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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
第1章 悩めるパパたち
3/92

報告書を読むスカイと清明(付:ゴンの図解)

(2/6)

最近ドラゴンのゴンはめっきり大きくなった。


『しっぽの長さ1m、根元の直系60センチ!』

王宮の執務室で、ボロンから届いた報告書を読んでいるスカイ。


『わんぱく盛りのドラゴンがじっとしていないので、全長不明。全体の雰囲気は下図参照』

挿絵(By みてみん)


「なんだこれ?」スカイは抽象画のようなゴンの図解に首をひねる。


「あー ボロンさん、ゴンの雰囲気を良くつかんでますねぇ」

スカイの肩越しに報告書を覗き込んだ清明


「どこが!? 解説を頼む」スカイ


「えーと、ゴンは今育ちざかりなんで パッと見た目がよく変わるんです。

 日に日に体が大きくなっていくっていうのもあるんですけど

 それだけじゃないらしいんです。


 たとえば首なんですが、びにょーんって長く伸びるときもあるんですが

 肩とあごに挟まれて目立たないくらい短くなる時もあるんです。


 ただ 体側の首の付け根はこんな風に太いですし、頭側の首の先は細いです。

 それで 首全体が細が長ーく伸びたり、ぺたぁっと広がって短くなったりする感じ

 この絵から 雰囲気わかりませんか?」

清明の説明を聞いて なるほどとうなづくスカイ


「それから 羽なんですけど、左上の図のような形が多分羽の基本形だと思うんですけど、こう扇子が閉じるように 羽全体が細長くなったり、

 羽毛がぶわぁ~っと広がって この絵の体にくっついている羽みたいに大きくなる時があるんです。

 だた やっぱりドラゴンですから 目いっぱい広がった状態でも 全体でばっさばっさと空気をかくんですね。

だからあれは 羽毛みたいで羽毛じゃない硬さがあって、毛と毛の間の膜は丈夫でしっかりと浮力や推進力を産み出すんです」


「前回君一人の説明ではチンプンカンプンだった説明とほぼ同じ解説ありがとう。

 でも この絵を見ながら聞くと なんとなくイメージがわいてきたよ」スカイ


「尻尾は だいたいこの絵みたいな形してますね、いっつも」清明


「それで?」


「ただ ゴンさんがしっぽを振り回しているときは 動きが速いだけでなくでなく

 風もゴーゴー吹きますからね 周りに居る者はしっぽの形なんて気にしてられないですよね。

 それに 寝てるときとか じっとしているときって、しっぽを体に添わせてしまっているって表現がぴったりなんです。 

 おなか周りにふわふわの毛が生えていてそこに埋もれているか、腹巻の中に入れてるもんで」清明


「そもそも なんで ドラゴンに羽毛とか毛が生えているんだ?」

スカイの傍らで もくもくと書類仕事を行なっていた第一秘書のアランは心の中でつぶやいた。


そんなアランにちらっと眼をやったスカイは 説明してやった。


「もふもふフェンリルとフワフワひよこに負けない手触りの良さで

 ボロンに気に入られたかったからだよ」スカイ


??さらに疑問符が湧き出るアラン


「ゴンさんもけなげですよねぇ。そういうとこ。

 おまけにおしゃれだし」清明


「疾走する馬の絵本を見て たてがみをはやしたいとか

 変身願望さかんな幼児さんだよ、あれは」スカイ


「もしかして スカイさんも そんな年ごろがあったんですか?」清明


「僕のは 見た目をかえる魔法の練習。

  それにおっかない大人たちから批判的に採点されて 楽しいなんて気持ちは一瞬で叩き潰されたよ。


 だけどゴンは、気持ちのままに 自分の体そのものを変えようとしたから問題なんだ。

  自分の体そのものをいじると、バランスが崩れて

  それを修正するために さらに手を加えて・・

  微細なひずみが体に蓄積されて最後は破綻する。

  その怖さに気づいたときは もう手遅れなんだ。


 だから 体は自然に成長するに任せるのが一番なんだ。

  気に入らないところがあっても それもこれもひっくるめて全部自分だと受け入れることが大事だよ」スカイ


「でも ある日突然 ゴンは肉体改造しちゃったんですよねー」清明


「まったく ボロンもコンラッドも何やってたんだ!と言いたい。」スカイ


「でも そのあと ミューズさんを含めた3人がかりでゴンちゃんにいろいろお話して、

 ゴンちゃんは もう肉体改造しないと約束して

 コンラッドさんが ちゃんとゴンさんの体のバランスを整えて

 もうすぐ スカイさんが 普通の変身魔法を教えに行くことになったんでしたよね」清明


「そうそう。それで 事前情報を求めて君を情報収集に送り込んでも

 報告は要領を得なかったし、ボロンに報告書の提出を求めても 

 この図なんだから・・」スカイはぼやいた。


「そのかわり肩もみをしっかりと習ってきましたから、サービスしましょう」

清明は スカイの肩をもみ始めた。


アランは 今のうちにとサッと立ち上がり、トイレに走って行った。


というのも 多忙な国王スカイは、1週間の休暇をもぎ取るために

この3日というもの四眠五落とばかりに、1日4時間睡眠で書類仕事を片付けにかかり

配下の官吏達は スカイの休憩中でもなければトイレに行くのも気が引けるほど

提出書類の作成に追われていたからである。


そんな修羅場で清明は何をしていたのかと言えば・・

 時々スカイの気を散らして、部下達のトイレタイムをこしらえる役目を背負わされていたのでありました。



 かつて 新婚旅行でコンコーネ領に行き、二人の思い出にとペアカップの購入に入った店で、ぱったりと清明に出会ったアラン。

 まさか 公爵本人が売り子をやっているとは思わず

 まさかの遭遇にうろたえたあまりアランは口走ってしまった。

「コンコーネ公爵閣下、この世で国王陛下の気を散らせることができるのは 閣下だけです。

 どうか 時々陛下の下を訪れて、たわいのないお話で陛下の気を紛らわせて差し上げてくださいませ」


それ以来、領主稼業の息抜きがしたくなると、コンラッドに作ってもらった転移魔法陣を使って、王宮にちょこちょこ遊びに来るようになった清明。


 いつもは 日暮れてからの訪問なので、清明が来た日は

残業なしだとスカイの部下達は喜んでいたが、

 今回の修羅場では、清明をほったらかして昼夜を問わず仕事に打ち込む国王陛下。

 

 そこで 清明も遠慮してコンコーネ領に戻ろうとしたのがだが・・

 スカイ直属の官吏達のすがるようなまなざしにより、彼らのトイレタイム獲得に協力することになったのであった。


 その代償は?

官吏達の身内・知り合いの祝い事には コンコーネ領特産の食器の中でも庶民的なお値段の食器セットの分割購入を積極的に利用または宣伝すること、であった。


※ 本日 夜8時に2回目の投稿をします

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