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ミシュナ  作者:
15/19

子猫 2

結局、スーラ様の飼い猫探しは、私達も手伝うということで落ち着いた。






「ミシュナー、怒ってる?」


ひょい、と顔を覗き込んできたツェン姉様に、私は顰めっ面を見せた。


「強引すぎです」


「ごめんね」


頭を撫でられて、溜め息をつく。


「あんまり目立ちたくないのに」


「………」


頭を撫でる手が止まったので顔を上げると、苦笑しているツェン姉様がいた。


「目立たないようにするのは、難しそうねぇ」


「なんでですかー」


むくれていると、ツェン姉様は茶器を片付けていたミンを振り向いた。


「…この子、どうしてこんなに自覚がないの?」


なんの話だ。


「…何故でしょう。私もずっと不思議に思っているんですけど」


ミンも何を言っているんだろう。


「なんのことですか?」


「あなたは、いるだけで目立つような綺麗な顔をしているから」


「それはないです」


「…なんでそんなにきっぱり否定しちゃうのかしら」






片付けを終えた私達侍女は、ツェン姉様の周りに集まる。


ある程度手掛かりがあった首飾り探しの時とは違い、今回は人手がないと苦しい。そこで、アイリャ、メイ、ミンの3人に、一緒に話を聞いていたシャオ、それからもう2人、リアンとセリファという侍女が猫探しに加わってくれた。



「まずは、どこをどう探すか、大まかにでも決めておかないとね」


ツェン姉様が口火を切る。


「ですが、手掛かりが…」


「スーラ様が住んでいらっしゃる辺りを中心に、捜索範囲を広げていきましょう。白い猫なら目立つはずよ。誰も見ていない、ということはないと思うの」


リアンの言葉に答えながら、ツェン姉様は紙を取り出した。広げたそれを覗くと――、そこには後宮の見取り図が描かれていた。


「では、この辺りからですね」


「そうね」


2人は普通に会話しているけれど、ちょっと待って欲しい。そんな物を持っている理由がさっぱり分からない。


唖然としていると、同じようにぽかんとしていたシャオが口を挟んだ。


「あ、あの、見取り図なんてどこで…」


「私が描いたのよ」


ツェン姉様、図を描くのが上手だ…じゃなくて。


「調べて描いたんですか?」


「そうよー。書庫の資料を元にして、あちらこちらをみんなで手分けして歩き回って」


「なるべく同じ歩幅で歩く練習をしたものです」


リアンがしみじみと付け加える。


「私も知りませんでした…」


「セリファは最近来たものね」


「あの」


ふと、誰も言及しない問題に気付いた私は、そろりと声を掛けた。


「これ、他人の手に渡ると…」


「色々よろしくないわね。重大な情報だから」


「やっぱりー!」


どう考えても危険物だ。


「大丈夫よー。ちゃんと管理しておくから」


「いやいやいや、処分しましょうよ!こんな危ない物!」


「あら、せっかく作ったんだから活用しないと」


「………」


頭が痛くなってきた。






2人1組で探すことが決まったので、組分けをする。


「セリファは私とよ。まだ後宮に慣れていないでしょう」


「はい、お願いします」


ツェン姉様はセリファと。


「では、私は娘と組みましょう」


「がんばります!」


アイリャはメイと。


「私、あんまり広い範囲を移動したことがないので、よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


ミンはシャオと。


「じゃあ、残りは私達ですね」


「はい、よろしくお願いいたします」


そして、私はリアンと組むことになった。


「さあ、可愛い小さな姫君の悩みを解決しに行きましょう!」


元気よくツェン姉様が立ち上がる。そして、


「姫様!もう少し淑やかに!」


シェイザに叱られていた。


…前にも同じようなことがあった気がする。


私達は苦笑しながら、後に続いた。

ツェンニャの変人エピソードがまた1つ。

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