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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
第2章 牧人の里とドラゴンと地中世界
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牧人の里

荒地に作る天然温泉の呼び方は、すくに決まった。その名も「ドラゴン温泉」


ボロンがその設計図を描いている間に ミューズはコンラッドと一緒に牧人の里に視察に行った。


フェンリルの背中に左手をのせて、フェンリルと並んで歩いてミューズは牧人達の村に入って行った。

 龍の里では中性的な少女のような服を着ることも多かったミューズだが、

今回は久しぶりに 凛々しい青年姿をとったミューズ。


金髪碧眼 薄水色の束帯風の衣装。

 本物の束帯というのは衣装を何枚も重ね着するのですが

 『~風」なのは、ぴったりとした細身の黒ズボンの上から、ゆったりとした袖が特徴のほう石帯せきたいつきの皮ベルトでとめたものだから。

 束帯の下にはシンプルな三角首のシャツに、着物を重ね着したように見えるつけ襟をつけているだけ。


 当然 下襲したがさねの長いすそにあたるきょはなし。

  「室内なら、引きずる裾《きょ=すそ》の色合いも楽しめるんだけどねぇ

   屋外では合理的にいこう!」とはミューズの弁


しかも 本物の束帯と違って、ほうの裾が短い!

ほとんどヒップ半ば(へその少し下)くらいまでしかない。


「これでは パオに長い袖をつけて襟首から着物重ね着風の衿飾りを見せただけと言っても良いのではないか?」

とコンラッドが突っ込むと

「やだねぇ 僕はあくまでも みやびで柔らかい雰囲気の和風が好みなんだよ」とミューズ。


「何だか知らんが、ミューズは 何を着ても似合うな」ボロン


「ありがと♬」ミューズ


出発前の着付けの時に そんなやりとりのあった束帯風の服装に

頭は単純にじんじりあたりで結えたポニーテールに青い飾り紐が

垂れ下がっている。髪をくくった上にかぶさるようにして飾るのは「抱きあわじ結び」である。


銀色の毛並が輝くフェンリルと、空の青・水の輝きを写した衣装のエルフが並び立つ姿に 牧人達の心は沸き立った。

 しかも たっぷりの食糧のお土産付き!


牧人の里の若者たちは大歓迎で、里の隅々までミューズを案内して回った。

 その周りを子供達が ワイワイ言いながら取り囲んでいた。


一方老人たちは フェンリルを村の集会室に招いて、近年の状況を報告しつつ、かつてコンラッドが連れて来た赤子の安否を問うた。

「あの時は 世話になった。

 あの子は無事に成人して 今では国王になった。

 じゃが あの子には牧人の記憶は残しておらん。

 これからも 牧人と人間とはかかわることなく暮らしていく必要があるからな」コンラッド。


「ですが 最近は 牧人の里の外の世界を見たいという若者が増えまして」古老


ミューズは 里と森の自然環境を見て回り

コンラッドは 「里の今」について 牧人達からの聞き取り調査を重ねた。


(参考 と 余談)


 水ひき

  http://www.iidamizuhiki.jp/make3/index.html#1


 束帯

  http://www.kariginu.jp/kikata/1-2.htm


  お雛様の隣に座るお内裏だいり様が着ているのが束帯。

 束帯と俗にいう「平安装束」とはまた別のもの。


 そして 時代による衣装の変遷を見るには、絵巻物を見るのが一番なのだそうな。

  このサイトの説明を読んで、今まで 絵巻物は、物語のあらすじやシーンの解説ばかりに目が行っていましたが、もっと 絵そのものに着目すべきだったと反省いたしました。


 一般公開されている巻物類をたびたび見ているうちに感じるのは、この半世紀の間にずいぶん色()せて来たなぁということ。

それが 私の視力の衰えによるものか、いくらガラスケースごしであろうとも 一般公開による経年劣化によるのか?と考えるとちょっと複雑な気持ちになります。

 絵巻物も 現物を正確に精密に複写したものを一般公開する時代になるのかなあ???


 両国の浮世絵美術館に行ったときに、複製された絵を使った「見方」に関する美術的解説の数々と そこから派生した私の感想・疑問に答えてくださった学芸員と思しき女性(売店の売り子さんを務めておられましたが)のさらに詳しい解説に心震え、これまで「摩訶不思議で縁遠いもの」でしかなかった北斎絵画(浮世絵)の数々に対して 眼からうろこの衝撃を覚えました!

あれ以来、北斎の絵を見るのが楽しくて仕方がない。


かつて大阪市立天王寺美術館のピカソ展を見て 私の構図・カメラワークがコペルニクス的転回を遂げ、京都の地の利を見る目が鋭くなったように、絵画や美術を見る目と言うのは、学芸員の方の展示方法、解説次第で大きく変化するものだと 改めて思います。


だからこそ、美術館・博物館を公費で運営する意義・重要性・必要性を改めて 私は強く推したいです。!!

 だれもが 古典を学び・歴史を学び・歴史をとらえる力を養う場

 文物を尊重し、大切に守る意識を高める場


 それはまた 先人の知恵を学び、今の暮らしを豊かに、個人の楽しみ・生きる喜びを深くする場でもあるのですから!。


・・

ピカソの発展形が、クリフト・アンブレラの「青いカサの野外美術展」だと思います。

 当時 友人に運転を頼んであちこち見て回りました。

 https://www.youtube.com/watch?v=r-dL3stReQ8 の紹介動画のような地域おこし的側面は全然気が付かず さんざん田舎道を車で走り回っては鑑賞w

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