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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
     ドラゴンクランの日常的お仕事
57/92

うずらとガランティーヌ

七面鳥の世話をしたあと、館の東側のベランダ沿いに歩くと 褐色の小さな鳥がちょこまかしていた。


「あれは なんて鳥です?

 鶏にしたら ずいぶん小さいようですけど。」デュラン


うずらだよ。

 もとはスカイのペットだったんだけど、彼が王様になってここを出て行ってからは 僕たちで世話をしている。」ミューズ


「卵は親指の先くらいの大きさで、からは鶏の卵よりちょっとだけ厚めで固い。ゆで卵にすると コクがあっておいしい。

 清浄魔法をかけてから 生でタレ代わりに使ってもうまい」ボロン


「鶉は大人になると雌のほうが体が大きいんだ。」ミューズ


「鶉は小さいからね、一羽をまるまるパイにするとちょうど一人分の料理になる。

  ①羽と内臓をとりのぞく


  ②皮と肉の間に注意深く指を差し込んで、胸や脚の皮と肉を引き離しておくと、出来上がってから食べやすい


  ③古代人は好みの脂肪に塩と胡椒とハーブをまぜて、この皮と肉の間に押し込んだようだけど、僕は脂肪抜きでいく


  ④腹の中には、ナツメグとかレーズンと干し杏や木の実を入れる


  ⑤そして バターを使ったパイ生地や、オリーブオイルで小麦粉を練って丸めて涼しいところで数時間寝かせたやつを薄く延ばして、鶉をくるんで

オープンで30分焼く。


   鳥の脂が生地にしみ出して なかなかおいしいパイになるよ」ボロン


 「熱々のまま 時間経過なしのマジックバックに入れておくと、携帯食にももってこいだ」ミューズ


「香辛料抜きで作って ちょっと冷ましてから渡すと ゴンのおやつにもなるしね」ボロン


「鶏同様、鶉も 姿を残したまま中の骨を抜いてガランティーヌにしても良いね」ミューズ


「骨を抜くんですか? どうやって」デュラン


「①内臓を抜いてから、背骨沿いに、頭から尾にかけて長く切れ目を入れて切り開く


 ②足と翼の骨を折ってから、ヌネ肉と肋骨の間に指を差しいれて注意深く引き抜く


  腰や翼の骨も引き抜く。


  それだけさ」ミューズ


「骨を取った肉をオーブンで焼いて、ワインを入れて煮出し汁をとったあと、鳥に詰め物をして、開いたところを縫い合わせて、丸のまましっかり煮込んで 冷やすとガランティーヌの出来上がり。」ボロン


「スカイによると この古代人の調理法は 宮廷料理として引き継がれているようだよ」ミューズ


「ぼくはどっちかというと骨抜きしたあと、おなかに刻んだオリーブの実ととアンチョビーペーストまたはアーモンドペーストをまぜたものをつめて

おなかを縫い合わせた後、野菜スープで煮込んで食べるのが好きだな。」ボロン


「ガランティーヌは 中に詰めるものが凝っているからなぁ」ミューズ


「で 肝心の鶉の飼育法なんだけど

 鶉は 成長が早い。

 雄はだいたい2か月くらいで大人の大きさになるから、食用にしやすい。

 といっても雄で110g 雌で130gだから ほんと1羽で一人一食分のおやつみたいなもんだけど。


 雌の成長が止まるのは 14~15週目だけど 産卵そのものは生後35~45日で始める。産卵期間は9か月。その間に250個以上卵を産むと言われている。」ミューズ


「ただ うずらは 神経質なんだ。

 ちょっとした物音でも飛び上がって飼育箱の天井に頭をぶつけて死んでしまうから 天井は少し高めにしてあるんだ」ボロン


「日中は放し飼いなんだけど、鶉の休憩所兼夜の寝床となる飼育箱は

 スカイ特製 防音・耐震設計なんだ。

 夜の間 うずらたちが ぐっすり眠れるようにスカイが作ったんだよ」

ミューズが微笑みながら言った。


「ちなみに 鶉は 24時間照明の飼育箱の中で育てると2歳になるまで毎日卵を産み続けるんだってさ」ミューズ


「七面鳥もそうだけど 鶏やうずらも 日照時間が長いほど卵をうみつづけるみたいだね」ボロン


「鶉は 小さな体でよく食べて 卵もよく産むから、1日の中での温度差が大きいとだめなんだ。

 だから スカイは いつも 飼育箱の中は26度に設定して、その中に閉じ込めて 机の上において観察してたらしい。


 ここでは 冬場、床暖のきいた飼育部屋に引っ越しさせるから

室温一定・鶉にとって最適環境に調整された飼育部屋にいる冬のほうが

よく卵を産むよ。


 ただ 飼育部屋に入れると 掃除が大変だから、

 春~秋は戸外で育ててる。」ボロン


「飼育部屋だと 臭いがこもりやすいんだよねぇ」ミューズがちょっと顔をしかめて言った。


参考

 https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/10411346_07.pdf


 古代ローマの食卓 2007年 東洋書林

  パトリック・フォース著 目羅公和 訳

  

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