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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
     いよいよ地底へ
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いよいよ飛行開始!

第一の張り出し岩から 一行は飛び降りた。

 目指すは 地底の白っぽいところ。

 以前、行こうとしたところ。


ミューズとコンラッドは めいめいスカイボードに乗って、

ボロンは ゴンの背中に乗って、滑空した。


先頭を飛ぶミューズは、腰に刀をさし、短めの金髪を吹き流しのように後ろになびかせて飛んでいく。

 シャツとズボンは 体にぴったりと張り付くような仕立てで色は黒

 ひざ下までのロングブーツと肘下までの名が手袋は、軽くて薄いが 摩擦に強く断熱性と対刃性の高い優れもの。


「やっぱり何があるかわからないからねぇ、服装もそれなりに」ミューズ


「どうして 体にぴったりくっつく服装なの?

 いつもは 体にはりつかない服が多いのに。」ゴン


「全速力で空を飛ぶときは、空気抵抗を減らすためにはぴったりした服がいいよ。

 それに風で服の裾がパタパタして体を叩かれるとそれなりに痛いから」ミューズ


「じゃあ 髪は?」ゴン


「これは 吹き流しの代わり。

 後ろを飛んでいる人にわかりやすいだろ、スピードが。」ミューズ


「なるほど~。」ゴン&ボロン


ボロンの服装もミューズのものと同じ。

 こちらは スカイとデュランに作ってもらった。

 ミューズが感覚的に作り出してまとう服を、デュランが計測して、その計測値をもとにスカイが素材を作り出し、縫製したのだ。


 ミューズは変身する感覚で自分の服装も作り出してしまうが、他人の服装だけを作り替えるのは 魔法的に負担が大きかったのである。


 その点スカイは 産みだすモノに関する詳細情報さへあれば、同じものを魔法で作ることは それほど苦手ではなかった。

ただ日常的にそれをやらされるのが負担になるだけで、仲間の為に特別に行なうことは、「許容範囲だね。あてにされなければ」ということで。


 ボロンは ゴンが今も背中にはやしたままにしてくれている羽毛に右手でしっかりとつかまって居心地よく収まり、左手で 自分の前方に風よけの盾を魔法展開させていた。


これは ミューズがコンラッドの助言を受けながら、ボロンの手袋に魔法付与してくれたのである。

 魔法のやり方についてミューズに教えたのはコンラッドであるが、

 飛行速度による風圧にあわせた風防盾の出力調整に関するデータ採取はデュランが手伝った。


 早い話が、ミューズとデュランがゴンの背中に二人乗りして

デュランが飛行速度と風圧を測定したのである。

 本来なら 測定はデュラン一人で良かったのだが、デュランがゴンの背から落ちないように ミューズがしっかりとデュランの体を支えたり、デュランの体に耐えられる風防盾を発生させ、その時の飛行速度などをデュランが測定したたのだ。

