家畜の世話(牛&馬)
龍の庭に館を建てた当時は、放牧場付きの馬小屋で馬を飼育していた。
馬はデリケートで生きものであり、競走馬や戦馬といった特殊技能を持った良い馬というのは日ごろからこまめなお世話と訓練が必要である。
ドラゴンクランでは そういう特殊技能を持った馬ではなく、日常的に乗馬・運搬・農耕に適した良馬を数頭飼っていた。
馬たちは スカイやミューズが行なった念話教育により、各種作業をてきぱきと行なうしっかり者に育ったが、人族に念話で話しかけることはなかった。
もちろん「ヒヒーン」と馬語で話しかけてはくれるのだが、人族には馬語はわからないので、そこはなんとなく雰囲気でのつきあいだ。
しかしながら 最近のゴンちゃんのがにぎやかっぷりに馬たちの神経が耐えきれず、ゴンちゃんの悲鳴事件以後、クランでの生活に拒否反応を示すようになった馬たち。
それゆえ 馬たちは コンラッドの空間倉庫の中で眠って過ごすことにより
高ぶった神経を静め 精神を休めることになった。
「いずれ 農耕馬としてこのもの達にとって住みよい環境が見つかれば
そこに放してやろう。 それまでは空間倉庫の中で休ませよう」
というわけで デュランがドランゴンクランに試験採用になったときには
すでに クランには馬がいなかった。
これまで 馬たちが引き受けていた仕事は すべて牛や大牛達が行うことになった。
これまで馬房として使われていた建物は 引き続き 家畜たちの緊急避難場所として残した。
馬場を囲んでいた柵は 取り外して収納した。
今では 牛や大牛たちは 勝手気ままに龍の草原の東半分(つまり魔獣区画以外)で暮らしていた。
そして 農作業があるときだけ、当初に過ごした牛小屋で寝泊まりして
給餌を受けていた。
農作業のある時は 栄養たっぷりの餌を食べて
普段は 草原で草を食べながらのんびり過ごしていたのだ。
一方 出産間際の牛や乳牛たちは 新たにあつらえられた乳牛舎に自主的に入居して 人間たちの世話を受けていた。
乳牛舎は 母牛と子牛が一緒に寝泊まりできるように区分けされている。
乳牛たちは、子牛が目覚める前の早朝に 交代で乳しぼり場に来て、人族による乳しぼりに応じていた。
母牛が乳しぼりに応じている日の子牛たちは、おなかが減ったらほかの乳牛から乳をもらっていた。
そのあたりの調整は 牝牛たちでうまくやっていた。
それもこれも スカイとミューズによる念話教育のおかげだ。
一方 子牛たちの成長ぶりを見ながら ボロンは適度に子牛を間引いたり
成牛を食用に捌いたりしていた。
牛達は 仲間が消えてもあまり気にしていないように見えた。
「このあたりの調教ぶりは ちょっと怖いですね」デュラン
「うん。でも 家畜に関しては どこかで割り切らないと食べられないよ。」ボロン
「確かに。」デュラン
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