第三話 なくした日
8年の月日がたった。
八年間、報復の為だけに生きてきた…
今日もいつもと全く変わらない日常だ。
「ジェットコースター私大好きなんだ!」
「そうか…」
「あっちゃんは?」
「…さぁな」
俺は、別に遊園地に遊びに来たわけじゃない。
この女から情報を聞き出したいだけだ…
「ほら! 次!次!」
「…」
手を引かれ、ジェットコースターに乗り込む。
レース場をがたがたと揺れながら進んでいく。
秋山が妙に興奮している。
何が楽しいのか、わからない。
そういえば昔、こんなところに来た記憶がある。
「結城さん! こっちこっち!」
「あぁ…今行くよ」
ゆっくりと坂を上る。
青空がよく見える位置まで来た。
まるで…
まるで…
なんだ?
うまく言えなかった。
「こっから、日本一だよ!」
「は?何がだ?…」
「ス♡リ♡ル」
秋山のその言葉とともに、コースターが急降下して宙を舞う。
スピードと重力を強く感じた。
「楽しかったね!」
「…そうか…」
「どうしたの?」
「何でもない。」
…酔った。
この女は何らかの情報を持っている…
それまでの我慢だ…
「あははは!」
「あんまり回すな…」
我慢だ…
「キャぁ!」
「!?」
我慢…
「お腹すいたーおごってー」
「なんでだよ」
さすがに痺れを切らした俺は、昼食を奢るついでに聞いてみた。
「そろそろ…教えてくれないか?」
「あぁ~情報?」
「そうだ…」
秋山はすごく真剣な顔をして、バナナシェイクを啜る。
「あのね…元カノちゃんを殺した奴らの居場所が分かったかもしれない。」
「本当か!」