デュランの新生活
「先ほどの白い狼にも名前があるのですか?」デユランはミューズの後をついて歩きながら訪ねた。
「彼はコンラッド。狼ではなくてフェンリルだよ」
「やっぱり話すのですか?」
「(^ー^* )フフ♪ どう思う?」
実のところ、コンラッドのことばは 彼と親しくなったものにしか聞こえないのだ。
ミューズは手を振って「ここは守衛室 こっちはスカイの部屋」と示しながら、正面玄関に面したロビーを横切り、突き当りのホールまで行った。
「ここが ドラゴンサイズの食堂と、人間サイズのキッチン
もし 調理台の高さがあわなければ足台とか適宜用意してね。
ボロンはドワーフサイズの家具がそろった自分の家を持っているんだ。
だから ここのキッチンを使うのは もっぱら僕と清明とスカイ。
清明のことは知っているよね」ミューズ
「はい。コンコーネ領主をなさっている方ですね」
「そう 心眼使いの剣士でもある清明。
最近は クランとしての祝い事の時にしか来ないけど、
彼も僕たちの仲間だから。
守衛室は清明の私室でもあるんだ。」
「はい 心しておきます」
「ここでの暮らしは みんな当番制なの。
基本的に家事はみんなで分担することになってるから。
君は 調理とか掃除とか いろいろなかたづけとか どれくらいできる?」
「一応 一通りのことは すべて自分で行えるようにしつけられています」
「もしかして それってドワーフの伝統?」
「と言えるかもしれません。
人間たちの中で暮らすようになって、召使とかって雇人に依存して 身辺自立能力の低い人が多いのに驚きました。」
「じゃ 君の家事能力に期待しよう。」ミューズは 笑いながら言った。
「それじゃぁ 一度ロビーまで戻ろうか」
二人は中央にある階段を上って2階まで行った。
「こちらが僕の部屋だから、君はそっちの部屋を使うと言いよ。
風呂はここ。
夕方 入る前に使い方を説明する。
一応 交代で同じ風呂を使うことになるから」
「はい」
デュランは自分に割り当てられた部屋に入った。
「広いですね」
2階のロビーからドアをあけてはいると、横長に部屋が広がっていた。
「君の引っ越しのときに預かった研究室の中身は そっくりそのまま左側に入れてある。」
ミューズは ドアを背にして 腕で指し示しながら言った。
「ベッドなどの家具は こちら右側に仮置きしてあるけど、それでいいかい?
君の生活用品はそこにまとめておいたよ」
「はい、何から何までありがとうございます」
デュランは寝室側と研究室側の両方を見てから言った。
「部屋の片づけ、手伝いが居るときは気軽によんで。
僕の名前を呼びながら下までくれば、
僕の方から1階か2階のロビーに顔を出すから」
「ありがたいです。
その時は よろしくお願いします」
「じゃ またあとで」そう言ってミューズは部屋を出て行った。




