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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
     ゴンの冒険!
79/92

うさぎの餅つきとワーム

ミューズが ノーム達を第一の張り出し岩に連れ出して、そこでスカイボードの練習をさせていた頃、ゴンは 白い台地の近くの荒れ地で 楽しそうにしっぽを振り回しながら 歌を歌っていた。


「ぺったん ぺったん それつけ やれつけ 黄金こがねうすに銀のきね♬」


元唄はかつてミューズが短期滞在していた世界の童謡「月夜の兎」(水田光作詞・高沢隆作曲)なのだか はるか昔のことなので、節はともかく 歌詞も題名もミューズの頭の中で変化したものを ゴンはミューズから教わった通りに歌っていた。

  メロディの変化が楽しいうえに、歌詞は平易でわかりやすく、情景が目に浮かぶようなこの童謡が ゴンはお気に入りだった。


そして ゴンの悲願!の一つが「この歌を歌いながら 餅つきのイメージで地面をしっぽで叩いて拍子をとりたい!」であった。


 だって「十三七つのお餅をついて お月様にあげるって素敵じゃないか!」ゴン


しかし これを地上でやると、人里に被害が出る><


地中洞窟や 張り出し岩の上でやるのも 崖が崩壊する可能性大で却下

白の台地の上も同様の理由で没


というわけで やるとしたら 荒れ地しかない。


しかし 荒れ地の下にはワームが住んでいる。


しっぽで叩けば ワームが飛び出してくること間違いなし!


というわけで ゴンの頭上では スカイボードに乗った清明が待機していた。

 もちろん 清明が載るスカイボードを操るのは同乗しているコンラッドだ。


なぜ 清明がここに居るかといえば・・



かつて心眼使いとして鳴らした清明

 当時の清明は 眼も悪く一人ぼっちだったが

 刀をとっては世界一♬

 

 スイと刀を振るって、スパっと一刀両断する快感が、すべての鬱屈・憂さを吹き飛ばし薙ぎ払う快感であった。


今の清明は めでたく縁談もまとまって 約1か月後には結婚式

コンコーネ領も今や安泰で めでたい事限りなし! の状態ではあったが・・

 たった一つの不満は 刀を振るう機会がまったくないこと。


「むかし あこがれても無駄だとあきらめていたものすべてが手に入った今になって

 昔の私にとって たった一つ手にしていた居合切りが恋しくなるなんて」

ある日 清明は スカイを前にこぼした。


 その頃 スカイ国王は 政務の疲れ王宮の窮屈さから一時(ひととき)開放されるには、居酒屋で飲むのが一番と考えて、さる居酒屋を買い取って ある知り合いに経営させ

自分が一息入れたくなった時には お忍びでそこに飲みに行っていたのだ。

 といっても お忍びとはいえ護衛はうるさい、何かといえば側近のアランから呼び出しがかかる。

 「これでは 息抜きにもならない!」プッツンしたスカイは、

 自分が飲みに行く日は 居酒屋を借り切ることにして、

 非番の護衛達を連れて居酒屋に転移して、護衛達にはそのまま1階で好きに飲み食いさせ、

 自分は清明を呼び出して2階の個室でのんびりと雑談にふけることにしたのだ。


 ちなみに がっちり者のスカイは、「非番の護衛達の飲食代は自分達で居酒屋店主に支払え!」 と護衛達に言い渡してある。


 そういうスカイ国王のことを「吝嗇りんしょく・しみったれ」と言った者がいなかったわけではないが、そういう者はあっさりと解職され、心の中でそのようにつぶやいていた者(=立場をわきまえる賢い者)達は、すぐに 国王様による送迎で 貸し切り居酒屋で人目も気にせず自分達のペースで好きに楽しめる慰労会もいいもんだ♡と楽しむようになった。

 なにしろ スカイ国王と一緒の時だけオーナー割引で 通常よりかなり安い値段で飲み食いできるから(笑)


 しかも その居酒屋は いつスカイが訪れても良いように、居酒屋スタイルながらも食材は良質☆と巷でも人気の優良店(普段はお値段それなりにお高い)

 にもかかわらず スカイ国王のお供で飲食するときだけは 一般の居酒屋並みかそれより心持お安い値段で、上等なレストランなみの品質とおいしさの飲食ができるとあれば♬

 おかげで 今では 護衛達にとっては、王様が息抜きに行くときに非番に当たれば超ラッキー♬という ハッピーアワー☆ラッキーデー☆と呼ばれるようになったひと時。


(ちなみに王宮の護衛達の勤務体制は、当番(=警戒にあたる)非番(形式的な当番なので控え室で待機・睡眠も可)休日(自宅待機)に分かれている。

 非番というのは、昔の荒れた時代の名残なごりで、今では当日欠勤に備えた補欠のような存在)



