Ending.1 傍観者と加害者の違いとは
ジリリリリッ
ーーー2月29日 土曜日ーーーー
は? 見間違いか?
ーーーーー下校ーーーーー
はぁ〜〜〜〜・・・・
意味わかんねぇ・・・
どういうことなんだ?
昨日もあり得なかったが
今回はどういう了見だ?
時が巻き戻るなんて・・・
まぁ そのおかげで
テストもいい点が取れたんだが・・・
まぁ 小テストぐらいでいい点取れてもなぁ?・・・・
どうしようもないっていうか・・・・
まぁ この現象について考えても
わかりゃしないからな
仕方がない
今日はもう終わったし
でも あいつまたいじめられてたな
かわいそうしか言えないな
だってそれ以外の言葉見つからないもんな
救うって言ってもそんな大層なこと俺にはできないし
言葉かけてもなぁ・・・・
どうにもならないし・・・
てか あいつ いつから
いじめられてんだ?
今までそんな目立って暴力振るってるところなんて
見たことないんだが・・・・
しかも女子同士だぜ?
俺はてっきり女子は一人の女子を中心として
きゅらきゅらしてんのかと思ってたよ
全然そんなことないのな
やっぱり女子って怖いわ・・・
あんなのどうやっても止められないし
ずっと いじめられてたんなら
今頃 救うぞ って近づいてきた男なんて
どうでもいいわな
俺から見てもそんな奴嫌だし気持ち悪いし
上から目線すぎる・・・
てか なんで俺こんなに気になってんだ?
放置しとけばいいだろ
こんなことなんてもう起きないだろうし
さっさと寝るか・・・・
ーーーーー2月30日 日曜日ーーーー
おいおいおい・・・・ふざけてんのか?
どういうことだ?
昨日は2月29日なんだったら
次は3月のはずだろ?
どうなってんだ?
この時計は・・・
わけがわからねぇ・・・・
どういうことなんだ
こんなこと・・・・
こんなにおかしなことが起きてるのに
この日は全くもって普通であった
嵐の前の静けさとはこのようなことのことを言うのだろう
いや もう嵐の中には入っていたのかもしれないが
この日々は周囲の人にとっては日常であっても俺にとっては日常ではなかった
周囲の人の記憶は引き継がれず
俺の記憶だけが引き継がれる
次第に感情という物がなくなっていった
同じようなことし同じ物を食べ
機械的に 生きていた
そんな生活に嫌気がさした俺は
「そうだよ!お前なんか死ねよ!!!」
「屋上から飛び降りて死ね!!」
「なんでお前はそんなゴミみたいな顔引き連れて
学校に来れるんだよ!!
あくまでも公共の場だぞ!!
この猿女!!」
あの子のいじめの加害者になってしまった
もう取り返しがつかない
この子は明日に死ぬのだろう
そしてこの記憶は周囲には引き継がれず
俺だけが引き継ぎ永遠に俺を苦しめる
だが もうこれでいいんだ
俺は人間失格だがこんな日常はもう嫌なんだ・・・
ーーーーー2月29日 昼休みーーーー
ん?なんだなんだ?
めちゃくちゃ騒がしいぞ?
なんか 先生も焦って走り回ってるし・・・
なんか・・・犬みてぇ・・・・
他の人はなんか屋上向かってんねぇ・・・
ちょっと見に行ってみるかぁ・・・
ーーーーー屋上ーーーーーー
「もう 私は嫌なの!!
こんな風になじられるのも
殴られるのも
制服を汚されるのも
教科書を捨てられるのももう嫌!!!」
そう 泣き顔でその子は言っていた
変わった・・・
日常が変わった
そう俺が思った瞬間
その子の体は中に浮き沈んでいった
その瞬間のあの子の目は今も忘れない
あの憎悪に染まった濁った目を
死ねと俺に向かって言っているような
口の動きも
俺は今も忘れることができない
ーーーーーー3月1日 日曜日ーーーーーー
ブオォォォォン!!!!
エンジンを噴かす猛々しい音ともに
1日が始まる
あれをやっているのは
俺の仲間たちだ
毎日俺を起こしに来てくれる
俺としてはあの子のことは心残りだが
痛烈な日々とあの地獄のような日々から抜け出せたことは
本当に嬉しい
俺は今あの子を犠牲にこの日常を生きている