だっていうんだ……! 今更、許してくれと言ったところで、私が29人の命を奪ったという事実は変わらないというのに……!!」

だが、それを言ったところで何かが変わるというわけでもなかった。

引き返せない。

私は意を決して、スイッチを押した。

カチッという感触がやけに指先に残っていた。

「……!」

目の前を見ると、胎児の体にぽつぽつと発疹が出始めていた。

「……あぁ……あぁ……。」

膝から崩れ落ちる。

「すまない……すまない……。」

研究室に嗚咽が響く。


 * * * * * 


あれから何十人と実験を繰り返した。

そのたびに進歩はあったが、それでも命は儚く散っていく。

冷徹なマッドサイエンティストにでもなれればよかったのだが、あいにく私はなれそうもなかった。

今回の検体は遺伝子をEXウイルスに適合するよう調整してみた。

非人道的なことだとは思っている。

だが、引き返すわけにはいかなかった。

「……。」

手が震える。

スイッチに手が触れているのにその先に進まない。

慣れろ。

押すんだ。

決めたはずだろう。

既に私の手は何十人という命を奪ったはずだ。

目を閉じる。

ゆっくりと、息を吐いて気持ちを落ち着かせる。

目を開けると、胎児の姿が目に映った。

「大丈夫だ……。」

自分に言い聞かせる。

カチッという感触が伝わってきた。

恐る恐る前を見ると、変わらず胎児が培養器の中に浮いていた。

「……。」

じっと目を凝らしてみても、体に発疹は出ていなかった。

「よかった……。」

地面に倒れるように座り込む。

どうやら腰が抜けてしまったらしい。

「ははは……。」

自分をあざ笑った笑いでさえ、力なく聞こえてくる。

ようやくだと思った。

「被検体番号01……やっとだ……。」

目の前で着々と成長をしていく小さな命に罪悪感と、感動の入り混じった複雑な気持で眺める。

私の中で世界が動き出した瞬間だった。


 * * * * * 


培養器の中から培養液を排出する。

私は赤子を抱きかかえると、足をたたく。

すると、赤子は大きな声で鳴き始めた。

「よかった……ちゃんと生きてる……。」

オギャオギャとなく赤子をバスタオルでくるむ。

「よかった。……そうだ、名前。」

すっかり失念していた。

赤子の名前をどうしようか。

被検体01と呼ぶわけにはいかない。

「よし、決めたぞ。」

私は赤子の顔を覗き込む。

私にどこか似ているような気がする。

「お前の名前は桔梗 怜一だ。」

被検体01の01をレイイチと読んでつけただけの名前だが、私の名前が怜史であることもあり、ちょうどよかった。

怜一。

私の息子となるその赤子の名前を呼んでみる。

その無邪気な顔見て、この子を愛情をもって育てようと決めた。


 * * * * * 


「誕生日おめでとう、怜一。」

「ありがとう、パパ!!」

誕生日ケーキを目の前にして無邪気に笑う怜一。

その姿を見て、私はうれしい気持ちになる。

最初の一年は本当に大変だった。

この研究は世間からもはばかられて、妻もできず、子育てに関して相談できる相手が少なかった。

阿部が結婚をしていて、その奥さんにいろいろと便宜を図ってくれて、なんとかここまで育てることができた。

「さてと、これが食べ終わったら外に遊びに行こうか。」

「またけんきゅう?」

「ああ、ちょっと手伝ってもらうけどな。でも、研究といっても実際は怜一と遊んでるだけだから。」

「うん! わかった!」

「ありがとう。……それじゃあ、食べようか。」

私と怜一は手を合わせる。

「せーの……」

「「いただきま~す!」」

そういうと怜一はケーキにむしゃむしゃとかぶりつく。

その姿を見て、やってよかったなと思う。

「たべないの?」

「ん? 食べるよ。早く食べないと、怜一に食べられるかもな。」

「む~。食べないよ~」

「ははっ。」

一つ一つの仕草がいとおしく思える。

親馬鹿なのかなと、そう思った。

ケーキを食べ終えると、怜一を連れて外に出た。

近くの公園に向かう途中、私は怜一に研究に協力してもらうことにした。

家から公園までが直線でちょうど50m。

50m走の記録を測るにはちょうどよかった。

「それじゃあ怜一。私が手を振ったら走ってきてくれるか?」

「わかった! てをふったら、だね!」

「ああ、そうだ。じゃあ頼むぞ。」

50mといえどそこまで時間がかかるような距離じゃない。

少し駆け足気味に公園へと向かう。

公園につくと、私はストップウオッチを手に取ると、合図である手を振った。

それを見た怜一が私の元へと走ってくる。

時間は10.5秒。

「速い……!」

3歳児にしては好タイムすぎる。

やはり、EXウイルスは遺伝子を操作するのか?

