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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
     ゴンの家族♡
19/92

成長の自覚:魔ウサギとはじき豆

(4/8)

翌朝、昨日きのうの衝突事故の録画を見たり、自分が作った溝跡みぞあとや倒れたあと、消毒済みの爪の回りなどを見て ゴンは昨日さくじつのスカイやコンラッドの説明を思い出した。


「ねえ 君 爪がこんな風になっていて 痛くないの?」

ボロンとミューズが心配そうにゴンを見上げた。


「えーと 昨日きのうは頭が痛いのに気を取られて 足の状態に気がつかなかった。

 今朝になって 立ち上がってみて 初めてつま先の痛みに気が付いたよ」


「やはり そうであったか。

 お前たちドラゴンは 末端の傷がひどくなるまで 自分が傷ついていることに気が付かない傾向にあるのは、末端の痛みの自覚すら遅いということにあったのだな」コンラッド


「どいうこと?」ゴン&ボロン


「つまり 痛みに気づかないということは ケガに気づきにくいということである。

 ゴンは 今朝 立ち上がって つま先が痛いと言って

 自分のケガの具合を確かめてたであろ。」コンラッド


「うん。

 それで 昨日スカイが僕の足先の手当てをしてくれた理由がやっとわかったんだよ。

 きのうは スカイのやっていることの意味が全然分かってなかった。

 そこまで気が回らなかったんだ。


 このままにしておくと 爪が完全にはがれてケガがもっとひどくなるかもしれないって言われたことも聞き流してたよ。」ゴン


「昨日の君は 頭が痛い めまいがすると言って、僕がつま先を消毒したことにすら気が付いていなかったものね」スカイ


「ドラゴンだけの生活なら、つま先の状態に気づくことなく時を過ごし、

 傷がかなりひどくなって 化膿かのうしたり腐りだすまで気づかないこともありうるということだな」コンラッド


「だったら 狩のあととか、戦った後とか、毎日寝る前には 自分で自分の体を目で見て ケガがないか確かめる習慣をつけたほうがいいかもしれないね」スカイ


「わしもそう思う」コンラッド


「わあ あれダメこれダメの次は『自分で気づけよ』だぁ」ゴン


「それが成長というものさ」コンラッド


「しっかり食べて体を育てるのと同じで

 あれこれ覚えて注意して 自分で自分の心を育て行くんだよ。」ミューズ


「実践と反省、心がけによる行動の改善

 体の鍛錬と心の鍛錬 すべてを実践してこその成長だよ」ボロン


「わぁ~お!」ゴン

「成長するって大変だねぇ・・」

ゴンはボロンに体をすりよせ、そんなゴンをボロンはヨシヨシした。



・・

というわけで、今回のスカイ国王の休暇は、

ゴンに目くらまし魔法の使い方を教えるという当初の予定を変更して

ゴンが 自分の力の影響を 目視により自覚できるような各種の道具・設備の開発・設置にあけくれることになった。


たとえば 静かに羽ばたく練習のために、ゴンの練習飛行コースの両側に

風圧に反応して色や広がり具合が変化する花吹雪のもとをすえつけるとか

ゴンの移動に伴う振動によって跳ね回るハジキ豆(注)の大量生産とか・・

 

床一面にハジキ豆をまいた部屋の中をゴンが歩くと、緑や黄色の豆がポンポン飛び跳ねる。

それを見て楽しくなったゴンが、しっぽをバッタンバッタン!


すると豆が天井にまで跳ね上がり、壁にぶつかりバウンドして

部屋の中で跳ね回る豆の数の多さと勢いに愕いたゴンは悲鳴をあげて 天井をやぶって逃げ出して、ゴンと一緒に室外に飛び出した豆を食べに魔ウサギたちが飛び出して来て

豆は跳ねる 魔ウサギも跳ねる。

跳ね回るウサギと豆におどろいたゴンも飛び跳ねて 大騒ぎになったりとか・・


 この時は 地面が揺れて さすがのボロンも立っていることができなくてゴンの側に近づけず


 とりあえずコンラッドがゴンを結界でくるんで宙に浮かべると

 うろたえたゴンが結界の中でバタバタ跳ねまわり


 ミューズが結界の中のゴンの背中の上に転移して ゴンをなだめ


 ゴンが落ち着いてからスカイが ゴンの入った結界ボールを 豆やウサギの居ないところまで移動させて地面におろし コンラッドが結界を解いてゴンを取り出した。


 自分の背丈よりも高く飛び跳ねる豆と魔ウサギに囲まれて立ち往生していたボロンも、コンラッドに救い出されて、結界から出て来たゴンを出迎えた。


「あーびっくりした」ゴン&ボロン


「練習小屋を荒地に作っておいてよかったわい」コンラッド


「魔ウサギのジャンプ力ってすごいねぇ」ミューズ


「狩の時には あんなに跳ね回らなかったよ、魔ウサギは」ゴン


「それは、ドラゴンにおびえて走って逃げることに集中していたからではないか?」コンラッド


「しかし いつのまにか 食べ残しの魔ウサギがずいぶん繁殖していたんだね」ミューズ


「まったくだ。

 腹をすかした魔ウサギどもが、スカイの魔力のこもった豆を食べて この先どうなることやら」

コンラッドはぼやいた。 



いろいろあった休暇を終えて王宮に戻ったスカイは、3日ほど寝込みたかったけど、休暇延長が1日しか認められずに、やつれた顔で2日目からは職務に復帰して側近たちをあきれさせたらしい。


ちなみに ゴンは 自分の肉体の影響力を自覚して 調整力を高める練習に忙しく 自分の肉体改造とか変身への願望を忘れましたとさ。


めでたし めでたし?!

(注)

 本文に出てくる「はじき豆」と リアル「はじき豆」は無関係です


 本文中の「はじき豆」を何かに例えると スーパーボールのようによく跳ねる

 エンドウ豆や大豆のように栄養価の高い豆の加工品です。

 大きさや色もエンドウ豆や大豆に似ています。

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