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魔王軍物語・ZERO ~最強フェンリルに拾われた転生者は、規格外の勇者となり、やがて魔王と呼ばれる~  作者: じゆう七ON
1章 転生タロウ

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第6話 魔化種(まっかだね)の作成

――それから、さらに1年が過ぎた。


 タロウは7歳になった。  心身ともに健やかに、そしてその内側に秘めた力は、日を追うごとに強大に成長していた。


 しかし、リルが課した『魔力コート』の訓練は、想像を絶する難易度の壁となってタロウの前に立ちはだかっていた。


「うう……やっぱり、どうしても破れちゃうよ……」


 小屋の裏手で、タロウは自分の手を見つめて肩を落としていた。


 それは、燃え盛る太陽を薄い布一枚で覆い隠そうとするようなものだ。


 どれほど意識を集中させても、ふとした拍子に規格外のエネルギーが内側から突き抜け、『着ぐるみ』をボロボロにしてしまう。


 落ち込むタロウを見て、リルは今日一日の訓練を休みにすることを決めた。


「タロウ、今日はもうおしまい。お勉強も訓練もなし! その代わり、今日は特別に『魔化種まっかだね』を作って遊びましょうか」


「まっかりね? なにそれ、食べられるの?」


 顔を上げたタロウの瞳に、わずかに光が戻る。リルはいたずらっぽく微笑んだ。


「食べられないわよ。これはね、イメージを形にする――世界で一つだけの魔法のおもちゃよ。さあ、準備しましょう!」



◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



 リルはあらかじめ用意していた材料をテーブルに並べた。


 透明で美しい『月光石のカケラ』、森で採ってきた20センチほどもある大きな『幻キノコ』、そして魔素を吸って青々と光る『魔化草』。


「まずは粉作りよ。タロウ、お願いできる?」


「うん! まかせて!」


 タロウは乳鉢を受け取ると、月光石のカケラを丁寧にすり潰し始めた。


 キリキリ、ゴリゴリ。あっという間に、キラキラと輝く『月夜の祈り(粉)』が出来上がった。


 次はリルが鍋を火にかける。刻んだ魔化草を煮出すと、部屋中に爽やかな森の香りが広がった。


「さあ、ここが一番大事なところよ。タロウ、この幻キノコを鍋の上でギュッとして」


「こう? えいっ!」


 タロウがキノコを握りしめると、中から『幻のしずく』がポタポタと滴り落ちた。スープに触れた瞬間、鍋の中が虹色に輝き、パチパチと小さな火花が散る。


「わあぁ! きれいだね、リル!」


「ふふ、もっとたくさん絞って。今日は奮発して、たくさん種を作りましょう」


 二人は笑いながら、次々とキノコを絞っていった。


 仕上げにタロウが作った『月夜の祈り』を投入すると、スープは一気に粘り気を増し、やがて鍋底に、不思議な弾力を持つ大きな塊が残った。


「できたわ。これを小さくちぎって、種みたいに丸めるのよ」


 二人は並んで座り、せっせと手を動かした。手軽に遊べる『白い種』を大量に、そして最後に、リルが特別に魔力を込めて練り上げた、持続時間の長い『黒い種』も多めに丸めていく。


「さあ、これを乾かしたら、魔法の種の完成よ」


 しばらくして、乾燥してカチカチに固まった種を二つの袋に分けた。


 遊び用の『白い種』が詰まった袋と、特別な『黒い種』を入れた袋。タロウは二つの袋を大事そうに腰にぶら下げると、期待に胸を膨らませた。



+++ +++ +++



秘薬おもちゃ「魔化種」の製法


【材料】


〇 月光石のカケラ

 満月の光が特に強い夜、特定の石が月の力を吸って変化した、ガラスのように透明な美しい石


〇 月夜の祈り

 月光石のカケラを細かく砕き、サラサラの粉状にしたもの


〇 幻キノコ

 森に自生する20cmほどの大きなキノコ。中には『幻のしずく』と呼ばれる不思議なエキスが詰まっている


〇 幻のしずく

 幻キノコを絞ることで得られる、キラキラと輝くエキス。見る者の脳に直接働きかけ、イメージを映像化させる魔力の核となる。この滴数によって、現れる幻覚の持続時間が決定される。


〇 魔化草

 ダンジョンなど魔素の濃い場所に生える、生命力に満ちた野草


【調合手順】

1 【粉作り】 月光石のカケラを丁寧にすり潰し、『月夜の祈り(粉)』をあらかじめ用意しておく。


2 【煎じ出し】 鍋に水を張り、細かく刻んだ魔化草を入れて中火でコトコトと煎じ、ベースとなるスープを作る。


3 【エキス注入】 鍋の上で幻キノコを直接ギュッと絞り、『幻のしずく』をスープに加える。(※長く遊ばせたい時は、たっぷりと絞り入れる。)


4 【結合】 スープに『月夜の祈り(粉)』を投入する。


5 【濃縮】 そのまま火にかけ続けると水分が蒸発し、鍋底にモチのようなダンゴ状の塊が残る。


6 【成形】 その塊を指先で小さくちぎり、本物の植物の種のような形に丸めて固める。


7 【完成】表面が乾けば、子供たちが遊べる魔法の種『魔化種』の出来上がり。



【色の濃さと持続時間の目安】


投入する『幻のしずく』の量によって、種の色の深みが増し、魔法の持続力が強くなります。


【白】 持続時間:約30秒 (ひと絞り程度。サッと遊べる日常用。一瞬のいたずらや手品に)


【ピンク】 持続時間:約3分 (少し贅沢な量。ごっこ遊びに最適。ヒーローと少しお喋りできる時間)


【赤】 持続時間:約10分 (かなり濃縮された量。何かをじっくり出現させて眺めたり、おもちゃとして遊ぶ用)


【紫】 持続時間:約30分 (特別な日用。水面の色を変えて、夜の景色をゆっくり楽しむ際などに使用)


【黒】 持続時間:1時間以上 (幻キノコを何本も使った最高級品。村のお祭りや、特別な催し物で使われる)




【説明と遊び方】


 魔化種は、植物を育てるための種ではなく、使う者の『イメージ』を媒介にして鮮やかな幻覚を周囲に映し出す魔法の種です。


〇 想像の具現化

 地面に投げると、その場にイメージした通りの『人間』や『物』が忽然と姿を現します。憧れのヒーローや、現実には持っていないおもちゃと一緒に、夢のような時間を過ごすことができます。


〇 なりきり着せ替え

 色をイメージして相手に投げると、当たった瞬間に服の色が塗り替えられたように見えます。ごっこ遊びの配役を決めるのに最適です。


〇 幻想的な水面

 色をイメージして水面に投げ入れると、水の色が宝石のように変化し、美しい波紋と共に幻想的な景色を作り出します。


 現れるものはすべて、魔化草と月の力が生み出した一時的な『幻』です。30秒から数分が経過すると、幻覚は光の塵となって消えてしまいますが、その儚さこそが『魔化種』遊びの醍醐味であり、子供たちが次の満月を心待ちにする理由でもあります。



+++ +++ +++

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