面接のあとで:コンラッド変身す
スカイは 面接を終えたデュランをクランハウスの門まで送っていった。
ミューズは サモワールを沸かした。
面接中姿を消していたコンラッドもパッと現れた。
(ゴンは清明といっしょに 龍の庭でお留守番だ)
スカイが部屋に戻ってきたとき、コンラッドがフェンリルの姿から人の姿に変身した。
「いかにもお父さんって感じの姿だね」コンラッドを見てミューズが言った。
「懐かしいよ。
僕が子供の頃 魔法使いの親子として村はずれに住んでいた時の父の姿だ」スカイ
「町や村は 雑多な臭いがまじりあっているから、人間の形になって嗅覚も人間並みにしておいた方が暮らしやすい」ぼそっとコンラッドが言った。
「珍しく人間の姿をとったコンラッドの為に、今日の昼食はそーめんを用意したよ。」
ミューズは マジックバックの中から
食べごろのソーメンとキリっと冷えたつけ汁
ゆでてから冷やしたなすびのごまよごし
個別に器にもった湯豆腐を取り出した。
「冷たいモノばかりだと おなかが冷えると思って お豆腐はあえて湯豆腐にしたよ」
「ふむ 箸を使って、だしなどを少しづつ好みに合わせて加減しながらつけて食べるのは やはり人の姿をしておらぬと食べられんからな」
コンラッドは満足そうに食した。
人間の形をとったコンラッドと一緒に食事をするのが初めてのボロンはまじまじと彼の食事ぶりを見て言った。
「もしかして 人の姿になると 味覚も変わるのか?」
「うむ 人間の料理を味うのに適する程度には変えておる。
でないと 楽しめんからな。
鋭いフェンリルの味覚嗅覚では すりおろし生姜の味は楽しめん。」
「それに 刻みネギの香りを楽しむにも 人族のきゅう覚のほうが適しておる」
「箸休めの きゅうりとじゃこの酢の物や、トマトの櫛切りもおいしね」スカイ
「地中世界でゴンに存分に ドラゴンとしての本来の力を使わせてその成長を促し、そうして養われた魔力でゴンが人の姿をとれるようになったら
こうして 人間の旨い料理も食わせてやれるのだがな」コンラッドがしみじみと言った。
「今でも ミニドラゴン姿のゴンに あーんしてるよ。主にボロンが」ミューズ
「しかし ミニサイズになっても味覚はドラゴンのままなのではないか?」コンラッド
「ドラゴンと人では 味覚がちがうのか?」ボロン
「長いソーメンのまま食するのと、ゴンが飲み込みやすいように短く刻んだソーメンでは
味わいが異なると思うぞ」コンラッド
「確かにそれはあるかもしれない」スカイ
「そういわれれば 麺類は箸を使って食べたほうが おいしく味わえる気がする。
スパゲッティが フォークでまとめて口に入れたほうが ミートソースとの絡まり具合がおいしく
感じられるみたいに」
なるほどと言った顔でミューズが言った。
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