「ねぇどうだった?」

「ん? ああ、記録は10秒。正直言って速すぎるくらいだよ。」

「えへへ。」

「よく頑張ったな。それじゃあ、遊ぼうか。」

そのあとは怜一と砂場で砂の城を立てたり、滑り台を一緒に滑ったり、ブランコで遊んだりした。

50mのスタートから遊び終わるまで怜一は一回も息切れを起こすことはなかった。

「……。」

やはりEXウイルスにはなにか不思議な力がある。

超人的な身体能力。

それがEXウイルスの仕業とわかってもどうしてそうなるのかわからなかった。

「ねぇ、パパ。」

「ん? ああ、すまない。考え事をしていた。」

「む~。ぼく、まだプレゼントもらってないよ。」

「え? そうだっけ?」

「そうだよ~!!」

しまった、すっかり失念していた。

まさか誕生日プレゼントを忘れるなんて……。

「ごめんごめん。それでプレゼント、なにがいい?」

「えっと、じゃあね……」

たぶん、テレビアニメのおもちゃとかそういうのだろう。

誕生日くらいほしいものをあげたいものだ。

だが、怜一の口から出てきたのは衝撃的な言葉だった。

「弟がほしい!」

「……え?」

「だから、弟がほしい!」

「弟? え? 本当に?」

「うん、ホント。」

「……。」

言葉が出てこなかった。

それは、あの実験をもう一度行うということだ。

幸い、怜一がいるから実験自体はすぐに終わるだろう。

だが、体がそれを拒否していた。

「だめ?」

ああ、もう。

「わかったよ。でも、すこし手伝ってもらうけどいいか?」

「いいよ!」

「さてと、それじゃあ、家に帰ろうか。」

「うん!」

怜一の手を握り、帰路につく。

帰り道、怜一がずっと嬉しそうにしていた。


 * * * * * 


「つまり、ここにxを代入すると……。」

怜一には毎度、驚かさせる。

まだ3歳だというのに、すでに二次方程式まで解き始めている。

生粋の天才という言葉よりも、これもEXウイルスの影響なのかと考えてしまう。

親馬鹿なのか研究者気質なのかどっちなのだろうか。

それでも怜一が楽しそうにしているから私は深く考えないことにした。

そんな時だった。

この研究室にチャイムが鳴り響いた。

「来客? 珍しいな。怜一、奥の部屋に入っていなさい。」

「は~い。」

トコトコと怜一は奥の部屋に入っていく。

扉を閉めたのを確認すると、私は扉を開けた。

「どちら様?」

扉の前には外国人の男が立っていた。

背が高く、筋肉質の男だった。

「あなたが桔梗 怜史博士かね?」

「そうですけど……。」

「今日は少し話があってきました。」

「そうですか。とりあえず、中へどうぞ。」

男を中に通す。

すれ違いざま、男から独特の香水のにおいがした。

「すみませんね、何分私しかこの研究室にはいないもので。適当に座ってください。」

私がそういうと男は近くの椅子に腰かけた。

「それで、一体何の要件です?」

「とあるウイルスの研究をしているそうだな。」

「……! ……どこでそれを?」

「すまないが、調べさせてもらったよ。」

「なるほど。確かに私はとあるウイルスの研究をしていますが、そんなに大したことはできていませんよ。」

何故だろう。

この男には素直に話す気になれなかった。

直感が告げる。

こいつにEXウイルスを渡してはいけないと。

「それで、相談なんだが……」

来るか?

私は覚悟を決める。

「そのウイルスを私に譲ってほしい。」

「譲る……ですか。またまた、それはどうして?」

「そのウイルスが必要なのだ。」

「必要ね……。ですが、素性もわからないあなたに譲ることもできませんし、あなたの素性がわかったところで、私はウイルスを譲るつもりはありません。」

「金は出そう。」

「そういう問題ではなくて、本当に譲るつもりないんです。もともと少ないウイルスで研究をしていて、ぎりぎりの状態なんです。ですから、あきらめていただけませんか?」

「……。」

男は無言だった。

「研究費、施設の維持費、給料の支給……ざっと見積もって1000万$は出そう。」

「……!」

それは破格の金額だった。

約10億円。

ただの研究に出す費用ではなかった。

それほどまでにEXウイルスを欲する理由は何だ?

