こちら異世界対応対策室六課!!
異対六課 中世の西洋風異世界 日付不定18時30分・・・
異世界出店報告書
2021/03/16
鈴木
場所:西洋風異世界(以下A)
転移者:居酒屋のオーナー兼料理長男性1名、店員女性1名
危険度:0
状況:東京都●●区△△市内の居酒屋の表通りに面している入り口がAに転移している。
料理長の技術が異世界に流出している恐れはあるが、Aの技術力では再現不可能であるため、
危険度は0と判断。
Aから居酒屋へは金貨、およびレアメタルを硬貨にしたものを支払いに充てている。
日本国内へのレアメタルの供給が少なからずあるためメリットだけあると思われる。
引き続き、調査を続ける。
・・・
「ふぅ」
お店の一部が異世界へ転移している居酒屋の調査報告書の作成が終わった。
料理長の腕前はたしかなものだ。日本国内で商いしてもきっと繁盛するだろう。しかし、あの料理を食べたときの異世界人の顔はとてもいいものだ。今までたべたことのないおいしい物を食べたときの顔はとても良いものだ。
これを見るのもまたたのしい。日本ではとうてい見られないだろう。だからこそ、色々理由をつけて異世界での商売を黙認しているだ。
六課は金を使った取引や工作活動をするだけの部署ではない!このように異世界へ出店している料理店の調査も行っている!けっして陰気くさい部署ではない!しかし、これを声を大にして伝えたらもうおいしい蜜も吸えないから伝えたい気持ちを抑えなければ!
ゴクッゴクッゴクッ!
おつまみのおかげかビールもうまい。
「にいちゃん、おもしろいものを使ってるな?」
屈強な身体をした異世界人に話しかけられた。隠して扱っていたスマホが見られてしまった。
「これは魔道具の一種ですよ、文字が打てるんです」
「へぇ、便利なものがあるもんだな」
異世界人の男性をそう言って自身の席に戻りつつとりあえず生と注文を行っていた。
なんとかごまかせた。
そろそろおいとまして次のお店へ調査に行こう、そうだなデザートがいいな。
鈴木はデザートを食べに、別の中世西洋風の異世界に向かうのであった。