 そんなある日 清明がこぼした愚痴を聞いたスカイは言った。

「君が秘密厳守の誓を再度立てるなら、腕の振るいどころを提供するよ」


というわけで、清明は、スカイボードの素材採取には 短時間の呼び出しで応じ、

今日は日帰りで、ゴンのお遊びに付き合っているわけである。



・・・

「ペッタン♪ ペッタン♪」ゴンが ご機嫌で地面をたたく


飛び出すワーム

 そこにスカイボードがスッと近づき 清明は刀を振るう


   ワームは胴切りにされたぐらいではくたばらない

   それでも体が短くなったら うまく飛び上がることができずに、

   切り飛ばされた体は地面にころがってしまう


   そこを 今度はゴンが しっぽで叩き潰すのだ。


ゴンとて 後ろは見えないが、魔ウサギ猟で 体の後ろの魔素のたまった生物の存在を感知する術を磨いて、今では 後ろに居るのが仲間なのか 敵や獲物か判別不能かを識別できる様になっていた。


それゆえ 体の後ろ しっぽの届く範囲にワームのきれっぱしが転がっていたら それを感知して叩き潰す。

 地面に埋もれている下半身ももちろん叩き潰す


ちなみに前や横、つまりしっぽの一撃を加えられない所にワームが転がっていれば とりあえず上昇して、後は 清明・コンラッドチームに任せている。


清明は 胴切りにした後のワームを 今度は縦割にすることによりとどめを刺す。


それなら 最初からワームを縦割にすればよいではないかと突っ込む方もいるかもしれない。

 しかし 考えてみてほしい。

 地面から飛び出したワームの下半身は いまだ地下に埋もれているのである。


そこを 頭から地上に出ている部分を縦割りにしたらどうなるか?

 スプラッタな光景が浮かんでくるだろう?


 しかも ワームは生命力が強いから 体の半分が縦に裂けても平気だ。

 そのまますぐに地に(もぐ)って逃げてしまう。


 それにワームには 食料を取り込む口と排泄する肛門はあっても、

 脳なんてものはない。


 人間が便宜上頭・尾と呼ぶところは、ワームにとっては入口・出口でしかなく

どっちか一方がある部分を失っても 傷口を再生するときに 失った入口または出口を作ればよいだけなのだ。


というわけで ワームをやっつけるには 縦横に刀をふるって四つ切りにするか、

とりあえず 入口部分と出口部分を切り離したあと、残った部分を裂くか 完全に叩き潰すしかないのだ。


それでは 地中に居るワーム全体をつぶせばいいとおっしゃるあなたにはこう申しあげよう。


 地底洞窟の荒野の下に潜むワームは巨大で、そんな一気につぶせる大きさではないのだ。


 その全身は ゴンの全長よりも長い。幅だって 今はワームの方がデカかったりする。

  なにしろ 何万年も生きているから。


だから 地上に飛び出した部分を清明に切り飛ばされ、

地下に潜ったままだった下半身の一部をゴンに叩き潰されたとしても

ワームの出口側は たいてい地下のより深い部分に逃げて生き延びて再生してしまう。

 それでも 体のかなりの部分を失って、短くなってしまうから、

 次に地上に顔を出したとしても・・


 その時に再び地上に飛び出した部分をやっつけられれば さらに体は短くなり・・

 そのうち ゴンにとっての脅威ではなくなってしまう。


だって ワームの成長=身長が伸びるには 千年単位の年月が必要だから。

 ワームは 長寿な反面 成長が すごく遅いのだ。

 傷口をふさぐための再生は 割と早いけど



というわけで、前半はドタバタしたゴンのお遊戯であったが、

最期には ワームに邪魔されることなく ゴンは 歌い切った! しっぽを振りながら。


そこで満足したゴンは、地上に戻って、ボロンとデュランが用意してくれていたお団子をしっかりと食べて 月見をして寝ましたとさ。


 その日は十五夜ではなく 午後の三日月だったけど そんな細かいことは気にしないゴンでありました。


 たくさん遊んだ日は 夕暮れ時には寝てしまうゴンちゃんでありました。

(参考)

「月夜の兎」の出典は「幼児歌曲集」前項図書館協議会基本図書(小学校)

  山本道子編集

  音楽教育社 昭和42年4月10日改定 再版印刷 同年4月15日再販発行


 3歳児さんが 口ずさむのにぴったりな 短いながらも物語性の高い さらに具体的視覚的描写に富んだ歌詞と 陽気でスキップしたくなるようなメロディーと落ち着いた部分が程よく組み合わさり音域も 男女ともに子供が無理なく歌える範囲に収まった素敵な楽曲集です

 もちろんピアノ伴奏もメロディーラインに沿ったもの

 (だから 和音が多くて指の長さとピアノスキル:ツェルニー30番終了以上と安定した正確なリズム感が必要)


幼児さんにとっては なじみやすく人気の高い歌ばかりの曲集なのですが

日教組から排斥されたのか、大衆化した曲も後の世代に引き継がれなかったのが残念です


 教育にイデオロギーを持ち込んで、すべてを変質させ、全領域に機能不全を引き起こした日教組の所業は、今も日本むしばむ深刻な「悪」であったと考えます。

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