ワームと飛行訓練
警戒しながら 白の大地を半周ほどすると、少し地面の凸凹が少ない所に来た。
「とりあえず 着陸してみようか」
コンラッドの一声により、一同は着陸した。
地面は 若干固めで ところどころに岩の先が見えたり、ごつごつとした地面が広がっていた。
「ボロンはそのままゴンの背中にのっておれ。
ゴンは 地下から何かが飛び出して来たら すぐに飛び立てるように心して歩けよ」
ゴンを真ん中にして 3人は横一列になって 川に背を向ける方向に前進した。
しばらく歩くと突然 目の前に何かが飛び出してきた。
「上がれ!」
コンラッドの叫びと同時に ゴンは飛び立った。
ミューズは それより一瞬早くすでに飛び立っていた。
コンラッドもゴンが飛び立った直後に スカイボードに乗って上昇
「ゴン! 君は白の大地へ全速力! 僕についてきて!」
ゴンは懸命に羽ばたいた。
実のところ 今まで全力の急上昇も 全速発進もしたことがない
ミューズとスカイはボードに乗って垂直上昇できるが、ドラゴンにそれは無理だ。
それゆえ ミューズの居る高度まで上がろうと意識しつつ 懸命に前進するゴン
ちなみに、ドラゴンは 空中停止もできない。
成龍なら少しぐらい空中にとどまれるかもしれないが、それは技術とともに魔法の消費が莫大である。
だから ゴンも高度を維持しながらゆっくり飛ぶことはできても、空中の同じ一点にとどまり続けることはできない。
というわけで、ゴンがミューズと同じ高さに追いついてから 二人は少しだけ速度を緩めて白の台地にまでもどった。
しばらくしてから コンラッドもボードに乗って戻って来た。
・・・
「あれはなに?なんだったの?」ゴン
「ワームだ。
ふだんは 地中で暮らし、生物の歩く振動を感じて飛び出してきて獲物を食らう生き物だ。
飛び出してきたやつを誘導しようと試みたが、あれは目が悪いらしい。
スカイボードにのって移動するわしでは 地下への振動が不足するらしく 後を追ってこなかったな」コンラッド
「光の洞窟のごみ処理をひきうけているワームに比べると、なんだか狂暴そうだね」
ミューズ
「光の洞窟のワームは ワームと言っても実は巨大ミミズのようなものだもの
エサさえあればおとなしい。
しかし 野生のワームは 常に空腹を抱え、狂暴に進化した魔獣・野獣の類だからな。
ワームに襲われれば 人族の町は全滅する」コンラッド
「だったら ノーム達の町が滅びたのは ワームのせい?」ゴン
「一因ではあろうが、それだけならば ワームが掘り進むことのできない固い地盤の場所に引っ越すこともできるのではないか?
もっとも そう うまい具合に固い地盤の続いた道があればの話だが」コンラッド
「じゃあ ゴンの羽ばたきの影響でワームが飛び出さない高さとかはあるのかな?」ボロン
「それを確かめる前に、ゴンは 急発進、急上昇、全速転回の練習をしたほうがいいと思う」ミューズ
「それと 高度感覚も養った方がよさそうじゃの」コンラッド
・・
というわけで、一行は 白の大地の上でキャンプをして、しばらくゴンの飛行訓練をすることにした。
一応 白の大地から川の方向に向かっては、湧き穴がなくごつごつとした岩の頭が見える土地だったので、そっち方向に向けて 飛行訓練を行った。
幸いにも 練習中 ワームと遭遇することもなかった。
ゴンの飛行訓練にはミューズとコンラッドが付き添い
ボロンは 白の台地の上で3人の様子を見守ったり、
3食の準備と後片付けを行なった。
というのも 飛行訓練の中には、急転回の失敗により横転することも見越して
空中横回転やら 空中大バク転の練習やらも含まれていたからだ。
この回転技に関しては スカイボードに乗って空中まで上がったコンラッドが
そこで龍に変身して手本を見せた。
もっとも そのあと コンラッドは多量に消費した魔力を補うべく
次元倉庫から得体のしれない魔獣を2・3匹引っ張り出してガツガツと貪り食ったという後日談つきである。
※ 土日休日は 朝8時
月~金は 朝7時の1回投稿です
なので明日11月23日は 朝8時投稿です。