だが、答えはすでに出ていた。

「いくらお金を出すといわれてもできません。」

「……。」

男はじっと私の眼を見る。

鋭い眼光だ。

たじろいでしまいそうになるのを必死にこらえる。

「……わかった。」

私に譲る意思がないのがわかったのか、男はそう切り出した。

「あなたの気が変わるまで私は何度でもここに来よう。では、失礼する。」

男はそういうと、研究室から出ていった。

「……ふぅ~ああぁ~……。」

体から力が抜け、思わず素っ頓狂な声が出てしまう。

「もういい?」

「ああ、もう大丈夫だ。」

そういうと、奥の部屋から怜一が出てくる。

「それじゃあ、続きをやろうか。」

「うん!」

怜一に数学を教えている間もずっとあの男のことが頭から離れなかった。

嫌な予感がする。

怜一が寝静まった頃、私は阿部に連絡を取った。

『はい、阿部です。』

「阿部か? 桔梗だ。」

『おお、怜史じゃないか。それで、今日はどうしたんだ?』

「すこし変な来客というか、なんというか。」

『珍しいな。その研究室に来客が来るなんて。』

「そうだろう? それで、ウイルスを譲ってほしいって来たんだ。……どう思う?」

『それはタダで譲ってくれと来たのか?』

「いや、給料とかその他もろもろ支給するからと。」

『いい条件じゃないか。だが、確かにおかしい気もするな。』

「だろ?」

『ふむ……。明日、お前の研究室に行ってもいいか?』

「もちろんだ。」

『そうか。なら詳しいことはそこで話そう。私がいる間にその男が来るかもしれないしな。』

「そうだな。その時は頼むよ。」

『ああ。それじゃあ、また明日。』

「ああ。」

電話を切ると、静寂があたりをつつむ。

阿部にはいろいろと世話になった。

そうだ、怜一を紹介しよう。

きっと、驚くだろう。

昔話に花を咲かせるのもいい。

私はそんなことを思いながら眠りについた。


 * * * * * 


「よく来てくれたね。」

「ほう、ここがお前の研究室か。……珍しくずいぶん片付いてるじゃないか。」

「珍しいって……まぁさすがにな。そうだ、紹介しよう、怜一!」

「もういいの?」

「ああ、こっちに来てくれ。」

そういうと奥の部屋から怜一が出てくる。

阿部はきょとんとした顔をしていた。

「……この子は?」

「私の息子の怜一だ。」

「……は?」

「だから息子だって。」

「息子? お前、奥さんは?」

「いないさ。」

「ってことはお前……!」

阿部は気づいたようで少し怒気を含んだ顔になったが、すぐにやれやれと言い始めた。

「お前、いいのか?」

「ああ。」

「なら気にしないさ。……怜一君だったね。私は阿部。お父さんの古い友人だ。」

「よろしく!」

元気よく怜一は阿部に手を差し出した。

「ああ、よろしく頼む。」

阿部はその手を握りかえした。

「それで相談なんだが……。」

「ああ、変な来客の話だろ?」

「そうなんだ。」

それから阿部に昨日のいきさつを話した。

「ふむ……外国人の男……か。」

「ああ、おかしいと思わないか?」

「確かにな。いきなり来て、しかも10億円の援助を行うなんてどこの国家プロジェクトだよ。」

「破格すぎるよな。」

「……用心した方がいいだろう。」

「そうか。できるだけ気をつけてみるさ。」

