森の散歩
「食材は 館周辺の敷地内だけではないんだ」
とミューズに誘われ、二人は ダーさんに乗って堀をわたって 対岸の森に向かった。
そこで 薬草やら、実のなる木や キノコなどを案内してもらった。
「森は 食材の宝庫でもあるのだけど、収穫時の見定めがむつかしくってねぇ。
毎年 だいたいのシーズンは決まっているのだけど
年によって 気候が違うだろ。
だから 収穫時もその年ごとにちがうんだよ。
しかも 虫とか病気とかで突然手入れをしなければいけない時も出てくるし。
僕たちは 毎日森を見回っているわけではないから」
「だったら 俺たちが交代で森の見回りをしようか?」ミューズを背中に乗せていたオットーが言った。
「最近 俺たち一人当たりの運搬の仕事が少なくなったし
子だもたちが増えて 一族の者が養ってもらってばっかりの気がするから
仕事が増えるのは ありがたいよ。」デュランを運んでいたオットット
「ごくつぶしだと思われて 我々ダーさん一族とあなたがたとの契約を打ち切られたくないですからね。
世話になっている分にみあうだけの仕事ができるのは歓迎です」オットー
・・
館にもどってから この話を皆にすると
ゴンは 空からもっと森の観察をすると言った。
「そのためには、地上の植物に影響を与えない低空飛行法を身に着けたり
空を飛んでも地表に影響を与えない高い位置からの観察力を養わねばならんな」とコンラッドは突っ込んだ。
それを聞いてしゅんとするゴンをボロンは慰めた。
「最初は体を小さくして飛び回ったり、ダーさんの頭の上に乗っかって移動しながら
何を観察するのか、どこに着目するのか学びながら観察眼を養うといいよ」
それを聞いて、気を取り直しにっこりとするゴン。
ドラゴンを頭にのせて歩くとはと おののくオットット。
「しっかりとしなさい!」とオットットに活を入れるメモリー
「常識人はつらいね」と茶々を入れてオットットを慰めるオットー
「ダーさん達が 毎日交代で森を見回り そこに護衛としてゴンが付いていくと思えば 何も騒ぐことはあるまい」と冷静に突っ込んだコンラッドの一言でその場を落ち着いた。
そして ダーさん達からの見回りの報告を毎日日誌に記録することも、デュランの仕事の一つとなった。
そして デュランは、自分もダーさんと一緒に森を見て回りいろいろ勉強したいと言った。
ゴンやデュランが森の観察に出かけるとなれば、必然的に コンラッドやミューズが同行することも 今後増えるであろう。
 




