宴のあと・ゴンのリボン
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こぉけこっこ~
うわぁ~
翌朝 雄鶏の時の声に続いて ボロンの叫び声が響いた。
「だ だ だれだ? 君は!」
目が覚めると 隣に金髪の美少女が眠っているのに気付いたボロン
彼の悲鳴で起こされたのか 目を開けた美少女は
にこ~と笑い 上半身を起こした。
「なんだ 君か びっくりした」ボロン
「やった! やっと君をびっくりさせることに成功した!」
ガッツポーズを決めるミューズ
「まいった 参りました。
君 眠っているときは すっごい美少女でお姫様だ」
ボロンは少し顔を赤らめベッドから降りようとしたら
「ここは 君の部屋。
またね~」
そういって 手を振りながら ミューズが陽気に部屋を出て行った。
(はぁ 木綿の透けない生地とはいえ、ネグリジェなんか着てベッドにもぐりこんでいたミューズは あれは絶対に計画的だな。あーびっくりした)
ボロンはベッドの上に座って ミューズを見送った。
そのあと、朝ぶろに入り、階下に降りてオレンジジュースを飲み、桃を食べ
寝室に戻って2度寝することにした。
二日酔いの解消には ビタミンと水分と睡眠が一番! とばかりに。
一方ミューズは、1階のお風呂に入って酒の臭いを落としてから
家畜たちの世話をしに行った。
キッチンの伝言板に「朝の仕事は僕がやるから、ボロンはゆっくりと休んで♡」とメッセージを残して。
そう 今では 館の2階にボロンの寝室と共用の浴室が追加されていた。
(以前は ボロンはゴンと一緒に地下の給湯室とその隣の部屋を使っていた。ミューズの寝室は 以前から2階にある。最初は共用の浴室は1階だけだった。)
・・
2度寝をしているボロンの部屋に、体を小さくしたゴンが入ってきた。
かごの中の ふわっふわのパンケーキはミューズが焼いたものだ。
「おっはよ~ もうお昼だよ~」
ゴンは テーブルの上にかごを そっとおろしてから、
ベッドの中のボロンを羽でつついた。
「いっしょにお昼ご飯食べよ~」
ボロンは ゴンが入ってくる気配で布団をひっかぶっていたのだが、
顔を半分だけ出して
「おはよう。昨夜は 騒がしくしてごめん」と言った。
「悪かったと思うなら 僕と一緒にお昼ご飯食べてね。
せっかく 運んで来たんだから」ゴン
「はい。
身支度するからちょっと待って」
ボロンは大急ぎで身なりをととのえて テーブルに着いた。
ゴンは 椅子の上にちょこんと座って待っていた。
かごの中には パンケーキのほかには、自家製のチーズ・ヨーグルト(ブルーベリージャムつき)、野菜サラダ(3種類の葉物とオレンジ)が入っていた。
「君 その大きさの体で ずいぶんたくさん運べるんだねぇ」ボロン
「(^ー^* )フフ♪ 変身するときに 体の大きさだけでなく 発揮できる力の大きさも調整できるように練習したんだ♬」ゴン
「すごい! ほんとに君は 勉強家で進歩も早い!」ボロン
「でも ナイフやフォークはまだ使えないから 食べさせてね♡」ゴン
「はいはい」
ボロンは パンケーキを切って、自分とゴンの口にかわるがわる運んだ。
ヨーグルトやサラダも ゴンの希望に合わせて 口に運んでやった。
ゴン嬉しそうにしっぽをたてて、パクパク食べた。
しっぽの先には きれいなリボンが蝶結びしてあった。
眼が点のボロン。
「これね しっぽを振るとすぐにとれちゃうの。
だから うれしい時は しっぽをぴんと立てるだけにして
振らないことにしたの」ゴン
「そうか。そのリボンはだれが?」ボロン
「コンラッドの提案で ミューズが結んでくれたの」ゴン
「そうか よかったね。
よく似合っているよ」ボロン
「ありがとう♪」ゴンは嬉しそうにしっぽをぴくぴく動かした。
「今度 コンラッドのしっぽにもリボンをつけようか?
だって コンも うれしい時にしっぽを振るモノ」ゴン
「うーん・・ コンのしっぽは揺れても事故は起きないんだけど」ボロン
「んん」
「だめだよ ドラゴンのしっぽを変化させては!」ボロンは慌てて言った。
「ざんねん!」ゴン
「いいもん いつか 大きくなったら フェンリルに変身するもん!」ゴン
「そうか 大きくなる楽しみがたくさんあっていいね」ボロン
「ところで 僕 昨夜素敵な夢を見たんだ」ボロン
ボロンは見た夢の説明をした。
「わーお
ボロンの怖がりをなくすには、僕が君を落とさないように飛ぶだけではなくて
君が落ちても ちゃんと僕が受け止められるように練習しておけばいいんだね。
今度 スカイが帰ってきたら 一緒に練習しようよ。
わーい 愉しみが増えたぁ!」
思わずしっぽを振って リボンを吹っ飛ばしたゴンであった。
「んんん 信頼できる仲間ができた喜びと感謝を伝えたかったんだけど・・」
ボロンはちょっと困った顔でつぶやいた。
「それくらいわかってるって。
君の中では 僕はおっきくて 小っちゃくて、
小っちゃくても大きい存在だってことは」
ゴンは リボンを拾ってきて テーブルの上にポトリと落とした。
「食べ終わったら また リボンを結んでね♡」ゴン
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