「確か、大学の時もお前はいろいろとトラブルを起こしてくれたな。」

「いろいろってなんだよ、いろいろって。」

「突然、動物の死体を持ち帰ってきたり、内臓を精巧に作ってその場に全員を驚かせたりと、今思えばその程度っていう話なんだけどな。」

「学部違ってもそういうところにだけはちゃっかりいるんだよな、お前。」

「お前が私がいるときに持ってくるからだろう。」

「そうだっけ?」

「はぁ……。」

阿部はわざとらしく深い溜息を吐く。

こうして冗談を言い合えるのもこいつだからだろう。

それからしばらく昔話に花を咲かせた。

「さて、そろそろお暇するよ。」

「ああ、忙しいのに来てくれてありがとうな。」

「気にするな。……ひとつ聞いていいか?」

「なんだ?」

「どうしてあの子を作ったんだ?」

やはり聞いてくるだろうと思った。

「それを説明するには少し時間がかかる。簡単に言うなれば、世界のためだ。」

「世界のため?」

「ああ。いずれ世界は人の死に鈍感になる。戦争を忘れ、医療が発達すれば人は死が隣にあることなんてすっかり忘れてしまう。他人の死に涙を流すようなそんな時代じゃなくなってきてるんだ。今の状況でこの状態ならば、10年20年先にはもっとひどいことになる。EXウイルスは超人的な力を得る代償に死について鈍感になってしまうウイルスだ。だが、そのEXウイルスに感染したものが、その死について理解した時、驚異的な力を発揮する。彼が死について理解して悲しむことができるなら世界はまだ救いようがある。私は彼に、いや“彼ら”にすべての思いを託してるんだ。だから私は彼らを誕生させた。それが許されることじゃないとわかってても。」

「……そうか。お前はお前なりに覚悟を決めたんだろ。だったら私は何も言わないさ。」

「お前だけだよ。笑わないでいてくれるのは。」

「むしろ、笑えないの方は正しいかな。」

阿部は冗談ぽくそういった。

「おいおい。」

「冗談だよ。それじゃあな。」

阿部はそういうと研究室から出ていく。

政治家になってから忙しいだろうにここまで来てくれるのはあいつのやさしさだろう。

「あのおじさん、またあえるかな?」

「もちろん。」

私は怜一の頭を撫でる。

えへへとうれしそうに笑う怜一の顔を見て、私はまた覚悟を決めた。


 * * * * * 


「……っ! この顔は……!!」

テレビで演説をしている新アメリカ大統領。

その顔には見覚えがあった。

『私は今後、研究の分野にも力を入れていくつもりである。そのためにも我が国の研究者を支援していこうと思う。』

「何を言っているんだ……!」

さも当たり前のように言っている男は何度も何度もこの研究室に訪れ、私にウイルスを譲れと何度も迫ってきた男だった。

「……! 怜二!」

私はまだ培養器の中に入ってる息子を守るため、培養器にカバーをかけ、カギをかけた。

そして、私はそのカギをとある場所へと送った。

これで、研究室を荒らされなければ怜二は守れるだろう。

培養器には手紙を添えておいた。

手紙を読んだあいつならちゃんとした対処をしてくれるはずだ。

だが、怜一はどうする。

阿部に預ければ、阿部に被害が及ぶ可能性がある。

だが、連れていれば実験台にされる可能性がある。

どうすればいい……!!

