ノーム達
ゴンは地中2階に転移した。
ノーム達は、栄養満点・地中世界特性魔素たっぷり羊の乳とダーさん卵で ミルクシェイクを作ってくれた。
まずは、今回一緒におしゃべりタイムを楽しむことになったノームのメンバーを紹介しよう。
大ちゃん:ノーム部部長、ゴンが最初に出会ったノーム
ピーター:ノーム部副部長、陽気なお兄さん
どっこい:
口癖が「どっこいしょ」であることからついたあだ名がそのまま呼び名に。
かなりの歳よりなので、今では元の名前がなんだったか覚えていないらしい。
曰く「わしらは 長生きだから 細かいことにはこだわらないのだ」
ポンポン:丸っこい顔と体つき
今のところ、ここに住むノームは4人だけだ。
はるか昔、コンラッドや龍の先祖たちが地底世界に出入りしていたころは、ノームももっとたくさんいたのだが、その後 いろいろあって洞窟の奥深くで休眠したりそのまま永遠の眠りについてしまった。
コンラッドが最初にゴン達を地中世界に連れてきたときに、その気配で起きだした大ちゃんが、コンラッド達の支援を受け、ドラゴンクラン・ノーム部として地中世界での新たな生活基盤を整えた。
ドラゴンクランでは、地下の大洞窟全体を地底部・その地の底を地底世界と呼び、その地底部に接する崖面にできた、大小様々なトンネルや空洞・亀裂や凹凸部分をまとめて地中世界と呼んでいる。
この地中世界ノーム部の大ちゃんは、地中世界での生活基盤が整ってからは、昔の仲間を探し始め、見つけて起こしたのが、ピーターとどっこいであった。
そして ピーターとどっこいも あっさりとドラゴンクランの仲間になり、ノーム部の構成員となったのである。
ゴンが 地中世界で冬越しする間の食糧とノーム達が地中で暮らすときの食糧源として ダーさん達が交代でこの地中2階に来て無精卵を産みに来たり、
ノーム達が羊の飼育や農耕を初めてわかったことは、
この辺り一体では魔素が濃く、ここで生産された食料も魔素が豊富であるということだ。
ちなみに 最初のうちは 地中部で普通の牛を飼っていたのだが、
牛たちが魔素の影響で魔牛化して 大ちゃんの手には負えなくなったので、
今では 地中世界では 羊を飼育している。
(地中で魔牛化した牛たちは、龍の草原でほかの魔牛や大牛とつがいになって繁殖している。
地上に戻ってからは、魔牛化した牛たちもだんだん魔牛っぽさがなくなり、生まれた子牛たちも ちょっと元気だったりちょっと大柄な普通の牛さんでしかなかった。
「うーむ 普通の牛なら手に入りやすいので、それを地中世界に送って魔牛化させて
ゴンの食用にできれば、魔牛同士を地上で繁殖させるよりも簡単に、ゴンの食事を賄えるのだがなぁ」コンラッド
「その場合は 牛専用の世話係を そちらで見つけてここへ送ってくださいね。
私はもう金輪際 牛の世話は嫌です!!」大ちゃん
と言った会話も 最近かわされた。)
ドラゴンや神獣の魔力の強化には 魔素がふんだんに含まれた食料が必要である。
特に「幼いドラゴンにとっては魔素たっぷりの食糧は欠かせない!」がコンラッドの口癖であった。
だからこそ 龍の草原では魔獣(魔素たっぷり)を繁殖させていたのだが
この洞窟で育てた畜産・農産物には さらに魔素が豊富であることが分かってからは、ゴンのために、年中ここで収穫?された羊の乳と肉・ダーさん卵を提供することになった。
ゴンが地上にいるときは、毎日、ボロンの協力を得てコンラッドが設置した転移陣を使って、羊乳とダーさん卵が空間倉庫(食料用)に送られている。
羊肉は、ゴンが越冬のために地中世界に来た時に食されている。
そして 今日のようにゴンが 地中世界に遊びに来た時には、羊乳とダーさん卵は空間倉庫に送られることなく その場でゴンに提供されるのである。
「やっぱり ここのミルクシェイクはおいしいねぇ。
大ちゃんたちも 一緒に飲めばいいのに どうして飲まないの?」ゴン
「わしらにとっては 魔素が濃すぎるのだよ。
どういうわけか、今では すくすく葉のサラダとほんの少しの羊の乳と水さえあれば それでじゅうぶんなのだ。
昔はもっといろいろ食べる必要があったように思うのだが・・」大ちゃん
「調理がずいぶんに簡単になったから助かるよ」ピーター
「もっとも 乳しぼりや家畜の世話だ 水耕栽培だと忙しいがな。
昔のように 食べられそうなものを探して地中奥深くまでさまよい歩くよりはのんびりした気分でいられるので良いのだが、忙しいことには変わりないなぁ」
どっこい
