表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化け物が生まれた  作者: クラゲ&ニファシスター&ミリタリー 
生まれついた先
18/39

第二話 銃を手にした僕らは、


2021年 ある日。


俺は中東の紛争地帯で銃を持ち、くたばりかけていた。

「あぁ…こんな所でくたばっても居られない。」

廃墟と化した砦の中で、そっと呟く。

「كان هناك عدو!」

その声と共に、一緒にやってきた傭兵たちが撃ち殺された。

次死ぬのは俺なんだろう。

だから戦うんだ。


柱の陰から姿を見せびらかし、敵がいる場所まで走った。

敵が俺の存在に気づき、銃を構えた時…

壁を蹴り、銃を撃ちながら敵の懐に入っていく。

一人一人、素早く頭を狙った。


大勢の返り血を浴びながら思ったことがある…

 

俺は人を殺したこの瞬間、自分の存在を確信できる。








現在――



「やっぱり来てくれたか…メトロ」

「何の用だ?…マーキュ」

東京タワーの展望台に、呼び出された。

マーキュは少し申し訳なさそうにこちらを見つめている。

「明日、銀行強盗をしようと思っている。」

「ヴィーナスがそんなこと言っていたな…」

「俺は協力しないからな。」

完全に呆れ果て、エレベーターに向かおうと歩き始めた瞬間。

「頼む! 赤酒の銀行なんだ! 遠くからでもいい…援護してくれないか?」

赤酒と言う言葉で俺は立ち止まった。

「赤酒の銀行…いいだろう…」

「ありがとう…アース」

「ただし!…俺はお前らの小遣い稼ぎに付き合うわけじゃあない!」

「あぁ、わかってる…復讐の為なんだろう? それでも、ありがと…」

「それと…」

「?」

「俺は、もう…アースじゃない…メトロだ。」

















―――――――――――――――――――――

後日、近くの銃砲店に足を運んだ。

日本が銃社会となってからは、こんなところに来ていなかった。

昔と違い、カウンターケースには拳銃が並び、後ろの棚には猟銃。

それにカスタムパーツなんかも置かれていた。


店員がこちらを見つめている

「何かお探し?」

「マーリン m336をくれ…」

「レバーアクションかい? あんたずいぶん古いの選ぶねえ」

「スコープは六倍以上の物を…」

「あいにく、この銃に取り付けられるスコープはないよ。」

「そうか、じゃあそのままで…弾は70発。 」

「はいはい、じゃあ免許書と代金、42万円。」

「一括払いでいいか?」

「失礼、アンタがそんなに持ってそうには見えないけれどもね。」

「ATMから落とせばある。」

「ローンでも大丈夫だぞ?」

「借金が嫌いなもんでね」

「あっそ、じゃあ発行まで二時間かかるから。それまで散歩でもしてな」

「わかった…」

店の外へ出て、財布を覗いてみる。

財布の中には2万円が入っていた。

これじゃあ足りない、俺は近くのデパートに向かい、歩き出した。

2時間以内に四十何万円という大金を稼がないといけない。

もちろん通帳なんかない。


最も手っ取り早い方法がある。

スリだ。


十年以上前に、ソーラーシステムと言う当時日本最大の密売組織に所属していた。

その時、一番最初に教わった稼ぎ方がこれだ。

デパートに来る人は大体が買い物客だ。


当たり前の話だが、

金を使う場所には、金を持った人間がいる。


デパートに行くまでの通りには高級品を扱う店も多い。

つまり、ここが1番の稼ぎ所なのだ。


道行く人の財布を手当り次第に盗み、鞄に入れた。

ここ十年間の主な収入源はスリだったため、最早手慣れたものだ。


デパートにつく頃には、鞄いっぱいになるほどの財布が盗めた。

早足にトイレの個室に入り込み、中身を物色する。


小銭だけの財布から、栄一がたくさんいる財布まであった。

しかし、集まっても十万と少しが限度か…


どうするか考える間もなく、一人の人物が頭に浮かぶ。


「アンチマン…」


急いで、携帯電話からアンチマンに、連絡をかけた。

「珍しいねぇ! メトロ君。」

「そうだな…ひとつ頼みがある。」

「どうしたんだい?」

「今すぐに大量の金が要る。 30万以上。」

「なるほどね、だからわざわざ連絡したってことか?HAHAHA! 俺はお前に借りがあるからな! いいだろう! イヤホンあるか?」

「ああ…」

「それを携帯に差し込んで会話をしよう… ほーう、どうやら君は品川区のデパートにいるようだね。ようし、ATMに向かってくれ」

イヤホンをつけ、近くのATMに向かう。

「ついたぞ。」

「なら、入金と引き出しのボタンを同時に押してくれ。」

「わかった。」

指示通りに画面をタップする。

「よし、じゃあ引き出しの項目に2026と打ち込んで。」

「やったぞ、」

「暗証番号は2015」

「あぁ…入れた。」

そういうと札束が出てくる。

正確な金額はわからないが、100万円はありそうだ。

「ありがとう…」

「お安い御用さぁ、とりあえず履歴を消しにかかるから、通話を切らせてもらう。 またなんかあったら言ってくれ!では、サラダバー!」

そういうと、通話が切られた。

ATMから100万円を取り出して財布にしまい、

残りの一時間半をデパートで過ごす。


…何か秋山に買っていってやろうか。


なぜか俺は秋山に土産を買っていこうと思った。

理由は特にない。

なんとなくの行動だ。


アイツが喜びそうなものを考えていた。

人の好みを考えるのは久しぶりだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