2話 いじめ
信じられないことが自分の身に起きたことを改めて知った私は、家族の分の朝食を作り、叔母家族らが起きてくる前に家を出た。
学校につくまで昨日の夜のことばかり考えてしまった…
教室へ入ると、一瞬で教室にいた人からの視線が私に刺さる。そして突然現実に戻された気分になる。
私に刺さった視線も一瞬で興味のないものと判断された瞬間何事も無かったかのようにもとにもどる。
教室の1番後ろの窓際の席、そこが私の席だ。
椅子に座ろうとすると、椅子を後ろに引かれ、尻もちをついてしまった。
こんなことをしてくる人は決まっている。
私をずっといじめてくる人たちのうちの一人、金井 真央。
「ちょっと朝から寝ぼけてドッキリに気付かないとか(笑)ボサ子ってばドジっ子なんだから〜あはは!」
「ちょっと、ドッキリやるにも加減があるよ、萌衣ちゃん可哀想……萌衣ちゃんはどんくさい子なんだから程々にしてあげなよ真央。」
そういう彼女はクラスでも優しくて可愛いと人気の花宮 乙音。
「こんな貧乏人野郎でも可哀想と思える乙音は優しいな。」
そう言って私を貧乏人と呼ぶ男はクラスでも財閥の後継であり美男子として有名な嵩野 恭弥。
「やっぱ貧乏人はこの学園に向かないっすよね〜?だって薄汚くて周りの空気が汚れちゃう!助けて乙音ちゃん!!」
「おい!どさくさに紛れて乙音に触ろうとするな!!」
私を進んでいじめてくる人のうちのもう1人、沢北 文翔。
「はい、ではホームルームを始めますよ〜」
学校へ来てそうそう机への落書き、ドッキリという名の嫌がらせを受ける。しかし、先生が教室へ入ってくることによりそれは一時的に収まる。
最初は先生に助けを求めようとも思った。でも、
「奴月さん、被害妄想も程々にしてちょうだい、クラスの人にもあなたがいじめられてるなんて話は聞いたことないわ。それに、花宮さんたちがそんなことするはずないでしょう?」
何度相談しても先生は私の話を聞いてはくれなかった。
今日もまた今まで通りの生活を繰り返す。そう思うと、胸が苦しかった。
昼休み
教室でご飯を食べていると、金井さんたちに手作りのお弁当を捨てられてしまったことがあったから、昼休みはいつも屋上で1人こっそりとお弁当を食べている。
1人お弁当を広げながらふと、昨日の鬼邪さんに言われた言葉を思い出した。
「本当に呼んだら来てくれるのかな…?鬼邪さん。」
「呼んだか?」
「えっ!」
私が小さい声で呟くと、屋上の扉が開き、そこからバスローブ姿の鬼邪さんが現れた。
「あ、すみません急に呼んでしまって!」
「構わないが、ちょうどシャワーを浴び終わった状態でな。」
「鬼もシャワー浴びるんだ…」
「声に出てるぞ。」
「あっすみません……なんというか、普通の人みたいだなって」
「そりゃあ千年も生きていたら人間社会に馴染むに決まってるであろう。それに、私も元は人間だったからな。」
「え!鬼邪さんも元は人間だったんですか!」
「そうだ。昔は武人としてよに名を馳せていたのだがな。」
「そうだったんですね。」
「なんだ、信じられないか?」
「い、いえ!その前に着替えませんか?」
「そうだな。萌衣、ついてきたまえ。」
「え?あ、はい!」
わけがわからぬまま鬼邪さんの後ろを付いて屋上のドアを開けると、ドアの先はオシャレなインテリア達が並ぶ部屋だった。