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16.空間魔法




 ―――U歴350年7月1日―――


 翌日は、船に乗って少し下流に場所を移した。

 夕方は、また、昨日のキャンプに戻るつもりだが、あの辺りは昨日魔物を全滅させたため、今日の索敵でも魔物が見つからなかった。

 30分ほどで着陸し、索敵すると、半径1km中に無数の魔物を発見したので、急いで地図に書き足した。

「う~ん。これだけ魔物がいると、今日はこちらの岸だけで1日終わってしまいそうだねえ。早速順番つぶしていくよ」


 俺はストーンキャノンに風魔法を乗せて放つ練習を始めた。

 少し始動は遅くなるが、弾の速度、威力は倍増したように思えた。

 弾の飛行速度が上がったので、始動の遅れはカバーできそうだ。

「いいじゃないか。次は接近戦の練習をしてみるかい?サラン、コースケと前衛、後衛交代だ。」

 サランも風魔法と土魔法が使えるからラウラーラ師匠に少し教えてもらっていた。

 エアカッターもストーンキャノンも威力と飛距離が伸びたと喜んでいた。


 サランの先制攻撃がホーンベアにダメージを与えるが、すぐに反撃してきた。

 俺は死角から足を狙ってストーンキャノンを連発して、魔物が大勢を崩したところで風魔法を乗せたストーンキャノンを放ってとどめを刺した。

「いい動きだ。悪くないよ。次は風魔法でけん制して、ストーンキャノンでとどめを刺してみな」


 夕暮れまで魔物を倒し続けて、今日の討伐数は50体になった。

 素材を回収して、昨日のキャンプ場まで戻り、ご飯食べ、風呂に入った。

 今日はケンブが料理してくれたが、肉を串にさして、野草と一緒に焼いたものが非常に美味しかった。

「この森には食べられるものが多い。覚えておくといいだろう」

 土魔法と生命魔法は、畑を作ったり、植物を育てたりするのにも使われるようで、薬草学と相性がいいようだ。

 薬草学も覚えてみたい。


 寝る前に師匠に相談した。

「空間魔法かい?確かに収納魔法が使えれば便利だね。もし使えれば、今回も素材だけでなく肉ももっと持って帰れたろう。私が使えない魔法をあんたに教えてあげられるかわからないが、きっかけは与えられるだろう。魔力調整をやろう。まだ、魔力は残っているかい?」


 俺は頷くと両手を師匠の肩に乗せた。師匠も両手を俺の肩に乗せる。

「少し強めに行くよ。私の魔力であんたの体の中の魔力を刺激するからね。気を失ってもいいから、抵抗するんじゃないよ」

 そう言ってる瞬間から、師匠から大量の魔力が流れ込んできて、俺の体内を駆け巡った。

「ぐぐぐ……」

 思わず呻き声が漏れるが、師匠は止まらない。

 気が遠くなりかけた時に俺の身体のすぐ後ろに何か広大な空間が存在しているような気がした。

 その空間に逃げ込むように魔力を流し込んだ時、俺の意識と空間がつながった。


 気がつくと師匠の膝を枕にして寝ていた。

「大丈夫かい?15分ほど気を失っていたよ。あんたの中に空間魔法の魔力を感じたんだが、自分で使える感じはあるかい?」


 俺は起き上がると魔力を流して、俺の背後に感じる空間とつなげてみた。

 すると何か真っ黒な口のようなものが現れた。

「亜空間だね。中がどれくらいの大きさか大体わかるかい?」

「たぶん50m四方くらいはあると思います」

「すごいじゃないか。いろいろ入れて取り出して実験してみようか」


 最初は取り出すのに苦労したが、コツをつかむと瞬間的に出すことができるようになった。

 魔物の死体は問題なく出し入れできた。さすがに、勝手に解体されて出てくることはなかった。

 地面に生えた木は収納できないが、切り倒した木は収納できた。

「明日これまで倒した魔物の死骸をすべて集めて回ろう。もう食い荒らされたものもあるかもしれないが、できるだけ状態のいいものを選んで収納しよう。一財産作れそうだよ」



 ―――U歴350年7月2日―――


 翌日は、昨日の討伐エリアで死体を回収した後、反対側にわたって、魔物を討伐し続けた。

 今日の討伐数は40体。夕方にはキャンプ地に戻って、食事と風呂の準備を始めた。

「空間魔法が使えることがばれると少し厄介かもしれないねえ。どこか倉庫を借りて保管し、ギルドの限られた職員と倉庫で取引した方がいいかもね」

 師匠がいろいろ考えてくれる。

「いずれにしろ明日が魔物討伐最終日だ、昼過ぎには川を下って、街に戻るよ」



 ―――U歴350年7月3日―――


 今日は、魔物討伐最終日。昨日までの討伐魔物数は115体。多いかどうかわからないが、自分なりには頑張ったと思う。

 約80体の魔物の死体も回収できた。


 昨日までのポイントよりももう少し下流に移動した。


 着岸するとすぐに探索を実施する。探索範囲ぎりぎりで魔物が集まっているポイントを見つけた。

「師匠。何か魔物が集まってます」

「ん?そうかい?私も探索をやってみるか……本当だ。これはおかしいねえ。20体程度だけど、魔物が集まってるね。ここからちょうど1kmくらいだね。見つからないように慎重にいくよ」

 その場所は森の中で少し開けた野原のようになっていて、猿のようなピンク魔物が約20体思い思いに座ったり、寝転んだりして、まるでくつろいでいるようだった。

「なるほど、ピンククラスターエイプの集団だったのか。こいつらは集団で行動する珍しい魔物だ。この数は倒すのが大変だから諦めて退散しよう。奴らの集団戦はなかなか厄介だからね」


 さっさと退散すると決めた師匠に続いて、急いでその場を離れて船に戻ってきた。

「さて時間も少ないし、ポイントを変えて次の魔物を探そう」

 船に乗って反対側に着岸した。こちら側には普通に魔物が点在していた。

 いつものように順番に魔物を倒して、死体を回収して船に戻った。

 最終日は25体の魔物を討伐して、死体を回収できた。


「さあ、街に戻って、素材を売って、金を稼ぐよ」




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