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私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます  作者: Karamimi


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第15話:グラディオンは何でもお見通しです

「おい、一体何の騒ぎだ。何をしている?」


 こちらにやって来たのはグラディオンだ。


「何でもないのよ、グラディオン。気にしないで。さあ、稽古を続けましょう」


 グラディオンの背中を押し、何食わぬ顔で稽古を再開する。


 ただ…


 まずい、足が痛い。でも、今足が痛いというと、きっと皆心配するだろう。大丈夫よ、きっと大したことないだろうし。


 必死に傷みに堪えながら稽古をしていると


「ジャンヌ、話しがある。ちょっと来てくれ」


 私の元にやって来たのは、グラディオンだ。今度は何の用だろう。よくわからないが、彼に付いていく。


「お前、足を怪我したのだろう。さっきから足を庇っているな」


 ギク!


 どうしてバレたの?私はバレない様に、上手く動いていたはずなのに。


「えっと…その…」


「俺がいない間に、基礎トレーニングも行わず、そのまま副隊長と打ち合いをしただろう?俺が何も知らないと思うなよ」


 どうしてそれを知っているの?この人、超能力が使えるのかしら?それとも、監視用のカメラでも付いているの?そっと辺りを見渡すが、そんなものはなさそうなのだが…


「俺は少し前に戻って来て、お前たちの様子を見ていたんだよ。大方皆に心配をかけたくないとかの理由で、怪我をした事を言わなかったのだろう。全くジャンヌは!そもそも、1週間も竹刀を握っていなかったのだぞ。それなのにこの隊で俺の次に強い副隊長に手合わせを頼むだなんて。あいつもあいつだ。手加減なしでジャンヌに竹刀を振るうだなんて」


「待って、副隊長は悪くないわ。私がお願いしたの。だから、副隊長には何も言わないで。グラディオン、勝手な事をしてごめんなさい。以後気を付けるわ。だからどうか、この隊から追い出さないで」


 やっと昔の様に、楽しい日々を取り戻したのだ。ここを追い出されたら私…


「俺がお前を追い出す訳ないだろう。俺が怒っているのは、怪我をしているのに黙っていた事だ。とにかく、今から医務室に行くぞ」


 何を思ったのか、グラディオンが私を抱き上げたのだ。


「ちょっと、グラディオン。何をしているの?私は自分で歩けるわ」


 そう訴えたのだが…


「怪我の状況が分からない以上、自分で歩くのは良くない。第一ジャンヌはすぐに無理をするからな。もしかしたら、物凄く痛いのかもしれないし」


「きっとただの捻挫よ。あなた、隊長でしょう。見れば大体わかるわ。大したことない事くらい」


「黙って手合わせをしたり、怪我をしたのに黙っていた罰だ。大人しくしていろ!」


 なぜかグラディオンに怒られてしまった。もう、グラディオンったら…


 それにしても、グラディオンったら、本当に立派になったわね。4年前は私とほとんど身長も変わらなかったのに。今はぐんと伸びて、頭1つ分は大きくなっている。それに凄い筋肉だわ。


 私を軽々と持ち上げるだなんて…


 グラディオンもやっぱり、男性なのね…て、私は何を考えているのかしら?なんだか急にグラディオンを異性として意識してしまったせいで、猛烈に恥ずかしくなってきた。


 そもそも私、こんな風に男性に抱きかかえられた事なんて、今までお父様くらいしかなかったわ。それなのに今…


「ジャンヌ、どうしたんだ?顔が赤いぞ。まさか熱があるのか?」


 そう言うと、ゆっくりグラディオンの顔が近づいてくる。まさか口づけ?さすがにそれは…


 1人勝手に興奮し、目を閉じると、コツリと私のおでこに自分のおでこを当てるグラディオン。


「何か熱い気がするが、熱はない様だな。よかった」


 そう言ってにっこり微笑んでいる。


 何が良かったよ!て、私ったら、何を意識しているのかしら?相手はグラディオンなのに。


 でも…


「ほら、医務室についたぞ。ジャンヌの顔、まだ赤いな。大丈夫か?」


「あ…赤く何てないわよ。医務室まで運んでくれてありがとう。もう大丈夫だから、グラディオンは戻って」


 これ以上グラディオンと一緒にいると、増々赤くなりそうだ。私、本当にどうしてしまったのかしら?本当にもう!


「いや、怪我の状況を確認してから、一緒に戻るよ。またジャンヌが無理をするといけないからな」


 そう言ってグラディオンが笑っていた。この人、私の事を全く女扱いしていないわね。まあ、私も女扱いなんてして欲しくないと思っていたけれど、少しくらいは意識しなさいよ!


 て、私は何を考えているのかしら?もう、今日の私、一体どうしたのかしら?


 診察の結果、軽い捻挫との事だったが、なぜか診察中もずっと私の隣に寄り添い、様子を見ていたグラディオン。


 そのせいで、なぜかずっと心臓の音がうるさくて、治療どころではなかったのだった。

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