魔牛vsドラゴン・突撃ダーさん一家
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しっぽの使い方練習2日目は いよいよ魔牛との対決だ。
シャァ シャァ、魔牛は 後ろ足で地面をする。:Ready
そして 突進 :Go!
ゴンはサイドステップよろしく横によけ、しっぽを一なぎ。
魔牛は見事に足をすくわれ 仰向けにすっころんだ。
脚を空中に蹴り上げて、起き上がろうとする魔牛。
そこにビターンと ゴンがしっぽを振り降ろして、魔牛の腹を直撃。
魔牛は哀れ ペッタンコに。
「こら もったいない。
腹と背中をくっつけたら 内臓が壊れて食えぬではないか」コンラッド。
「だって こんな風につぶれるなんて思わなかったもの」ゴン
「だから お前に 自分のしっぽの威力を自覚しろと常々言ってきたではないか。
魔牛ですらこうなのだから、ボロンや一般の人族なら どうなるかわかるな」
「う うん。
本当にボロンは 魔法で身を守ったり、清明みたいな居合切りはできないの?」ゴン
「無理だな。
ボロンは 頭がよく ドワーフらしい頑健さを持っているが、
だからと言って 龍の一撃に耐えられるわけではない。
人それぞれに 特技や才能は違うのだ。
おまえが 清明に、居合切りでしっぽを切り飛ばされたくないのと同じように
ボロンだって お前のしっぽでペチャンコになりたくはないと思うぞ」コンラッド
「はい」ゴンは素直に返事をしながら、魔牛には浄化魔法をかけて、部位ごとに収納した。
収納魔法の裏技、それは ぐちゃけたモノを一括収納するときに、それぞれマジックバックの中に分別収納するイメージを持つことだ。
そうすることによって、取り出すときには 必要な部位だけを取り出すのがより一層簡単になる。
もちろん ぐちゃけたまま一括収納しても、部位別に取り出すことができのだが、
先に分別して入れておいた方が、取り出しやすい。
「では 今度は 頭を一撃で きれいに倒してみよ」コンラッド。
「はい」
☆魔牛vsゴン 第2戦☆
シャア シャア 魔牛は ふんふんと鼻息も荒くゴンを睨みつけながら後ろ脚をかく
と いきなり突進してきた。
先ほどとは反対側によけて いきなり頭を一撃
少し弱めにしっぽを振ると、
ポキリと魔牛の首の骨が折れて こと切れた。
「ねえ これって ほとんど なでるような感覚だったんだけど」
ゴンは 力加減のイメージ誘導をしてくれたコンラッドに言った。
「つまりは そういうことだ。
おまえは もう少し 繊細な 出力感覚を持った方がよさそうだな」
コンラッドは 人間・ドワーフの打撃に対する反応と打力強度、そして魔獣を一撃で倒せる強度メモリのついた メジャーイメージをゴンに送った。
「え~~~~~~!
魔力なしのフェンリルって 犬や人並みの強度なのぉ
しかも 人もドワーフも このメジャーの端っこの線1本分より弱くって
拡大してみないと わかんないくらい弱い!!」
「つまりはそういうことよ」コンラッド
「でも でも エルフは?」
「データ不足につき不明じゃ。
ちなみに お試してミューズを襲ってはいかんぞ
あいつが 転移魔法で逃げると この世の理が乱れるからな。
しかも あいつとて 体の強度は人間並みのはずだ。
理を気にして あいつが転移魔法を使わなければ、お前は一生後悔することになるぞ!」
エルフは わしら神獣と同じで 本能的に魔法で身を守るから、
強さなんて 他人にはわからぬものよ。
いずれにせよ 神獣やエルフを攻撃してはならん!練習試合もダメじゃ!!」
「わ わかりました。
これからは もっとしっぽの使い方に気を付けます!」ゴン
それからゴンとコンラッドは、二人で魔牛を おいしくいただいた。
・・・
このあと、コンラッドから念話で報告を受けたスカイから、ゴン宛に
大量のわら類が送られてきた。
縄やむしろ・布などに加工する前処理として、しっぽを適切な力加減で振って、
繊維がちぎれることなく柔らかくなるように 叩けというのだ。
ぎゃ~~~~~~ドラゴンの咆哮が 龍の草原に響き渡った。
ビックリしたダーさん達は飛び上がり、そのまま勢いよく集団で突進してきた。
「うるさいです!
それでなくても 最近は 地響きがしたり
今度は 雄たけびですか!
いい加減にしてください!!!!
そんなに騒いだら びっくりして 卵を産めなくなります!」
ダーさん卵の半熟が大好きなゴンは、大地に腹ばいになり、羽を広げて、首をのばして地面にペタッと張り付くようにして謝罪した。
「以後気を付けます
練習の為に 振動や大声を出すときは 事前にお知らせします」
これぞ まさしく龍の平謝り。平身低頭である。
「わかって下さればいいんです。
次はありませんよ!
ほんとに ほんとに気を付けてください!」
そういって ダーさん一族は 引き上げていった。
今や ダーさんが産む無精卵は ゴンにとって貴重な食料源である。
最近 人族は ダーさん卵をドラゴンに譲って、自分たちは鶏卵を食べている。
そして 雄鶏や雄のカモを食べている。
ドラゴンクランの一員となった ダーさんの子供達(雄)を食べない代わりに。
ミューズの力で ドラゴンの庭全体では 動物も植物もすくすく育ち繁殖しているおかげで 目下の所 人もドラゴンも飢えることはない。幸いにも。
そして ゴンは 現在 ワラウチなどのアルバイトをしながら
しっぽの微妙な力加減を練習している。
ちなみに アルバイト料は 全額、ゴンからドラゴンクランへの寄付として納められている。
そして アルバイト料の支払い主は スカイ(国庫)と清明(コンコーネ領費)である。
なぜなら ゴンが叩いて柔らかくした藁を綯って藁加工品を作って収益を上げる事業を立ち上げたのが スカイと清明であるから。