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1.序章:異世界への旅立ち

「おーい、輪廻!」

 いつもと変わらぬ日常。授業を終え、いつも通り帰ろうとしていた竜胆輪廻(りんどうりんね)は聞き覚えのある声に靴を履き替える手を止めて視線を向けた。

「陸斗か」

 手を振りながらやってきたのは予想通り先程教室で別れたばかりの幼馴染み、朝霧陸斗(あさぎりりくと)だった。

「今帰り?」

「見てわかるだろ」

 放課後に鞄を持って靴を履き替えているのだ。しかも、輪廻が部活に所属していない事は付き合いの長い陸斗なら当然知っている。その状況で他に何があるのかと輪廻の冷めた目が語っていた。

「そっか」

 納得したように頷いて陸斗は人好きのする笑顔を浮かべた。

「俺が一人寂しく帰るのがそんなに嬉しいのか?」

「ち、違うよ!」

 慌てて首を振る陸斗に輪廻は鼻を鳴らした。

「久しぶりに輪廻と帰ろうと思ってさ」

「俺なんかと帰って何が楽しいんだ?天里とでも帰ればいいだろ」

 もう一人の幼馴染みである少女の名前を出すと陸斗は首を横に振った。

「今日は生徒会があるから遅くなるって」

「そういえば、そんな事も言っていたな」

 もう一人の幼馴染みである少女、七海天里(ななみてんり)はこの高校の生徒会長を務めている。そのうえ、成績はトップクラス。生徒会と兼任で所属する陸上部ではエースとして活躍して全国大会にも出場している。しかも、容姿端麗で性格も非の打ち所がないという完璧超人だ。

 適当に相槌を打っている間に靴を履き替えた輪廻は鞄を手に取り、さっさと歩き出した。

「じゃあな」

「って、ちょっと待ってよ!」

 その後を陸斗は慌てて靴を履き替えて追いかける。

「なんで一人で帰るのさ。一緒に帰ろうよ」

「天里以外にもお前と帰りたい奴なんていくらでもいるだろ」

 追いついて隣に並んできた陸斗に輪廻は面倒臭そうに視線を向けた。

 この高校で一番人気のある女子といえば間違いなく二人の幼馴染みである七海天里の名前が上がるだろう。そして、一番人気のある男子だった場合に名前が上がるのは間違いなくこの男、朝霧陸斗である。

 そこらのアイドルですら霞んで見える整った容姿。身長も輪廻より10センチ以上高く、190センチ近くある。柔和で明るく、誰に対しても優しい。成績も上位に入り、運動に関しては化け物級だ。当然ながらモテない訳がない。

「え?そんな人いないと思うけど?」

 だというのにこれである。周りの女子がどれだけこの男に好意を寄せているか知っている輪廻は呆れたように首を振った。

 隣を歩く輪廻も陸斗にこそ劣るが決して醜悪という事はない。深い黒髪と黒い瞳。切れ長の目はやや人を寄せ付けない印象を受けるが十分に整った容姿をしている。

 天里に言わせれば『目付きと口と性格以外は悪くない』だそうだ。色々ディスられているが輪廻自身はそれを否定する気はなかった。






「──なんだって」

「そうか」

 逃げるという案も一瞬頭を()ぎったが、そこまでして一緒に帰りたくない理由もないかと輪廻は陸斗の話を聞き流しながら帰り道を歩いていた。

 一方的に陸斗が話し、それに輪廻が適当に相槌を打つ。

 初めて会ったのが幼稚園の頃。それから小学、中学、高校と付き合いはすでに10年を超える。それだけの腐れ縁ともなればお互いの性格は理解している。これが二人にとっては普通の距離感なのだ。

「っ!輪廻!」

 突然大声をあげた陸斗。しかし、それも無理からぬ事だろう。突如として二人の足下に光り輝く魔法陣のような物が現れたのだから。

「ど、どうしたら……!」

 突然の事に慌てる陸斗とは違い、こんな状況であっても輪廻は冷静に魔法陣を観察していた。そして、分かったのはこの魔法陣が陸斗を中心にして広がっているという事。

 つまりは輪廻は巻き込まれたという事。故に、今すぐ魔法陣から出れば巻き込まれなかったかもしれない。だが、輪廻はそれを選ばなかった。

「面白そうだ」

 その言葉を最後に魔法陣は一層光り輝き、二人の存在はこの世界から消え去った。

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