ダイビング
「ダイビング」という言葉を辞書で引くと
1水中に頭から飛び込むこと、またた水泳の飛び込み競技
2飛び込むように 宙に身を躍らせること (例スカイダイビング)
3水中にもぐること
4飛行機の急降下
とある。
さて、ゴンとノーム達が 第一張り出し岩で遊んでいた時のこと、
ポンポンが 温泉プールの上に落っこちた。スカイボードの上から。
ノームは泳げない。
というか これまで水泳経験もなければ、水泳という発想もなかった。
(なにしろ 洞窟暮らしなもので)
あわてふためくノーム達の思念にから、そのことを知ったゴンは あわてて温泉プールに飛びこみ、水中にもぐって沈んでいるポンポンの体を足指でつかんで 空中に飛び出した。
「うー重い!」ゴンはぼやきつつ地上にSOSを送った。
ゴンの思念をいち早くキャッチしたミューズは、ポンポンをつかんだゴンが岸につくのとほぼ同時に 地上から転移してきて到着した。
(ミューズとコンラッドは、ゴンが スカイボードに乗ったノーム達と遊ぶようになってからは、
念話よりも伝達が早い「思念キャッチ」の魔法をゴンにかけて、緊急事態に即応できるようにしていたのだ。
この「思念キャッチ」というのは、魔法をかけられた者が身の危険を感じたときを、ダイレクトに感知する能力だ。
「かけられた者の危険」を感知するのは、もちろん「魔法をかけた側」の者だ。
ミューズとコンラッドは、ゴンにかけた魔法で、地底で遊ぶゴンの危険を察知する。
一方ゴンも、自分にかけられた魔法に興味を持って、コンラッドやスカイから教わって、
ノーム達と一緒に遊ぶときには、ノームに「思念キャッチ」の魔法をかけていた。
これはコンラッドやミューズが使っている魔法よりはかなり弱く、効果も限定的だが、
ゴンとしたら、自分の何気ない動作で 友達(ノーム達)が怖い思い・痛い思いをしていないか気づくために、この「思念キャッチ」魔法を覚えて使いたかったのだ。)
ミューズは すぐにポンポンを診察して手当てした。
幸いにも ポンポンは水中に落ちたらすぐに、身体機能を休止していたので
ミューズに「起きろ!」とひっぱたかれたらすぐに気が付いた。
「まったくびっくさせおって」
ミューズの転移を補助したあと 続いて転移してきたコンラッドが言った。
「すまん。」ポンポン
「しかし 落盤事故に会った時と同じように 水中でも身体機能を休止すれば
身体に支障がないとわかってよかったよ」ポンポン
「何をのんきなことを言っておるか!」
コンラッドは 素早くゴンの体を確かめてから言った。
「このさいだ、お前たち 泳ぎをおぼえろ!」
コンラッドはプンプンしながら言った。
「ていうか、温泉プールの浅瀬とか 休憩岩にぶつからなくてよかったね」ゴン
「ああ それは スカイボードに乗るときには身に着けるようにと渡されたお守りのおかげだ。
あれは 墜落した時に、地面などにたたきつけられる衝撃をやわらげるようになっている。
それで ポンポンもうまく着水することができたのだ」コンラッド
「たしかに 休憩岩にあたることなく、すべるように水の中に入って行ったね」
ピーター
「しかし 本来なら そこで立ち上がるなり、泳ぐなりして助かるはずが
なにゆえ さっさと身体機能を止めて成り行きませにするのだ><」コンラッド
「泳げないからさ。そもそも ノームの体は浮くようにはできていない」ポンポン
「そんなわけなかろうが!」コンラッド
というわけで、コンラッドによる「水泳ブートキャンプ」により ノーム達は全員泳げるようになった。
ノームの体が沈みやすいとノーム達が思い込んでいたのは、
水を怖がるあまり、力んで体を固くするので、水中での姿勢が変な具合になって顔が水の中に沈むからであった。
水の中でノームがリラックスできるように、ミューズが手を差し伸べて、物理的に補助したり、
あるいは歌を歌ってノーム達の緊張がほぐれるように精神的な援助を行ったり・・
さしづめ 鬼の軍曹コンラッド、温和な上官ミューズといったところか?
特訓のかいあって、水泳を身に着けたノーム達。
すると・・
ノーム達は スカイボードの上から 温泉プールへのダイビング遊びを始めた。
水上に浮かんだボードの上から温泉へ飛び込む。
操る者を失ったボードは 当然、飛び込んだノームの後に続いて落ちてくる
それを 別のノームが スカイボードにのって素早くキャッチしに行く。
「見よ! この華麗なるダイビング技&連係プレー」というわけである。
ミューズとコンラッドは 意外と気の若いノーム達のふるまいにあきれてしまった。
「いやー ゴンと遊んでいるうちに 気分が若返ってのう」大ちゃん
「この温泉 飛び込みができるほどの深さは なかったはずだけど」ミューズ
「そこはそれ 魔法じゃよ。衝撃回避の魔法。
あの 守り袋にこめられてあった魔法を応用して 自分の魔力を使って発動できるように覚えたのだ」ポンポン
「ワーそのやり方教えて!」
ゴンも 大乗り気で魔法を覚えて 自分も 温泉プールに飛び込んで遊び始めた。
「温泉プールでダイビング♬ 楽しい楽しいダイビング♬」
ゴンの即興歌 である。
とうとうミューズも 仲間入り。
ミューズは
・華麗に、体を伸ばして 前飛びや後飛び(後ろ向きに飛び込む)で、伸びやかな体幹や四肢の美しさを見せたり
・膝を抱え込むようにして(抱型)空中で素早く回転したり
・体を伸ばしたまま(伸型)でひねりを加えて、動きの妙を見せたり
・ピンと伸ばした足を抱えてまるで伊勢エビのように 跳ねる姿を披露したり
と、ダイビングの技をいろいろと試しましたとさ。
コンラッドは 安全監視員よろしく 飛び込み遊びをする子供達(今だけ ノームもミューズも子供の仲間入り)の見守り役に徹しました。