「昔は 栽培や牧畜はしてなかったの?」ゴン
「わしらはもともと採鉱士であったから 光の石と引き換えに外部から食料を得ていたのだ。
だから 栽培とか牧畜による食料自給という発想はなかった」どっこい
「僕が生まれたころには 外部との取引はもうなかったけど、まだ地中世界を探検すると なにかしら食べ物はみつかったんだよねー」ピーター
「わしは 地底から運んできた果実の種を育てようとしていたのだが うまくいかなかった。
その点、すくすく葉とやみやみ葉は育てやすくて助かる。
やはり よい肥料を含んだ土さまさまだ」大ちゃん
「しかし もう少し人手があるとよいのだがな。
わしらが食べる分には 羊1頭もあれば十分だが、お前さんの食欲を満たすためには、これからも家畜の数を増やしてほしいと言われているからなぁ。」どっこい
「思ったほどノーム仲間が見つからなかったのが残念だ。
もっと 眠っている者達が残っていると思ったのだが」
悲しそうに大ちゃんが言った。
「しかたがない あれから何万年もたっているのだろうから」どっこい
「えー そんなに昔だったの?!」ゴン
「少なくともお前さんがタマゴになる前の話だからなぁ。
わしが 休眠を決めたのは」どっこい
「おそらく わしが最後にコンラッドに会った頃が お前さんがタマゴになったころだろう、たぶん」大ちゃん
「私は どっこいより先に休眠しましたからね」ピーター
「この親不孝者めが、わしより先に さっさと休眠しよって」どっこい
「だって 陰気な大人たちの中での生活がつまらなかったんですもの。
父さんだって よくため息をついていたでしょう」ピーター
「そりゃ あの頃はな。先に希望が見えなかったから」どっこい
「だから 果報は寝て待てを決め込んだんです」ピーター
「おかげで、わしより先に生まれて さっさと休眠に入ったピーターの方が、今のわしより若々しいんだもの。まいったな」大ちゃん
「それにしても おまえは 寝たり起きたりしながら最後までよく頑張ったな。
そして よくぞわしらを迎えに来て起こしてくれたと感謝しておる」どっこい
「だけど 僕としては もっと刺激が欲しいなぁ。
ねえ ドラゴンクランの地上部には、地中生活をしてもいいと考える人族はいないの?」ピーター
「どうだろう? コンラッドに尋ねてみるよ」ゴン
「おいおい 人を増やしてどうするのだ?」大ちゃん
「僕としては 地底に降りて生活をしたり、果樹栽培とかいろいろやってみたいんですよ。
大ちゃんだって 昔は地底に住んでいたんでしょ?」ピーター
「はるかなる昔にな。
しかし 果たして今も地底にノームは居るのだろうか??」大ちゃん
「僕も 早く暑さ寒さに負けないしっかりとした体になって、地底探検に行きたいなぁ」ゴン
「わしは 恐竜とか大蛇のいる地底が嫌で、外敵の居ない地中での採鉱士になったのだがなぁ」どっこい
「私は 光の洞窟の観光に来てここに取り残されてしまって今に至るんですが
今更 地底に戻りたいかと問われれば微妙だなぁ。
うっかり 昔の仲間の骨を見つけるなんてことになりたくないですから」ポンポン
「4人それぞれに思うんことは違うんだねぇ」ゴン
「そりゃ わしらが生きた時代も年月の長さも違うからな」大ちゃん
「まったくだ。わしは息子と再会できて ほんとに運が良かった」どっこい
「奥さんにも会えるといいね」ゴン
「ポンポンが僕の母さんなんだ」ピーター
「えっ!?????」ゴン
「わしらノームは 番になって子供を産んで育てる間だけ性が分化することは前に話したよね」大ちゃん
「うん。」ゴン
「子育てが終われば 元の中性にもどるのだ。
人によったら、夫婦のまま父母の役割を入れ替えながら何人も子を持つカップルもいる。」大ちゃん
「私の場合は、ピーターがさっさと休眠してしまったので どっこいとのパートナーも解消して
その後はずっと中性のまますごしていたけどね」ポンポン
「そもそも 地底から光の洞窟観光旅行に来たポンポンに わしが惚れて洞窟にひきとめたのが
わしらのなれそめだったのだ」どっこい
「すごい! ノームってミューズみたい!!
お父さんになったり お母さんになったりできるっていいなぁ!」ゴン
「近頃の子は ジェンダーフリーなのだな。
地上に生きる者達も やっとわしらに追い付いてい来たのかな?」どっこい
「どうでしょうねぇ?」大ちゃん&ポンポン
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