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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
     いよいよ地底へ
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ゴンとボロンの絆、親仲間によるサポート

龍の庭の館で、ミューズ・ボロンは、王宮から転移して来たスカイや、遅れて帰還してきたコンラッドとともに 今後のドラゴンの飛行訓練について話し合った。


「やはり 僕の存在は ゴンの飛行訓練の足かせになると思う」ボロン


「しかし 幼いドラゴン子供は、己が感知できる範囲に親が居ないと心がむしばまれるのだ。

 つまお前の生涯はゴンに寄り添い、お前の体と心は常にゴンのそばにあらねばならんのだ。

 そのことは初対面の時に わしとスカイの前でお主が約束したではないか!」コンラッド


「どうして ゴンが飛行訓練をしているときに 僕が地上で見守るのではだめなんですか?」ボロン


「そりゃおまえ、いくら龍でも 飛行練習の時は飛ぶことに集中しておるから

 親が傍らを寄り添って飛ぶか、せめて背中に乗せて肌でその存在を体で感じ取れる状況でなければ 心が不安定になって闇に侵されてしまう。

 

 特に地中洞窟は 幼龍の命を脅かす危険に満ちていることが すでに確認されておるのだから、お前がいつもゴンの背に乗ってゴンの心を温め続ける必要があるのだ」

コンラッド


「でも 白の台地から川へ向かう訓練の時は ボロンが背中に乗っていなかったよね」ミューズ


「あそこなら ワームが飛び出してくる心配がないとゴンが安心しておったのと

 ボロンが台地の上から、かたときもゴンから目を離さず 心配そうに見守っておったからな。

 ボロンがゴンを思う気持ちがわしにも感じ取れるほど強力じゃったから

 ゴンも安心できたのだろう。


 それでも 短時間飛行のワンアクションごとに ゴンはボロンのそばに舞い戻って頭をなでてもらったり いたわりや励ましの言葉を受け取っておっただろうが。」コンラッド


「そう言われれば」ミューズ


「ああ 小さい子が遊び始めの頃に 身近に親がいないと遊びに集中できなくて

 少しして一人遊びになれてきても 何かといえば親に報告にきたり、チラチラ親の方を振り返りながら遊ぶあれね」

 そういえばといった顔でボロンも答えた。


「ああ 人間の子は あっというまにその時期がすぎてしまうが

 その時期のアタッチメントの形成が その後、一生にわたって その者のの度胸に影響するというアレじゃよ」コンラッド


そんな話 初めて聞いたといった表情のミューズ


「そして ドラゴンの幼な子の心の成長はゆっくりだ。

 体の方が先に育つ。

 しかし 飛行生物にとって 空を飛ぶことは 人間がハイハイからよちよち歩きを始めるくらい大きな一歩なのだ。


 だからこそ ともに空を飛び、必要なら幼龍を背中に乗せて飛んだり、胸に抱えて滑空する親龍のいない幼龍にとっては、せめて己の背中乗っていっしょに空を飛んでくれる保護者が必要なのだ!」コンラッド


「それ ミューズやコンラッドやスカイじゃだめなの?」ボロン


「どれほど大切に育てても、幼児期に複数の養育者が交代制で幼な子に接していれば

 クールであったりドライであったり寂しさを秘めた大人になっておるであろうが!

 しかも 龍と人間やドワーフでは力量差がありすぎる。

 成龍がそばにいただけで人類存亡の危機と大騒ぎしておるのは 人間たちの方であろうが!


 平たく言えば 幼い頃から人族と身近に、それこそ親子のように親しく付き合っておらねば

 ゴンとて人族への気遣いなど着けられぬわい。

 ゴンの何気ないしっぽふりが怖いと騒いでおったお前だからこそ

 地面の上でも空中でも ゴンと文字通り触れ合っておらねば、

 そうやって人族と共生するために必要な配慮をゴンに実感させておらねば

 ゴンとて 今後お前とは一緒にいられなくなるぞ!

 そうなると孤独に苦しむのはゴンだ!」

コンラッドは 発止はっしとボロンをにらみつけた。


「卵の時から 幼龍に関わるとはそういうことだ!」コンラッド


「はい」ボロン


「まあ ゴンの心がもう少し育てば、お前は、地面の上でゴンの帰ってくる場所を守り、わしらが ゴンの背中に乗ったり ゴンと共に飛んでも大丈夫だろうが

 今はまだなぁ、ゴンの皮どうようゴンの心もやわいのだ」

コンラッドも嘆息した。


「つまり今はまだ、僕たちで ボロンが文字通りゴンに密着して ゴンの心を温められるように 何かしら工夫をしなければいけないってことだよね」ミューズ


「そうなのだ。

 かえすがえすも わしが卵時代のゴンの傍に付き添い、孵化に立ちあえなかったことが悔やまれる。

 が しかし ボロンが精一杯、生まれたてのドラゴンに寄り添っていたことはわしも知っておるから、赤ん坊の親としてのボロンに不満はない。


だから よちよちドラゴンの付き添いとしては いささか力足らずのドワーフのサポートをするのは、親仲間として当然のことだとわしも思っておる。


 とにかくゴンが親と認めておるのはボロンなんだから、とにかく親として頑張りぬくのがボロン、おぬしの責務だと思うぞ」コンラッド


「はい」弱音を吐いたことを 恥ずかしく思いつつも、とにかく頑張ろうと思いを新たにしたボロンであった。



スカイは幼い頃 たとえ姿が見えずとも 常にコンラッドの気配に包まれていたことを思い出した。

 一人でいろいろなことに集中していても ふっと気を抜いた時に コンラッドの存在を感じてほっとした時のことを。


というわけで、ボロンの為の騎乗装備や、ゴンの為に高度計に加え、ボロンのための護符のようなものを作れないとかいろいろ考えを巡らせた。

今のゴンちゃんは、ハイハイしながらママのトイレの中までついてくる、ママがトイレの扉をしめようとすると泣き顔になる幼児さんみたいなもんです。

  人間の子ならそんな時期は月単位で通り過ぎてしまうのですが

  その真っ最中のママは本当に大変。1分どころか1秒たりとも気が抜けない。


ママたるもの、親仲間にあれこれぼやいたり嘆きながらも、子育てそのものはしっかりと覚悟をもって あらゆることを乗り切っていかなくちゃぁ、

 できる・できた・できない・できなかったとは別の次元で 乗り切る覚悟こそが大事というのが

今回のテーマでありました。


 そこんところが分かってない「識者・先生方」のおためごかしなんぞ くそくらえであります(笑)

 孤立と孤独は ママたちにとっては疲労と禍の源でしかありません!という話は また別の機会に。





※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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