第三話 ハク セキレイ
400mの高さから、パラシュートなしで降下する。
軽量化した、紫の防弾チョッキと動きやすい軍服。
ベレッタとナイフは太ももに。
そして日本刀は背中に。
「こちら本部。レイ、作戦地域内の敵すべてを殲滅しろ。」
「…」
彼女がマリンホームの地面に触れたこの瞬間。
ジェームズが、彼女の姿を視認した瞬間。
日本が変わった。
レイは、ゆっくりと立ち上がった。
「なんだ!こいつは! 」
「空から!」
「かまわん!撃て!」
兵士たちが自動小銃をフルオートに変更して、リーンに向かい撃ち込む。
「撃ち方止め!撃ち方止め!」
「っな!」
数十人が一斉に撃ち込んだ弾丸は、一つもレイには、当たっていなかった。
「どうなっている! とりあえず撃ち込むんだ!」
再び銃を撃ち込もうとした瞬間、彼女の姿が消えた。
それは、瞬間移動なんかでは、なく。
一コマ前までは、居たはずなのに…消えたんだ。
「消えた!」
「うああああ!」
「どうした」
兵士たちが振り向くと、斬首された仲間が倒れている。
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「何が起こっている。」
「彼女の名前は、ハク セキレイ CEO最大の戦力」
「最新のパワードスーツか!」
「いいえ 生身です。」
「そんなはずは… これは、人間の行動範囲をはるかに…」
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400人いた増援兵が一分足らずで、死滅した。
彼らの首は、斬り落とされている。
一人の少女が佇み、返り血を顔に塗りたくる。
(ふぅ…)
―眠猫部隊防衛線サイド―
硬直状態が続いている。
「レイがこちらに来るまで耐えろ!」
「了解!」
兵士たちが叫び始める。
「奴らが来た! 行くぞ!」
部隊全員は、銃を乱射して挟み撃ちをかけた。
「クソ! なんなんだこいつら―」
兵士たちが英語で嘆いている。
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「全滅…だと?」
「どうでしょうか?」
「…一度 私は、帰国させてもらう…」
そういうと、ジェームス長官は、そそくさとその場を去っていく。
「大統領に報告せねば」
そう、彼は呟いていた。
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三日後
施設内のメンバーは、疲れ切っていた。
「あぁ…ラーメン食いてえ 」
「確かに、言えてる。」
眠猫部隊の隊員が、畳の上で自堕落に過ごす。
犬甘と眠猫が射撃場で、銃を撃つ。
「お見事です! 隊長!」
的に、銃弾を的中させたことに感動した、犬甘が拍手をする。
隊長は、少し困った顔をして、
「動かない的には簡単に当てれるでしょ?」
「ですけど、フルオートであの命中率は、すごいですよ!」
「へぇ…」
そう眠猫が返すと、照れ隠しで再び銃を撃つ。
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「大統領…私です。」
「はい 彼らの力がどんなものか、見てまいりました」
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