 風圧計は ミューズが発生させる風防盾より前側に設置し

 風防盾を発生させる魔力量については スカイが開発した計器をミューズの掌に着けて計測した。


スカイにとっては、魔力系の計器だけを開発して、

それ以外の物理系の計測をデュランを任せることができるようになったので

これまでよりも負担が半分くらいに減った。


そしてミューズにとっては これまで自分が感覚的にやっていたことを

データとして示されて 「めんどくさいような・面白いような変な感じ」がした。


一方、龍の庭(=地上)での計測に加わったデュランは

「物語を読んだときには、龍に乗ることにロマンを感じましたが

 実際にのってみると 肉体的に非常にきついということが分かりました。


 やっぱり ぼくはバックアップ要員としての地上勤務がいいです。

 でも こうして空を飛ぶことができたので それだけでもクランメンバーになった甲斐があります。ありがとうございました」


と言って、今後 ボロン達がゴンと一緒にお出かけするときの留守番役を、あっさありと引き受けた。

 ちなみに、デュランは、ゴンがお出かけするときは、国外のどこかに転移することと理解していた。

「だって 王国内で龍が飛び回っていたら大事ですもの。

 龍は きっと どこかに思いきっり飛び回れる遊び場のようなものを持っていて

 それと生活の場とは 分けているんでしょうねぇ」


と デュランは ゴンが飛んだ時の計測値を見て言った。

というのも 地上に影響が出ない程度にゴンが控えめにとんだ時のデータでも

けっこうな数値が出ていたからである。


「もし ゴンさんが王国デビューするとしても、それは控えめな飛び方を身に着けてからという皆さんの考えもわかります。

 でも それだけだと ゴンさんが欲求不満になるから、

 ゴンさんの体力づくりと(すこ)やかな成長のために 時々皆さまがお出かけする必要があるのも

 しっかりと理解しました。


 だから どうか遠慮なくお出かけください。

 その間、ゴンさんにとっての王国内での拠点となるココ龍の庭の留守番役はどうぞお任せください。心して勤めせていただきます」 デュラン



 スカイは、ミューズから風防盾の出し方を教わった。

スカイの防御魔法は 段階的に強度を切り替える方式であり、

ミューズのように環境の変化に合わせて柔軟に自動的に出力を切り替えることにより

消費する魔力を抑える魔法を知らなかった。


そして ミューズから学んだことと、デュランが測定したデータをもとに

スカイは風防盾の魔力出力パターンを決め、術式を組んだ。


最終的には、防風盾を出すのにちょうどよい分量のコンラッドの抜け毛をボロンの左手の手袋の生地に織り込み術式を発動させるようにした。


「飛行量にもよるだろうけど、100年くらいしてその手袋の中に織り込まれたコンラッドの魔力が減ってきたら 今度はミューズが調整して魔力を込めるよう頼むね」

スカイ


言外に互いの寿命の違いに触れたスカイの言葉に少しだけ悲しそうな顔をしたミューズをよそに コンラッドは言った。

「ふーむ 2・300年もすれば ゴンも 乗り手の体力にあわせて、乗り手の周りに風よけバリアーなどを張ることもできるのではないかな。」


「今のボロンには 保温性の高い衣服も必要だね」ミューズ


というわけで ボロンがゴンの背中に乗るときは、頭から肩まで保温できるお肌にぴったりサイズの頭巾もかぶることになった。

 この頭巾の素材は魔羊の毛である。


「ふむ 地中洞窟での魔羊の飼育数を増やそうか?」コンラッド


「その件については 後日検討ということで」スカイ&ミューズ


「そりゃまた どうして?」コンラッド


「人手の確保に 新メンバーを探すのが大変だから」スカイ&ミューズ


「国王であるスカイはともかく ミューズ おまえさんから慎重論を聞くとはなぁ」コンラッド


「ぼくだって 日々成長してるんです。

 それに 面接とか とーっても疲れることは しばらくパスしたいなぁ」ミューズ 


「同感」と言ってボロンも笑った。

「人事は たいへんだよ」


とまあ このようないきさつを経て、今回の飛行では ボロンも泣き言を言わずにゴンの背に乗り ミューズのあとに続いた。


ちなみに 以前ゴンがおなかの側にはやしていたモフモフの毛はきれいに剃りあげ、

その毛をつむいで作ったひもが ゴンの羽毛の一部に編み込まれ、ボロンがつかまりやすいように輪になっていた。

 そして ゴンのおなかの表皮は 本来の龍の皮にもどされた。

 ミューズの成長魔法の助けをかりて。


「みんなの助けを得て こうしてスムーズに飛行ができるようになって

 感謝の言葉のつくしようもないよ。ほんとありがとう」ボロン


「どういたしまして」一同


そして 飛行隊のしんがりは コンラッドである。

 スカイボードの上に、きりりとしっぽを巻き上げ四つ足で踏ん張っているフェンリルの姿は 凛々しくかっこよいものであった。


・あっ そうそう ボロンの腹巻式騎乗スタイルは、飛行速度の上がった今のゴンには向かないってことで廃止になりました。

「やっぱり 地底世界では 思いっきり空を飛びたいから」というゴンの意向で。


※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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