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シロとクロ
「地上に降りて人類を救え」
クロは地上に降り立つや否や すべての国の王様を刎頸に処した。
そして唯一絶対の神として全世界を支配した。悪事を行ったものを許さなかった。
シロは病めるもの、空腹なもの、苦しむもの、怖がるものを
ひとりずつ、ひとりずつ救っていった。救えない者ばかりであったが、それでも一切の苦悩を見逃さなかった。
ある日ふたりは久しぶりにあいまみえた。
クロは白の首元に剣を当て、問うた。
「私は世界に安寧と平和をもたらした。くだらない人死は最早存在しない。唾棄すべき悪党は滅殺した。お前は何をなした?」
「私は人々に苦痛と絶望をもたらした。救えない者ばかりだった。救えなかった者ばかりだった。
白は続けた。
きっと私はあなたにも苦痛をもたらすだろう」