「……だいじょうぶ?」

頭を抱えていると怜一が心配そうにそうたずねてきた。

「ああ、大丈夫だ。少し考え事を、な。」

「あ、このおじさん……!」

怜一がテレビに映った男を指さす。

「ぼく、このひときらい。」

「ほう。またどうして?」

「だって、パパをいじめるもん。」

「はははっ。そうかそうか。いじめられてるように見えてたのか。」

もしかすると、この子は本能的に理解しているのかもしれない。

この子は私が昔、設計した機械の設計書を見て仕組みを理解していたことがあった。

もしかすると、知恵の方に関しても劇的な変化があるのかもしれない。

だが、そんなことを考えている時間はなかった。

「……すまないな、怜一。」

「なにが?」

「お前を巻き込んでしまうかもしれない。」

「でも、パパがいっしょなんでしょ? ならだいじょうぶだよ!」

そう言ってくれるのがたまらなくうれしかった。

私は怜一を抱きしめる。

「ああ、そうだな。かならず私が守るよ。」

両手に伝わる暖かな感覚。

この子が確かに生きているという証だった。

その時だった。

研究室のドアが乱雑に開けられる。

私はすかさず怜一をかばうような体勢で男に向き合った。

「桔梗 怜史だな。」

「お前たちは一体、何者だ?」

「それをお前が知る必要はない。一緒に来てもらうぞ。」

男は拳銃を突きつける。

「私が死ねば、お前たちが望む研究はできないんじゃないのか?」

「いや、死ぬのはお前じゃない。そこの子供だ。」

「なにぃ……!?」

「それが嫌なら来てもらうぞ。」

「くっ! 従えばいいのだろう。ただし、息子には手を出すな。」

「ああ、約束しよう。だが、その子供も一緒に来てもらう。」

「なに!?」

「後々、面倒なんだよ。それともここで息子が死ぬか?」

「くそっ!」

怜一を守るためには仕方がなかった。

私にもっと知恵があればこの窮地になる前に手が打てただろう。

今更、後悔しても遅い。

私は怜一をつれ、研究室を出ていく。

『では、アメリカ新大統領・アンドリュー・ブルックリンに盛大な拍手を!!』

そうテレビの声が研究室を出ていくときに聞こえてきた。


 * * * * * 


手足を縛られ、窓もない暗い部屋に私は連れてこられた。

無理やり座らされた椅子の向かいに一人のお子が座った。

「こんなところに連れてきて一体、何をさせるつもりだ?」

「もちろん研究だよ。」

私の向かいに座る男はそう答える。

その男こそが、アンドリュー・ブルックリンだった。

「研究だと?」

「ああ。お前が研究していたウイルスの研究を引き続きここでやってもらう。ただし、強制的にな。前回言った条件が付いてくると思わないことだ。」

「なるほど。そこまでしてあのウイルスが欲しいか。お前の目的は一体なんだ!!」

「貴様が知ることではない。息子の命が惜しいのなら素直に従うことだ。」

「くっ! 卑怯な……!」

「勝てばいいのだよ、勝てば。」

そういうとアンドリュー・ブルックリンは部屋から出ていく。

そこでやっと私の手足の拘束が解かれる。

「これがお前の研究室にあったウイルスだ。要件は後から書類で伝える。食事は支給されるが、それ以外のものが支給されると思うなよ。」

「待て。怜一に会わせてはくれないのか?」

「会いたいのならば黙って研究を続けるんだな。」

監視員であろう男がそう言い残し部屋から出ていく。

扉にはのぞき穴と、食事を出す穴があるだけでドアノブなどは一切なかった。

鍵も扉も外からしか開けられないようになっているらしい。

この実験器具にまみれた部屋で私の生活は始まった。

だが、その生活もすぐに終わった。

突然、激しい地震が建物を襲った。

「地震!?」

しばらくすると揺れは収まった。

「無事か!?」

監視員が心配そうに入ってきた。

「ああ……。それにしても今のは?」

「隕石が降ってきたんだ。」

「隕石だって……!?」

「お前には朗報だな。息子に会えるぞ。」

そう言いながらも監視員は手際よく私の手に手枷を付けていく。

「ちゃっかりとやること、やってるじゃないか。」

「すまないな。これも仕事なんでね。」

監視員は悪びれもなくそういった。

「君には家族はいないのか?」

私はそう尋ねてみる。

「いるよ。」

「隕石が落ちてきたのだろう? 心配じゃないのか?」

「心配だよ。」

「心配しているように見えないんだが?」

「だって、隕石が落ちた場所はこのアメリカの山中だ。俺の家からは遠く離れている。そんなところに行くはずもないさ。」

「なるほど。だが、それでも心配する理由があるのならきっとそれは私と同じ理由だろう。」

「そうだと思うよ。」

男は手枷をつけ終えると、私を立たせ、部屋から出て行かせた。

しばらくして、男は私をある部屋の前に立たせた。

「この中にお前の息子がいるぞ。」

だが、男は手枷をはずさない。

私はドアノブに手をかけ、扉を開けた。

