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ドラゴン・クラン(Ⅱ )よちよち編  作者: 木苺
     スカイの物語
12/92

王妃のお産

(2/5)この章は 主にスカ編イの生い立ち編です

国王は 分娩室の前の廊下を落ち着きなくうろうろしていた。



初産の王妃が 分娩の始まりを感じたのは朝の10時ごろ。

すでに 予定日を過ぎていたので、いよいよ!と喜んだ王妃は

早速 助産婦に連絡を取った。


「陣痛の間隔は どれくらいですか?」


「30分間隔になりました。

 最初に痛みを感じたのは朝食後でしたが、その後は1時間おき

 その後9時・9時半・10時と30分おきになりました」


「では 陣痛の間隔が15分おきになったら、産室に移りましょう。

 それまでは ゆったりと自由に過ごしてください」


「はい」

王妃は「はやく分娩が終わるといいのに。この1週間本当におなかが大きくて苦しかったら、子供が生まれたら スッキリするだろうなぁ。

でも こんなに大きくなったおなかから 赤ちゃんが出たら おなかがしわしわにならないかしら?」などと考えながら、夫である王にも連絡を入れた。


国王は 陣痛の知らせを聞いてすっ飛んで来ようとしたが、

「『まだまだ時間がかかりますから、初産の場合 陣痛が起きてから出産まで12時間以上かかることが珍しくありませんから、お仕事なさってくださいませ』と王妃様もおっしゃっておられます。ですから 今は公務に専念を」と側近からいさめられ、書類仕事を続けた。 


王妃は、先輩たちの体験談に従い、早めに昼食をとった。

 「お産にりき


王妃は国王と恋愛結婚であったので、国王の性格をよく知っていた。

それゆえ 懐妊した時はうれしかったが、浮足立った国王に振り回されぬようにこころがけてもいた。

妊娠出産に関しては、専門医の診断と助言に従い、

お産の心得については 信頼のできる女性達の妊娠出産体験をいろいろ仕入れたのである。


それゆえ 初産では、産室に入る前の陣痛がまだ軽いうちにしっかりと食事をとって長丁場に備えておくのが良いということは知っていた。

 陣痛に気を取られて 食事をおろそかにすると、いよいよ陣痛がひどくなってきたときには、今更食事もできない・でも空腹で目が回りそうとつらい思いをすることがあるぞと、だからこそ 「お産は食い力」陣痛初期に しっかりと食べてパワー充電しておくことが望ましいというわけ。


というわけで 朝食後最初の陣痛を感じたときも 夫には何も言わずに職場(執務室)に送り出し、陣痛間隔を確かめるために、陣痛が起きるたびに時刻を確かめてメモをとり(以下略)していたわけである。


さて 産室(分娩室とは違ってただの個室)に移動したのが昼の1時ごろ。

 医師の見立てでは、子供が出てくるのは日付が変わるころかなぁとのこと。


そこで 再び国王に連絡。

 側近には 国王にきちんと昼食をとらせてから伝えるようにと伝えておいた。

やはり国王夫妻ともなれば、伝言はすべて侍女や側近を通さなければならないのだ。


昼の2時に駆けつけてきた国王は、産室の中をうろうろ歩き回っては

分娩はまだかまだかと妻に問いかける。


陣痛は相変わらず15分おきなのに、痛みは徐々に強くなっている。

一方国王は ほぼ5分おきにまだかまだかと問いかける、

勘弁して>< 気が休まらない・・


仕方がないので、王妃は着替えたいので侍女を呼んでほしい、その間国王には室外に出てほしいと頼んだ。


国王は しぶしぶ廊下に出た。


王妃は侍女に頼んだ。

 自分が分別室に入るまで国王の相手をするよう、王の近習に頼んでほしいと。

侍女も 国王夫妻に遠慮して産室の外の廊下に控えていたが、中の様子は聞こえていたので、王妃の頼みをすんなりと聞き入れた。



王妃が、侍女や助産婦とともに のんびりと 強まりつつある陣痛に、ふーふー言っている間、国王は 近習たちと一緒に酒を飲んでいた。

 やがて生まれてくる子供への期待を口に。


国王は 酒に強く、酩酊するほど飲むのが好きであった。

なまじ酒に強いと自信があるだけに・・妊活中は酒を控えないと、

酒を飲んだら血中アルコールが精子にまで影響を及ぼし、精子が酔っぱらったような動きをするという専門家からの忠告も無視して、新婚当時も毎日酒を飲んでいた。

 仕事のあとの1杯こそが毎日の楽しみ。

 妻と過ごす夜は、人生の楽しみとばかりに。


というわけで 現在 酔いの回った状態で分娩室の前の廊下をうろうろしつつ、

時々分娩室のドアをこそっと開けて中をのぞいては 助産婦から叱り飛ばされ

余りにしつこいので 医師からにらみつけられた国王であった。


 えっ なぜ 王様を立ちあわせてあげなかったって?

  いくら夫でも酩酊状態では無理でしょう

  しらふでも わきまえなく助産婦にあれこれ話しかけて、邪魔ばかりしていた人なのに・・

  いくら妻を愛してもいても わきまえもない人を分娩室に入れるわけにはいきません

  妊娠中から 妻の健康や胎児の発育などにかけらも注意を払わず、

  お産や子育てに関する勉強も拒否して、そんなのほっといてもうまくいくものだ!と主張して

  ただ浮かれて まだかまだかと言っていただけの人ですから。

※ 本日 夜8時に2回目の投稿をします


※ 土日休日は 朝8時 夜8時の2回投稿

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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