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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
第1章 悩めるパパたち
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ミューズの一喝

(4/6)

いつものようにわんぱく坊主のドラゴンを寝かしつけた後、

ボロンは コンラッドとミューズを誘って相談を持ち掛けた。


「ゴンのしっぽ振りを 控えるように注意したいんだけど」ボロン


「一応 龍の草原限定って約束をちゃんと守っているじゃないか」ミューズ


「だけど 今日だって 君がまだゴンのそばに居るときに、しっぽをびゅっと振ったじゃないか」ボロン


「あの子がしっぽを振るのはわかってたから僕はしゃがんだので問題ナッシング」ミューズ


「だけど 僕ならあの速さのしっぽは かわせない」ボロン


「でも あの時そばにいたのは僕だし~」ミューズ


「ゴンから信頼されてるのはうれしいんだけど、

 あいつ 僕が君たちよりもかなり身体能力に劣っていることが

 本当に理解できてるのか心配なんだ。

 今日だって 机ごとそばに来いなんて言うしさぁ。


 このまえ あいつのそばで仕事をしていた時に 

 あいつのしっぽの一振りで書類が舞い散ったことを

 もう忘れちゃったのかなぁ」ボロン


「だが あの時も ゴンはすぐに固有魔法で書類を集めたから

 いいんじゃないか?」コンラッド


「小市民的僕の感覚にはショックだったよ。

 あのひと振りは。」ぼそっとつぶやくボロン


「理屈抜きで あいつのしっぽ振りが怖いって僕の気持ちを言っちゃってもいいのかなぁ。

 言えばやっぱりショックを与えるんじゃないかと心配で

 でも このままだと あいつのそばに近づけないし。

 困ってるんだ」

真剣に フェンリルとエルフに助けを求めたボロンであった。


「ドラゴンと言うのは その体の大きさ・威力ゆえに 他種族と暮らすには何かと制約が多い。

 だからこそ 子供の間だけでも 伸び伸びと育ててやりたいのだ。わしは!」力説するコンラッド


「それは 僕も同じだよ。

 だけどさあ 体だけは もう大きいんだもの」ボロン


「ボロンを乗せて空を飛ぶと、魔法の使えない君が滑り落ちそうで怖い・お尻が痛いって騒ぐから ゴンはフワフワの羽毛やもふもふの毛をはやしたんだよ。」ミューズ


「あれは 俺が悪かったって反省してるよ。

 だけどさあ 羽毛ができたおかげで滑り落ちる心配がなくなったし

 すっごく乗り心地が良くなったのも確かなんだ」ボロン


「しかし 体を改造するのは 絶対にダメだ!」コンラッド


「同感。その点は僕も同意」ボロン

「同じく」ミューズ


「それもあるから ゴンに自分のしっぽの威力を客観的に知ってほしいし ドワーフの脆さも理解してほしいし、そこから自分でやっていいことの限度を判断できるようになってほしいんだ」ボロン


「それは 幼な子に対して過剰要求と言うものだ。

 ゴンは 人間に例えれば まだ3・4歳ぐらいだ。

 それもかなり賢い3歳児だ」コンラッド


「それに ゴンにとっては ボロンはお父さんだから

 頭で君の体の限界がわかったとしても 心の中では君はドラゴンのままだと思うよ」ミューズ


「それでも 人間やドワーフの脆さ・限界はそろそろしっかりと教えていかなくてはいかんな。」

コンラッドは悲しそうにつぶやいた。


「ねえ コンラッド、

 お守り札のようなものはないの?

 うっかりゴンがボロンにぶつかっても その衝撃でボロンが壊れたりしないように 結界が自動的に発動するような」ミューズ


「それを作ることも考えた。

 しかし そんなものをボロンにつけたら、ゴンのうっかり癖はいつまでたっても治らんぞ。」コンラッド


「うるさく言って ゴンの気持ちを傷つけたくはないけど

 幼い時から ダメなものはダメって言い続けることは必要なんだよなぁ。

だから 親として友として悩むんだよ」ボロン


「しかたがない。

 ゴンに しっぽを使った獲物の倒し方を教えるか」コンラッド


「あのさあ ボロンも もっとゴンと一緒にできること考えたほうがいいよ。

 今までずーと そばに居て 抱きしめたりあやしたりしてたのに

 最近急に 仕事仕事って別行動が増えたから ゴンも寂しいんだよ」

ミューズ


とまどった顔のボロンに向かってミューズは言葉を足した。


「君って 極端なんだ。

 ゴンの体がぐんと大きくなったからって 

 なにも 一緒に過ごす時間やスキンシップまで ぐんと減らす必要ないじゃないか」


「そうか? うーん そういうものか。たしかに」もごもごするボロン


「だけどさあ 今では 俺 あいつの足の甲の上に乗っかれるくらいだぜ。そんな状態で 足先をなでてもうれしいのかな?」ボロン


「君がそういうことで悩むから ゴンがモフモフになったんじゃないのか?

 だから モフモフのゴンのおなかの中に潜って寝てやれば?」ミューズ


「そこまでしていいのか?」ボロン


「本人に尋ねたら」ミューズ


「ゴンの肉体改造について 責任を感じてお前が及び腰になっておったら、

 お前とゴンの距離がますます広がり ゴンがかわいそうじゃないか。

 ボロン、ここは 大人として もっとゴンを信頼してやれ。

 つまり 堂々とかわいがってやれ、これからも」コンラッド


「同じことは コンラッドにも言いたいね、僕は」ミューズ


「だって ショックだったんだ。

 僕の為に ゴンがあんな危険な魔法を使ったってことが」ボロン


「わしとしても 事前教育が足りなんだと責任を感じておる」コンラッド


「親としての責任を感じて反省するのはいいけどさ

 子供は 大人より成長速度が速いんだ。

 それだけ気持ちの切り替えが早いんだ。


 だから 君らも 育ての親を自認するなら、

 今のゴンの気持ちに寄り添う努力をしろよ!

 しっかりして!!」

  珍しく 声を荒げたミューズの前で シュンとするボロンとコンラッドであった。


「ちゃんと 今 君たちの目の前にいるゴンをしっかりと見て

 まっすぐに向き合って。

 君たちの子育ての迷いの聞き役はするから

 君たちは いつもしっかりとゴンの気持ちを受け止めてあげて!」

ミューズ


「わかった。 だったら 僕が飲むのに付き合って。

 とことん酔うまで飲んで グダグダを洗い流すのにつきあってよ」ボロン


「だったら わしは 今夜はゴンのそばで寝るわ」

コンラッドは ドラゴンに添い寝するために部屋を移動した。


ボロンはと言えば・・

 「困った ワインを一樽飲みたい気分なのに、ここにはないや」


「しょうがないなぁ」ミューズはスカイに念話を送って、

清明の館のワイン蔵から 上物を一樽送ってもらった。

もちろん その代金は ボロンの口座から清明の口座へ振り込んだうえで。

※ 本日 夜8時に2回目の投稿をします


※ 土日休日は 朝8時 夜8時の2回投稿

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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