「・・・・・・! 怜一!!」

分厚いガラスの向こう。

たくさんのコードにつながれた怜一の姿がそこにあった。

「これは一体、どういうことだ!? 息子には手を出さない約束だろう!!」

「息子がただの人間ならば私もそうしていたさ。」

天井に埋め込まれたスピーカーからあの男の声がする。

「アンドリュー・ブルックリン・・・・・・!!」

「彼、桔梗 怜一は普通の人間ではないことくらいすでに調べがついていたよ。」

「はじめから怜一が目的だったのか!?」

「実験材料として、その彼を作ったお前の人質としての二つの役割を持った物だからな。これほど都合のいいものはなかった。」

「怜一は物じゃない! 今生きてる人間だ!!」

「人造人間に情でも持っているのか?」

「お前という人間は・・・・・・!!」

そのときだった。

「ぐあああああああああああああ!!」

「怜一!!」

怜一が突然大きな声を上げて苦しみだした。

「それ以上、私にはむかえばさらに強い電撃を与えてもいいんだぞ?」

「やめろ! やめてくれ!!」

そういうと、怜一の声が収まっていく。

「・・・・・・!!」

「さて、自分の立場がよくわかったかね。偽りの息子を大切にしたいなら、私の言うことを聞くことだ。」

「くっ・・・・・・!!」

それ以上、スピーカーからは何も聞こえなかった。

「はじめからこれを見せるのが目的だったのか・・・・・・?」

「・・・・・・。」

「何か答えろよ!!」

私は監視員の胸倉を掴んでいた。

「俺にそれを答える資格はない。」

「っ!」

監視員の胸倉を話すと、怜一の元へと向かう。

だが、分厚いガラスの壁がそれを阻む。

「怜一・・・・・・すまない。守るといったのに・・・・・・。すまない・・・・・・。」

ただその嗚咽だけが、ただむなしく響いていた。


 * * * * * 


それから私と怜一は宇宙に連れて行かれた。

「ここがお前たちの研究室だ。」

とうとう逃げ場がなくなってしまった。

「そして、これが指令書だ。」

渡された紙を見てみる。

そこに書かれていたのは衝撃的な内容だった。

「インフルエンザウイルスとEXウイルスを結合させて、新種のウイルスを作るだって・・・・・・!? 生物兵器でも作らせるつもりか!?」

「黙って作れ。息子の命が惜しければな。」

そういうと男は答えも聞かずに研究室を出て行こうとする。

「待て! まだ話は終わっていないぞ!! ・・・・・・くそっ! 作るしかないのか・・・・・・!!」

私はいやいやだが、研究を始めた。

EXウイルスがそもそも生物を変えてしまうウイルスだ。

まず私はインフルエンザウイルスにEXウイルスを入れてみた。

すると、インフルエンザウイルスに変化が訪れた。

「これは・・・・・・どういうことだ?」

インフルエンザウイルスが突如として感染機能を失ったのだ。

それはもうEXウイルスに飲み込まれたといっても過言ではない。

「まさか、EXウイルスが今まで消滅しなかった理由ってほかのウイルスを吸収して自分たちの子孫を維持していたのか!!」

感染機能はなかったのではなく、そもそも感染する機能を持つ必要がなかった。

EXウイルスはもしかすると、すべての生物を吸収して成長するウイルスなのかもしれない。

「まるで巨大なデータベースじゃないか・・・・・・。」

私はそのウイルスをマウスに感染させてみた。

すると、マウスが血を流し始めたのだ。

「そんな・・・・・・馬鹿なことが・・・・・・。」

インフルエンザウイルスはEXウイルスとなっていた。

今度はEXウイルスにインフルエンザウイルスを注入してみた。

すると、EXウイルスはインフルエンザウイルスを吸収し、感染機能を手に入れた。

もともと持っていなかった感染機能をもったEXウイルス。

それはもうEXウイルスとは別のものだった。

まるでEXウイルスの鏡写しのようでもあればインフルエンザの鏡写しでもあるそのウイルスを私はこう名づけた。

「Exinamirrorウイルス……イギナミラウイルス……。」

とたんに襲い掛かる恐怖。

それはまるで、取り返しのつかないことをしてしまったような気がした。


 * * * * * 


「人体実験だと!?」

「ここに集められた空間にイギナミラウイルスを散布してもらう。なに、こいつらは地球で殺人を犯した極悪人だ。気に病むことはない。」

「そんなことを言ってるんじゃない! どんな人間であれ、虐殺は許されたことじゃない!!」

「だが、やらねばお前の息子が死ぬだけだ。散布はこっちでやるからお前は実験のデータだけまとめておけばいい。」

「まてっ!!」

とたんに散布される、イギナミラウイルス。

直後にかかるアナウンス。

『いまからあなたたちには治験をしてもらいます。それが無事に終わればあなた方ははれて自由の身ということです。』

うぉぉっと囚人服を着た男たちが雄たけびを上げる。

