アランの愚痴
ドワーフギルドが カンカンの問題で忙しくしていたころ、アランは自分の執務室でぼやきまくっていた。
「スカイ国王の為にがんばったのに~~!」
「なんで 僕ばっかり責められるんだよ~~~」
「ドワーフ差別なんて 昔のことじゃないかぁ
確かに 心の中の思い込みとして 僕の中に誤ったイメージが残っていたことは認めるけどさ~
なのに ボロンもデュランも 何をじじむさいこと言っているんだ~~~~」
そこに、スカイにこっそり頼まれて、アランの愚痴に付き合っていた清明が 口をはさんだ。
「あのさ デュランって 今いくつだっけ?
王宮技術院で30年以上勤めて 一応定年退職扱いじゃなかったっけ?」
「えっ?」
アランは書類を確かめる。
「え~~ デュランって100歳! 僕のじいちゃんより年上だ~~~~~」アラン
「あの顔で100歳なんてありえない!
詐欺だ!
てっきり僕より年下かと思ってた~~~」アラン
「ドワーフは長生きで 人間には ドワーフの外見を見ただけではその年齢が分からなってよく言うよね」清明
「だけど デュランって 見た目小柄な人間って感じで 全然ドワーフっぽくないのに~~~~~~~~」アラン
「だからさぁ デュランにとって身近な存在であるご両親の経験談ってのは
僕たちにとったら ひいひいじいちゃんやばあちゃんの時代の出来事で
デュランのこれまでの人生体験も どっちかといえば 僕らの父や祖父母の体験と同じなんだからさぁ そこはちゃんと踏まえて対応しないとだよ」
清明はゆっくりと 持参のワインをなめながら言った
「そんなの 聞いてない
国王も そういうこと あらかじめ言ってくれたらよかったのに」アラン
「スカイも けっこう老成していると思うけどな
それに あの人は 魔法使いらしく 物事の本質を見て 外見をあまり気にしてなさそうだし」清明
「う~~~ 僕は 一般人なんだぁ~~~~」アラン
・・・
翌日 アランは ドワーフの外見に惑わされず、
人間よりも長寿な種族が持つ生活感覚の中には、自分達の祖父母の頃の生活経験も含まれていることを十分考慮して対応するようにと 異種族関係の案件に出会った時の王宮職員留意点を書き留めた。
自身の失敗談と共に。
そして 今回の一件の反省点を踏まえたうえで作成した、王宮窓口にドワーフ関係者が現れたときの留意点集をもって、ドワーフギルドに行き、正式に謝罪するとともに
ボロンとデュランへも 謝罪の手紙を送った。
それを読んだデュランとボロンは
「道理で話がかみ合わなかったはずだ!」と納得した。
「僕たちって 見た目年下 中身じいちゃん・ひいじいちゃん・ひいひいじいちゃん感覚の存在だったのか!」デュラン
「これだから 人間との付き合いは 面倒なんだ><」ボロン
ドワーフギルドの古参職員たちは、人間側が ここまで気づいて留意点としてまとめて人間間で情報共有してくれる時代になってよかったなとうなづきあった。
「人間の若造に見くびられんようにと ひげを長く伸ばすと、不潔じゃの 画一的じゃのと批判する癖に、面倒なヒゲを剃って さっぱりとした顔で対応すると いつまでもたっても若造扱いしてきおるし・・
すぐ しわくちゃになる人間ごときに わしらの艶々健康的お肌を理由に差別されとうないわい!」とぼやく者も居たが(笑)
スカイもまた アランへのフォローを清明に頼んで正解だったなと思った。
人間として生まれても 社会人になるまでの期間を 人間と直接かかわることなく神獣や異種族の間で育ったスカイにとっては、アランだけでなく人間一人一人が謎の存在、早い話がすべての生物が自分にとっては異種族であり、自分には親や友人は居ても、自分の同族はいないと感じて生きていたので。