5 満月の夜は特別 【大人表現有】
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5 満月の夜は特別 【大人表現有】
満月が近くなるとタイちゃんはキス魔になる。
普段から大概だけど、更に輪をかけてを回数が多くなる。
そして満月の夜がそのピーク。
「タイちゃん、唇が腫れちゃうよぉ…」
唇を食べられちゃいそうな、ちょっと乱暴なキスにアタシは力なく苦情を漏らしてみる。
舐めて吸って。
こんな時のタイちゃんは、やりたい放題。
力の入らない手で硬い胸板を押し返してみるけどビクともしやしない。
ちゅぷ。
リップノイズが耳をくすぐる。
ホント、やりたい放題。
こっちは酸欠なのと気持ちイイのとでクラクラだっていうのにぃ。
しかもアタシの両手は抵抗虚しく速攻まとめて摑まえられちゃった。
「喰われたくなかったら好きにさせろ」
戯れるようなキスから深い大人のキスに変るのなんてアッという間。
条件反射とは恐ろしいもので、上唇の内側を舌先で撫でられるとアタシの唇は思わずフニャって開いちゃう。
その隙をタイちゃんは逃したりしないからさすがだよ。
タイちゃんの舌がアタシの口の中に滑り込む。
ヌルリとした生々しい感触。
独立した生き物のように内側の軟らかい部分を蹂躙されると、思わずビクッと体に震えが走る。
どうしよう、すごく気持ちイイ…。
両手の自由を奪われて自分を支えられないから、足も小刻みに震え始めて思うように立ってられない。
「…は…ぁ…ん…っ…」
きゃーっ!
息継ぎするのに鼻から変な声が漏れちゃったよ。
居た堪れないというか、こっ恥ずかしいったらない。
「ツキ…、もうちょっと舌出せ」
人の気も知らずにタイちゃんは変なリクエストをしてくる。
勘弁してよぉ。
おこちゃま指数の高いアタシには、今現在の状況でいっぱいいっぱいなんだってばぁ。
ガクガクになってるアタシをタイちゃんは腰に腕を回して軽々と自分に密着させてくる。
そんなにしたら、爪先立ちになっちゃうよぉ。
そんなにしたら、しがみ付きたくなっちゃうよぉ。
タイちゃんがアタシに口付けるのには理由がある。
満月の夜に傍を離れないのにも理由がある。
その事をアタシもちゃんと解ってる。
でも。
だからこそ、色々と考えてしまうの。
本当にこんな流されてばかりで良いのかなって。
というか。
タイちゃん少しは手加減してよぉ。
ぴちゃ…ぴちゃ…って音経てないでよぉ。
そんなに勝手無尽に口腔を撫で回さないで!
そんなにアタシの舌を吸わないでぇ!
アタシだって満月の夜はチョビっとだけ理性飛んでるんだよ。
いつもにも増してドキドキ倍増なんだよ。
タイちゃんの体から立ち上る香りにクラクラして気を失いそうなほどなんだよ。
思わず抱きつきたくなるほど頭が沸騰しそうなんだよ。
逆にアタシがタイちゃんを襲っちゃったら、どーするのよぉ。
そうこうしている内に限界きちゃいました。
ええ、もお独りで立ってられません。
よってタイちゃんの背中に腕を回して思いっきり抱き付いちゃうことにします。
「手、離して? もう逃げない……」
えーい、この際だからギュウギュウに甘えちゃえ。
開放された両腕をタイちゃんの首に、ぶら下がるように回す。
体をピタリとすり寄せれば、タイちゃんもアタシの状況を分かってて、直ぐに背中に腕を回してギュッと抱き返してくれる。
ああ、タイちゃんの腕の中って安心できて幸せかもぉ。
「…ん…っ…ん……」
アタシは差し込まれたタイちゃんの舌を軽く窄めた唇でチュプと吸い上げながら、舌先で彼の舌裏を 撫で上げる。
これ、されると気持ちイイんだよね。
してるあたしも気持ち良くなってくる。
「…っ…ふぅ…」
いつもタイちゃんがしてくれるから今日はアタシがお返しするね。
アタシだって積極的に気持ち良くなりたい日が、たまにはあるんだもん。
なんて甘い雰囲気にトロンとなりながら夢中になってたら、何やら唸るような声。
「キスだけじゃ我慢できねぇ…」
という恐ろしい呟きが聞こえてきたから、さぁ大変。
「ひゃんっ」
うわっ!!
耳たぶ、耳朶しゃぶったぁぁっ!!
「きゃぁっ!!」
首筋、甘噛みしないでぇぇっ!!
もしかして、アタシ。
ヤリ過ぎましたか?
身の危険が迫ってますか?
うーん……。
色々な意味で危ないみたいで困ったなぁ。
でも、今は離れ難いなぁ……。
満月の夜は二人して理性の蓋が開きそうになるので要注意なのですぅ。