その姿を見て、私はなんともいえない気持ちになった。

逃げろともいえず、ただ目の前の命を見殺しにするしかできなかった。

一週間後、感染した全員に発疹が確認され、囚人たちは全員死亡が確認された。


 * * * * * 


それからしばらく実験を続け、イギナと命名したイギナミラウイルスに適合した人間を調査した。

EXウイルスとイギナミラウイルスの違いといえば感染機能以外に死についての感情が残っていたということだ。

つまり、この人たちは生き残り、死にゆく仲間の姿をその目で見てきたのだ。

どれほどつらいだろうか。

私が作ったウイルスがこうして実験されていく度に私の理想が遠くなっていくような気がした。

それからイギナにタイプがあることも判明した。

これははじめてわかったことだ。

怜一にもそれは適応できた。

つまり、EXウイルスで強化されるのはある程度、ばらつきがあるということだ。

それはEXウイルスとの相性でしかないだろう。

そして、EXウイルスと同じように耐性は遺伝するらしい。

だが、遺伝といっても兄弟に耐性があれば自分も耐性があるというだけで、それが子供に確実に遺伝するとは限らなかった。

これは父親と母親でどちらかにEXウイルスの耐性がなかった場合があるからだろう。

そのレポートをまとめていると、男が研究室に入ってきた。

「これが次の指令書だ。」

「これは・・・・・・!!」

そこに書いてあった内容はイギナミラウイルスの遥か上を行くものだった。

「これを本気でやるつもりなのか!!」

「黙って作れ。」

男はそれしか言わない。

そして研究室を出て行く。

ばたんと言う音がやけに大きく感じる。

「……」

「だいじょうぶ?」

「ああ、大丈夫だ。お前を守るって言っておきながらこの様じゃあな。」

あれから無理を言って実験時間以外は怜一をこの研究室に連れてきてもいいことになった。

「お前は大丈夫か?」

「だいじょうぶだよ。」

明らかに無理をしている。

子供がそう気を使うほど私はひどい顔をしているのだろうか。

「……さ、もう寝なさい。」

「うん。おやすみ。」

そういうと、怜一は奥の部屋に敷いてある布団に向かっていった。

奥の部屋には培養器があり、その中には”04チャイルド”のEXウイルス注入前の胎児が浮いていた。

「……すまない。どうやらお前たちをちゃんと生まれてこさせることはできないようだ。」

私は決意する。

そのレポートの一番後ろに手紙を書き残していく。

隣には怜一が寝ている。

まだ幼い彼にも、まだあったことのない怜二にも私は私のわがままを押し付ける。

だめな父親だなと思いつつも、そうせざるを得なかった。

私は突きつけられた指令書に従うわけにはいかなかった。

「すまない、怜一。お前を守りきれない父親を許してくれ・・・・・・。」

怜一は何も答えない。

今はそれでよかった。

返答を聞けばきっと決意が鈍る。

私は次の朝来るであろう男を待った。


 * * * * * 


「怜一を渡すわけにもエクシードウイルスを作るわけにもいかない。」

早々と男にそう言い渡す。

「そうアンドリュー・ブルックリンに告げろ。さもなくば、イギナミラウイルスをばら撒くぞ!」

男はいやいやそうにアンドリュー・ブルックリンに連絡を取った。

しばらくして、アンドリュー・ブルックリンが現れた。

「研究をしないというのはどういうことだ?」

「言葉通りの意味だ。私は私を殺してまで自分の理想を汚したくはない。」

「強情だな。それがどういうことかわかっているのか?」

「もうすでに私の研究に関するものはすべて破棄した。もうお前たちに従わないぞ。」

「……。」

アンドリュー・ブルックリンはすこし怒っているようだった。

私は培養器の後ろに隠れている怜一に目をやる。

怜一は心配そうにこちらを眺めていた。

「……その意思を変えるつもりはないんだな?」

アンドリュー・ブルックリンは怒気を含んだ声でそうたずねてきた。

「ああ。何度言われようとこの意思を変えるつもりはない。」

「ならば、お前は用済みだ。」

アンドリュー・ブルックリンは懐から拳銃を取り出すと、私にその銃口向けた。

「さらばだ、桔梗 怜史。」

ためらいもなく放たれる弾丸。

「(怜一、怜二。世界を頼んだぞ。)」


 * * * * * 


弾丸は桔梗 怜史の頭部を貫通し、その血を机の上に撒き散らした。

「……死体を片付けておけ。それと、あの人造人間を探し出せ。」

アンドリュー・ブルックリンはそう告げると、研究室を出て行く。

その手で人を殺めたというのにその立ち振る舞いは何事もなかったかのようだった。

「……さっさと片付けるぞ。」

男たちは面倒くさそうに頭部に穴の開いた怜史の死体を抱える。

「はなせよっ!!」

どんと培養器がひとつ、男たちを襲う。

それは怜一が殴り飛ばした培養器だった。

「う、うわああああああああああああああ!!」

