第三話 過去の香り。
デパートを歩いていると、見覚えのある縫い包みがあった。
よく見てみると、それは以前秋山と言った、遊園地のマスコットだった。
ここで見れるほど、有名なキャラクターなのか?
そう思いつつ、これにしようと決めた。
店の中に、入り縫い包みを購入し、ラッピングをしてもらった。
黄色の包み紙、オレンジのリボン。
何かが深い湖の底から、浮き上がる感覚がした。
「わぁ! かわいい、エディだ!」
「エディ? 」
「知らないの?」
「あぁ…」
「このくまの事だよ! 世界的に有名だよ?」
「そ…そうなのか?」
一瞬、記憶の断片的なものを思い出す。
殺された、恋人 リオの記憶である。
「このくま、懐かしいね?」
「え?」
その瞬間、店の中に、いる人々の動きが止まった。
というよりも、空気そのものが変わった。
声の主を探り振り向くと、そこには あの時から全く姿が変わらない、リオの姿があった。
「リオ…」
「久しぶりね!」
「…」
「私に、合わせる顔がないって思ってるでしょ?」
全くその通りだ。
そむけた顔を無邪気にあの子は、のぞき込んだ。
自然とその顔を見て、涙があふれ出た。
「復讐なんて、しなくてもいいのに…」
「許せないんだ。」
「そっか…私は、止めないっていうより、止めれない。」
「…なんで?…」
「だって、私はあなたの記憶の中で生まれた。 リオ擬きだもん」
・・・・
「お客様?」
「すまない…」
ふと我に返ると、レジ前で俺は立ち止まっていた。
時計を見ると、時間になっていた。
急いで、デパートを出て小走りで、銃砲店に向かう。
「ずいぶんと、早く来るじゃないか! まだ少しばかし、かかるよ…あんちゃん」
「そうか…」
予定時刻より、十分早かった。
棚を見て、色々とみていく。
ガンケースにオイル。
「あのガンケース…を追加で買わせてもらう、そのまま担いだら、犯罪になるからな…」
「そうだな、あんちゃん。」
そういうと、店員の男は、マーリンが入るくらいのガンケースを下す。
「はい、今ちょうど申請通ったから…そうだ、何なら試し撃ちしていくかい?」
「…射撃練習場が近くにあるのか?」
「そこのドアの向こうにあるんだ。」
「やってみる…」
そういうと、店員はドアを開けて、案内する。
30mほど先にある的、小さなスペース。
俺は、銃に弾を詰め込むと、ゆっくりと構えた。
「レバーを引く時は、なるべく大きく…シュワちゃんみたいなことは、出来ないよ!」
「わかった…」
レバーを大きく引き、コッキングをすると、まず正面の獲物を射抜く…
的の中心から、数センチそれた。
素早く、コッキングを行うと、右隣の的に向かって、発砲。
今度は、正確な位置にヒットする。
その状態を、確認しながらコッキング。
最後左側を感覚っで撃ち抜く。
…2㎝のズレ…
40点…というところだろうか…。
「すごい早撃ちだね…あんちゃん」
「そうか…」
「どっかで、似たような銃を撃ったことがあるのかい?」
「…このタイプは、初めてだ…気に入った。 いい銃をありがとう…」
そういうと、銃をケースにしまい。
店を後にする。
店員は、その射撃の腕前を持ちながら、初めて撃ったという、メトロを驚き見つめていた。
これで武器は、そろった。
―――――数時間後―――――
日も落ちた、ある時間…
運よく、今日の夜…お台場では花火大会があった。
そのタイミングを狙い…河原で煙草を吸う…赤酒商会のメンバーを130m離れた、ホテルの屋上から狙い撃つ。
アイアンサイトであり、さらにこの暗さであったが…花火の光で何となく見えた。
海岸沿いでランニングをしている民間人もいる。
上手くバレないようにやらねば。
あの日の言葉を思い出す。
「狙う時は、リラックスして狙いを定めろ...大体で狙えたら、息を大きく吸い込み撃ち抜け。。。」
あの日…マーキュが言った言葉だ。
微調整
微調整
酸素で肺を満たし、ゆっくりと引き金を引く。
花火が打ちあがっているため、さほど音は目立たない…
弾丸は、まっすぐ標的の頭にめり込んだ。
「豚を狩った…」
その瞬間を見た、民間人も続けて数回撃ち込むと、遺体のある場所に急ぐ....
さすがに、まだ見つかってはいない…
川の中に遺体を投げ込んだ。
数人隠すには、十分な深さであり、1週間は見つからないだろう…
実行は明日だ…
今日はもう寝て備えよう…