子育て相談①:遊び場とつきそい
ゴンのソニックブーム事件が一段落したので、ミューズ・ボロン・コンラッドはゴンの遊び場問題について話し合うことにした。
「いよいよ地底世界に降りて、そこで ドラゴンとしての全力を出した活動体験をゴンに積ませる時が来たと思うのだが」コンラッド
「しかし 地底世界の洞窟の中には ノームや牧人達が住んでいるだろう。
ゴンの叫び声が 地中にどういう影響を及ぼすかわからないから
だいじょうぶかな??心配だよ」ミューズ
「ほぅ お前さんも 慎重に物事を考えるようになったのか。
成長したな」
いたずらっぽい顔でコンラッドが茶々を入れた。
「もう! 僕だって 子育てを始めて 親としての自覚ができてきたの!」ミューズ
「こどもに慎重さを求めても無理があるのは、子供時代の僕を思い返せばよ~~~くわかることだから、こどもが伸び伸び過ごしても大丈夫なように
あれこれ先に見通し建てて対策するのが 子育て中の大人の役目って しっかりおもってま~す!」ミューズ
「はぁ~ ぼくは どっちかというと、子供の成長についていけなくって 責任放棄する大人の心情がちょっとわかってきた気がする」ボロン
「俺 ぜんぜん ゴンの肉体的成長についていけてないもん!」ボロン
気の毒そうにボロンを見やるコンラッド。
軽くボロンの肩を抱くミューズ
「わしとしても スカイに牧人や地中世界のことを話して ゴンのこれからについて相談にのってもらいたくなってきたんじゃが・・」コンラッド
「スカイと清明には 何を話していないの?いけないんだい?」ミューズ
「もともとノームや牧人は 人間たちからの迫害をのがれて今居るところで暮らすようになり、その存在をも人間たちから隠すことになったのじゃからのう。
あの者達の存在を気づかせぬように秘密秘密にしておったのだが・・」コンラッド
「結局 食料生産要員として その存在の影があらわになったね」ボロン
「そもそも スカイの転移魔法で、どこまでいけるのかな?」ボロン
「人間の体では 転移はできても 転移距離が延びるほど寿命や健康を損なうから 地中へ転移させたくない。
現に、王宮からここまでの転移だって、わしが作った魔法陣をスカイに渡しておるのだ。」コンラッド
「それは スカイに転移魔法を使わせたくないって意味?
それとも君の魔法や転移陣を使っても地中への移動は反対ってこと?」ミューズ
「王宮からここまでなら スカイに問題が生じぬように作った魔法陣で大丈夫だ。
地中への移動の場合、わしの魔法やわしが作った転移陣を使ったとしても、人の子であるスカイの肉体を強化してやらねばならん。その結果として スカイが 一般的な人の子の肉体から徐々に変化していくことが あの子にとっていいのか、悪いのか・・」コンラッド
「具体的には どこが変化するんだ? 僕の場合も何か変わっているのか?」ボロン
「あー スカイの場合、老化が一般的な人間より遅くなる。
どっちかというとドワーフに近くなるな。
ドワーフであるお前さんの場合は、ドワーフとしての枠組みの範疇におさまるのではないかな。」コンラッド
「人間は 寿命の長さとか老化の速度とかへのこだわりが強いからなぁ
変化の可能性を知ることにより 心のバランスを崩す者が多いからなぁ」
ミューズが空を仰いだ。
「正直言って 地中で暮らすノーム達への ゴンの叫び声の影響とか、
龍の鳴き声に対する洞窟の強度、音波の進行に関しては
スカイの知識と見識を頼りたいのじゃよ、わしは。
だが その為には、スカイを地中世界へ連れて行かねばならん。
しかし龍の山の内部情報を人間には知られたくないので、人間の王として生きているスカイに新たな秘密を背負わせていいのか?あいつの負担をさらに増やすことになるが‥とためらいがあってな。
さらにそこに、移動に伴う あいつ自身の人生:寿命と老化という、他の人間との付き合いに大きな変化をもたらす要因についても説明して、あいつの「人が持つ欲」を刺激したり、考えさせねばならんのが心苦しくてなぁ・・」コンラッド
「じゃあ スカイの協力なしで、ゴンの遊び場問題を どこまで進められると思う?」ミューズ
「ふむぅ 念のために、洞窟側にミューズ お前さんがついて万が一に備え
わしが ゴンとともに地底世界に降りるかな・・・」
幾分自信なさげに コンラッドが言った。
「ノームは 多分大丈夫だろうが・・牧人と家畜どもだな、問題は。
それにボロンの防護策についても もっと深くスカイに相談したのじゃよ」コンラッド
「地上での音波の影響については、ここでの対策をスカイに相談するとして、
洞窟内での反響を加味した影響がじゃなぁ・・」コンラッド
・・・
どの世界においても、幼い子の遊び場選びとそこに付き添い見守る人や時間の確保・やりくりというのは、保護者にとって悩ましい。
こどもを 伸び伸び 存分に遊ばせたい。と同時に
こどもにとっても 周囲にとっても 安全・快適な状況を維持するというのは・・・
まして 複合家族で歳の離れた子を育てている場合は。