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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
     いよいよ地底へ
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変身魔法とコンラッドの特別食

変身魔法には二通りがある。


一つは目くらましの魔法。

 すなわち、術者の本体は変わることなく、周囲からの見た目だけを変える術


もう一つは 術者の体そのものを変化する魔法、つまり本物の変身魔法である。


 変身魔法は 肉体そのものを変えてしまうので、大変高度な魔法技術・能力と

多大な魔力を擁する。

 それゆえ 一般的には変身魔法は使われない。

 人が使えば 一気に生命力を削られてすぐに死ぬ。またはじきに死ぬ。


 ミューズのような特異体質?特異能力を持った存在でもなければ、肉体改造を伴う変身魔法は使えない。

 そしてミューズの変身とは自分の性別をかえるだけであり

 それも そんなに頻繁に行なっているわけではない。

 正確に言えば 生まれたときは男、エルフの里を出て放浪しているときに女になり、現在 見た目は男っぽいが実体が男にもどったのか女のままかは不明である。


 というのも ミューズの使う変身魔法の中身は、「外観を変化させて長期間定着させる」という目くらまし魔法の変化系がメインだったからである。


 ただ ミューズは魔法の体系をよく知らないまま、自分の興味や気持ちのおもむくままにいろいろ魔法を使っていたので、自分が今使った技が、目くらまし魔法の発展形か、肉体改造系か全くの無自覚のままやらかしてしまったというのが、「あれ?今回は男にもどれなくなっちゃった」の実態であった。


さて、コンラッドであるが、彼はまあ神獣であるからにして魔法はいろいろ知っているし、使える。


そして魔力切れを起こせば死ぬ。


だが 死んでも 前世の記憶を持ったまま いつのまにか生まれ変わる。

そのあたりの仕組みは 誰も知らない。本人も含めて。


そして 前世にため込んだ空間倉庫の中身も いつのころからか、生まれ変わっても使えるようになっていた。

なぜかは誰も知らない。本人も含めて。


まあ 何事も「神獣だから」ということだ。


もっとも本人は 最近は 生まれ変わって子犬からやり直すのが面倒だからと、「眠って」時を過ごして 成獣のまま生存を続けている。


もっとも どこで眠っているのかはわからない。

 神獣様専用の特別空間なのだろう、おそらくは。

 このへんは コンラッドもあまり頓着していない。

 だから 時々 本人無自覚のまま次元移動をしているのかもしれない。

 そうではないのかもしれない。

 このあたり 本人もよくわかっていないらしい。


さて そういうコンラッドではあるが、最近まで変身魔法は一切行なっていなかった。

「自然の摂理に反する」というのがその理由であり

「そんな 莫大な魔法を消費できるかよ」というのが、自然の摂理に反する理由である。


が、しかし、コンラッドは、ドラゴンクランで ミューズといろいろ親しく接し、ミューズと魔法談義を重ねえるうちに、ローコストの変身魔法に目覚めた。 といっても莫大な魔法を消費することに変わりはないが。


ちなみに 前回 コンラッドが子供時代のスカイを育てるために 時々人間に変身したのは、短時間であったし、それでも体力的にも無理を重ねた結果

コンラッドは しばしの眠りにつく必要にせまられたのであった。

 その辺の事情は誰にも言っていないが。


さて、ミューズの魔法を応用して 自分なりの変身魔法術を編み出したコンラッドは、デュランの面接後に人化して人間食を食べてみた。

 (人用の食事はうまかったが そんなにしょっちゅう使える技ではないな)というのがコンラッドの感想であった。


そして今回、ゴンの為に 龍に変身して空中での回転技を披露したのである。


「はぁ 魔力の緊急補充には やはり特別食が必要だ」

三頭の巨大魔獣をペロリと食べ終わったコンラッドは、神水をガブガブと飲んでから寝転がり つぶやいた。


「長い首が三つ、2枚の羽根に2本の尾って、伝説の怪獣キングキドラじゃないか?」ミューズがつぶやいた。


「龍族なの?」悲しげに問うゴン


「いや 怪獣だ。魔力たっぷりの次元生物で龍とは全く異なる存在だ。

 ことばも解さぬしな」コンラッドが眠そうに答えた。


「怪獣と魔獣はどう違うんだ?」ボロン


「怪獣というのは 異次元生物で、僕たちの世界とも魔獣や龍とも何の関係もない不思議生物だよ。

 だから ゴンも気にしなくていいよ。

 怪獣というのは 現れたら退治するまで暴れまくる存在だから」

ミューズがゴンの頭をなでながら言った。


「よかった」ほっとしたように答えるゴン


「もう一匹は 怪魔大だこかな?

  これって 東宝ランドのおとぎ話だと思っていたけど 実際に居たんだねぇ」感心したようにつぶやくミューズ


「東宝ランドってどこにあるの?」ゴン


「異次元の異世界じゃ。

 かつて 人間たちが作り出した夢が具現化した世界だ。

 怪獣がたわむれている 魔力の宝庫じゃ」夢うつつにこたえるコンラッド

 

「3つ目は何だろう? なんか巨大な卵っぽかったけど」ミューズ

すでに爆睡中のコンラッドは答えなかった。


そこで、ボロンとミューズでコンラッドを抱え上げて、ベッドに寝かせた。

このベッドは、かつてノーム達の洞窟で使用した「フェンリル用特別寝台」であり、最近のコンラッドは長期キャンプの時には このベッドを空間倉庫に入れて持ち運んでいた。


ベッドの入っているテントは、以前 まだ体が小さかったゴンが使っていたテントである。


最近のゴンは、寝るときに 敷布を取り出してしいてその上で丸まってから

自分の周りに大型のかまぼこ型テントを空間倉庫より取り出して広げ

魔法でテント敷布の端についている留め金をかけてから眠っている。

 これなら 戸外でも快適であるし、たまにゴンが寝返りをうっても、

敷布とテントも一緒になって転がるがら しわになる心配もない。


ちなみに ボロンとミューズは一緒にドーム型テントを使っている。

これも 毎晩空間倉庫から取り出して使い、起きたらそのまま収納している 。

 なにしろ 彼らのキャンプ地に留守番はいないので、荷物やテントを放りっぱなしにしておくのは不用心なのだ。


注)

 怪獣については、東宝映画をイメージしていますが、名前をほんのちょっぴり変えてあります。

 ご注意ください。



※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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