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ペトリコールに融けるふたり  作者: 白い黒猫
あとがき

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60/60

この物語について

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本作は「11:11:11」シリーズ六作目にあたります。


このシリーズでは、同じ構造の現象が毎年繰り返されます。

しかし、そこに関わる人間と、その関係性が変われば、結果もまた変わっていきます。


これまでの流れは、以下の通りです。


• 2018年

 『11:11:11 世界の中心で』/主人公:佐藤宙


• 2019年

 『世界の終わりで西向く侍』/主人公:土岐野廻


• 2025年

 『バッドエンドの向こう側』/主人公:佐竹愛花


• 2026年

 『バッドエンドはもう来ない』/主人公:誕生日のみ判明しているサブルーパー


• 2027年

 『美しくて優しい世界』/主人公:貢門命架


いずれの物語も、「11月11日生まれの人物」と「別の月の11日生まれの人物」が、7月11日に起こる事故をきっかけにループ現象へ巻き込まれる、という共通の構造を持っています。



今回描いたのは、井上称央子と井上舞という二人が、現象の中で様々な人と向き合う中で探り悩み選択していくという物語でした。


悪とか善とかではなく、正しいとか誤りとかでもなく、この状況下の二人にとってベストな道を模索したのがこの結末だと思っています。


最後に出てきた十和一絵ですが、11月11日生まれから分かるように核ルーパー候補です。

そして舞原氏は、ルーパーズ会議にも話題に上がった【記扉】の監督。

眞光崇裕によって、舞原監督と十和一絵はセットで現象が起こり得る場所に配置された存在でした。

二人はは何も知らず、あの展示室で仕事をしています。


なぜ十和一絵は助かったのか?

称央子が核の役割を引き受けたことで、十和一絵は結果として死を免れました。

逆に言えば9月11日生まれの舞原監督は、8月11日生まれの舞が来たことで巻き込まれています。


かつて称央子が天環を核にすることで生き延びたように、今度は彼女自身が犠牲になる側に回った。

それは因果応報と呼べるのかもしれませんし、ただの巡り合わせなのかもしれません。

十和一絵自身は、今後も候補であり続ける事になるので、たまたま今回助かったとも言えます。


そして強烈な存在感を示した眞光崇裕ですが、冷徹な人物ではありません。

同胞愛や家族愛は、むしろ強く持っています。

しかしそれ以外の人間は、彼にとって役割を持つアイコン的な存在であり、駒でしかないという考えの人です。


称央子と舞の関係もまた、彼にとっては情報を引き出すための大切な駒。

それなのに彼は読み違えました。

舞という人物の心を。

合理を超えて、感情を選び続ける舞という人間性を見誤りました。


七星四季館で起きた出来事は、眞光にとって敗北でとまではいいませんが、想定外の事だったろ思います。

まだ聞き出したい情報が残っていたので。


舞原監督は、それらの思惑に巻き込まれただけの存在。

ただ、そこにたまたま配置させられたにすぎない。多分眞光の想定ではこの年犠牲にはならないだろうなと想定していた駒だった。

ここもまた、この現象が持つ残酷さの一つなのでしょうね。


称央子と舞が辿り着いた場所が、果たして救いだったのか?

ただ二人は、自分たちで選んだ結果なので、もう生贄を用意して戻る事はないと思います。

その過程で、舞原監督という存在を巻き込んでいますが………。


舞の行動は、現象を制御しようとした眞光と称央子にとって、確かに小さくない誤算だったのだと思います。

それでも二人は次の手を仕掛けるために動いていくのだと思います。


称央子のこの物語においての罪は何なのか? 未必の故意で人を事故に巻き込ませた事ではなく、眞光という人物に現象のルールを教えてしまった事なのかもしれません。

それによって、この現象は、もはや偶然だけのものではなくなってしまいました。

それが救いなのか、より深い悲劇の始まりなのかは、まだ分かりません。


AIに聞いてみたら“社会的幸福”ではなく “存在論的幸福”を選んだと言うことでハッピーエンドだそうです。


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