男がひとり培養器に押しつぶされた。

腕と、足が何とか形を保っているだけで、後はつぶれて何がなんだかわからない状態だった。

「しねよ!!」

自分より遥かに小さいそれも子供なのに、逃げ惑う男。

本能的に逃げなければ殺されるとそう男は自覚していた。

だが、怜一は容赦をしない。

それはやっかみを起こした子供のようで、手加減のない一撃だった。

普通の子供であれば痛いの一言もないような攻撃。

しかし、怜一は”04チャイルド”、生まれながらのイギナだった。

男の顔が一瞬でなくなる。

ぴくぴくと痙攣するだけで、男は動かない。

「あああああああああああああああああああああああああああ!!」

子供の叫び声が血のにおいが充満した研究室に響く。

一通り、叫ぶと怜一は研究室を出て行く。

その行き先は誰にもわからなかった。


 * * * * * 


「……?」

時は少しさかのぼり、流星群襲来前の地球。

阿部は怜史からの不思議な手紙にわけがわからなかった。

手紙というには文字が書かれた紙は入っておらず、ただ鍵が一本入っているだけだった。

「なんなんだ?」

阿部は無意識にスーツの内ポケットにその鍵をしまった。

受け取った直後はあまり気にしていなかったその鍵。

だが、事態は流星群の襲来によってがらりと変わる。

空から落ちてた大量の隕石。

それは世界各地に落ちていった。

「……! 無事か!?」

「ええ。なんとか。」

阿部は妻の無事の確認をした。

テレビをつけてもノイズが走るだけで何も映らない。

電話もつながらなければ、メールも送れない。

インターネット回線など、使えたものじゃなかった。

「くそっ! 現状はどうなっている!!」

阿部は車で国会議事堂のある東京に向かった。

だが、その途中で衝撃的な事実を知った。

「隕石が東京に直撃しただと……!」

ただでさえ、首都が機能しなくなったというのに、その被害は甚大なものだった。

「っ!」

そこで阿部は思い出した。

首都に近い場所で研究をしていた友人のことを。

「怜史!」

阿部は怜史の研究室へと向かう。

いつにもまして阿部はあせっていた。

何とかしなければならない。

そういう責任感のようなものに駆られていた。

駐車場に乱雑に止めると、怜史の研究室を目指す。

「怜史!!」

研究室の扉を乱雑に開けると、そこにはあらされた研究室の姿があった。

「怜史! どこにいる!!」

いくらそう問いかけても返事はなかった。

いないのかと思ったが、阿部はとある違和感を感じた。

この研究室はたしか、もうひとつ部屋があったはずだ。

だが、今はその扉が見当たらない。

その代わりに棚が動いているようだった。

その棚を動かすと案の定、奥の部屋に続く扉が出てきた。

「奥の部屋か・・・・・・?」

阿部は奥の扉に手をかける。

だが、そこ扉には鍵がかかっていた。

「まさか、この鍵は・・・・・・!」

阿部は内ポケットから鍵を取り出す。

鍵穴に入れてまわすとガチャリという音を立てて扉が開いた。

中にはいると、そこには電気がついていなかったが、ひとつだけ淡い光を出すものがあった。

それにはカバーがかけられていて、足元にすこし明かりがこぼれている程度だった。

阿部はカバーをはずす。

そこには胎児が浮いていた。

「これは・・・・・・!!」

それは間違いなく怜史が作った子供だった。

その子供を見ていると、培養器に手紙が貼り付けられていることに気がついた。

『阿部、これを見ているということは私に何かあったということだろう。すまないが、頼みがある。怜二を頼む。培養器の操作はファイルが近くにあるだろうからそれを見てくれ。』

手紙にはそう書かれていた。

「桔梗……怜二。」

培養器の中に浮かぶ胎児の名を呼んでみる。

「この子が……。」

阿部はファイルを探し出し、培養器を操作する。

赤子を取り出すと、阿部はスーツの上着で包んだ。

そして、家につれて帰るとバスタオルにくるみなおして、もう一度、出かける。

怜二は泣いてはいなかったが、息はしているようだった。

車はとある孤児院の前で止まった。

「すまない! だれかいないか!!」

「はい……。」

中から穏やかそうな女性が出てきた。

「隕石でこの子の両親が死んでしまったんだ! だが、私には訳あってこの子を育てることができない。頼む! この子を育ててほしいんだ!」

女性は何も聞かずに「はい。」と答えた。

「すまない! この子は桔梗 怜二って言う名前なんだ! よろしくお願いします!」

そういうと阿部は車に乗り込み、孤児院を後にした。

「……行っちゃった。」

阿部が立ち去った後、その車を見送る女性。

車が見えなくなるまで見送ると、女性は赤子の顔を覗き込んだ。

「これからよろしくね。怜二君。」


そして、物語は現代へとつながる。


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