旅路
世界の果てまで続いているという、一本の長い長い道がありました。
その道の終わりには神様が住んでいるのだと伝えられていましたが、これまでたどり着いた者は一人もいませんでした。
ある時、一人の青年が一台の馬車とともに道の終端を目指して旅を始めました。
その道は本当に長く、遥かに霞むその果てまで、いったいどのくらいかかるか想像もつきません。
そして青年の長い旅もまた、いつまで続くのか全く終わりが見えませんでした。
その長い旅の中で、青年は家族を得ました。
妻を得て、たくさんの子にも恵まれました。
それでも道の終端は遥か彼方にあり、青年の長い旅は続きました。
青年が壮年になり、馬車を息子たちに任せるようになってもまだ終わりが見えませんでした。
さらにたくさんの孫もできて、男の顔に深い皺が刻まれるほどの時間が過ぎたころ、ついにその時がやって来ました。
ようやくこの長い旅の終わりが見えたのです。
孫たちに負ぶわれて、老いた男は神様の元にたどり着きました。
神様は初めて自分のもとまでたどり着いた男を労い、特別に一つ願いを叶えてあげることにしました。
それを喜んだ男は、神様にこう願いました。
「神さま、私は大切なものも幸福も、すべてこの旅の中で手に入れました。ですから、これからもずっと旅を続けたいのです」
神様が男の願いを聞き届けると、それまで世界の果てだったその道の終端が、大地とともにどんどん伸びてゆき、やがて道の先は地平線に隠れて、ついには全く見えなくなってしまいました。
こうしてこの時から地球は丸くなったのです。




