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91 地下五十八階

 翌日、朝食を食べながら会話をする。


「今日は五十八階からだけど、多分モンスターの種類が変わるはずだ」

「おう、わかった」

「どんなモンスターかしらね」

「予想できないよな、ダンジョンって」

「何がくるかドキドキです。あ、慣れたらジャベリンの練習してもいいですか?」

「ああ、最初からでかまわないよ」

「はい! ありがとうございます!」


 朝食を終え少し休憩したところで俺たちはすぐそばにある五十八階への階段を下りた。

 予想通りこの階からまたモンスターが新しくなるようだ。

 ミニマップには先ほどまでは五体だったモンスターパーティが今は四体になっている。

 そのことを伝え、先を進んでいく。


 暫くして出会ったのは、牛の頭部と人型の体をした、ミノタウロス三体と、体が水でできているらしいアクアドッグが一匹だ。

 ミノタウロスは俺もよく知る見た目で、牛頭の人型だが、皮膚は牛と同じく茶色の細かい毛に覆われていて、手は人と同じだが、足は牛の蹄だ。

 鉄の胸当てと腰鎧をつけ、武器は大きな両刃の斧を持っている。

 頭部には兜はつけておらず、代わりに立派な湾曲した角が生えており、頭突きでもされようものなら、グッサリと刺さるだろう。


 そしてアクアドッグ。

 犬の姿をしていているが、全身に鱗が生えていて、鱗の色はアクアマリンといった色だ。

 鱗のない部分はそれよりも少し濃い青色だ。

 尻尾などは水でできているようで、揺れるたびに水がはねている。

 驚くほど幻想的で、実に美しい。


 攻撃方法は、ミノタウロスは物理攻撃で、アクアドッグが魔法攻撃らしい。


「――ミノタウロスは見たまんまで、アクアドッグが、へぇ、アクアカッターを撃ってくるみたいだな」

「アクアドッグは物理攻撃で死ぬのか?」

「ああ、問題なく死ぬみたいだぞ。ただ壁、天井、空中、関係なく動き回れるうえにかなり素早いみたいだ」

「ふぅん、俺、アクアドッグいってもいいか?」

「分かった。じゃあ俺たちでミノタウロスはやっておく」

「おう、頼んだ」


 俺はフィーネたちに目配せをした。

 フィーネは一つ頷くと連続して三本の矢を放った。

 それは見事にミノタウロスたちに突き刺さり、こちらへ走ってくる。

 ある程度近づいてきたところで俺はミノタウロスたちにルーツをかけた。


 ミハエルはすでにフィーネが矢を放ったと同時に走り出していて、アクアドッグに切りかかっている。

 俺はエルナにジャベリンを撃つように言ってからミハエルに目を移した。

 フィーネも適度にミノタウロスにどのくらいダメージが入るか矢を撃ちながらも、時折ミハエルに視線を飛ばしている。


 アクアドッグはミハエルの初撃をどうやら躱して空中に駆け上がったようだ。

 天井までの高さは三メートルとそれなりにあるが、アクアドッグ自体が一メートルほどの体高があるのでミハエルの剣が届かないということはない。


 ただやはりやりづらくはあるようだ。

 あれだと初撃で潰さないと近接戦闘職には面倒な相手といえるだろう。

 とはいえ、アクアカッターも剣で切り裂くか避けているのでそのうちアクアドッグも死ぬだろう。

 ――まぁ、魔法を切り裂くなんて芸当をしているミハエルに正直驚くのではあるが。

 それもアダマンタイト剣になったからできることではある。

 鉄の剣ではできなかった芸当だ。



 一旦ミハエルの戦闘から目を離してエルナに目を向けた。

 ルーツで動きが止まっているミノタウロスは三体とも肩関節を潰されていて腕をあげることができなくなっていた。

 フィーネはすでに矢を撃つのを止めており、時折ミハエルの方に目を向けている。

 ミハエルの動きを見ているというよりはアクアドッグの動きを見ているのだろう。


 エルナはまだジャベリンに慣れていないので、時折発動に失敗しているが、順調にミノタウロスにジャベリンを撃ちこんでいる。

 発動に失敗したり外したりしてはいるが、一回当てればダメージはかなりあるようで、ミノタウロスは明らかに弱っている。


 エルナのだと、バレット五、六発分がジャベリン一発分というところだろうか。

 あと一回、しっかりと胴体に当てればミノタウロスは倒せるだろう。

 精度がしっかりしていれば心臓や頭部を狙って当てれば一発で倒せるが、これがバレットだと数発必要になってくる。


 そうして再びミハエルを見ると、いつの間にかアクアドッグは壁際近くまで移動していた。

 多分ミハエルが誘導したのだろう。

 ミハエルがさらに壁際へ追い込むように剣を振る。

 ミハエルの目論見通り、アクアドッグはさらに壁際まで後退した。


 その瞬間、ミハエルは壁に向けて走りジャンプすると壁を蹴り、アクアドッグへと急接近した。

 アクアドッグは予想外の動きだったのか、反応が遅れ、その遅れはアクアドッグの死へと繋がった。


 アクアドッグに急接近したミハエルは素早く剣を振り下ろした。

 アクアドッグが慌てて後方に飛んだが、飛んだ先で首がズルリと落ち、そのまま空中でボフンと音を立てて消えた。

 消えたところで何かが地面に落ちたようだ。

 ミハエルはそれを掴むとこちらへと歩いてきている。


 そこまで確認してからエルナに再度目を戻すと、どうやら一体目が倒されたようだった。

 そこでエルナがチラリと俺をみたので、俺はそのまま続けるようにと頷いた。


 戻ってきたミハエルはエルナの方を横目に見つつ俺に水鉱石を渡した。

 アクアドッグらしいドロップと言える。


「次からアクアドッグは任せる。ありゃ面倒だ」


 予想通りのミハエルの言葉に俺は頷いた。


「わかった。ああいうのは後衛向きの敵だからな」

「おう、頼むわ。 エルナは新しい魔法の練習か」

「ああ、もうバレットだけじゃ何度も撃ちこまないといけなくなってきてるからな」


 そうしてしばらくエルナを見ているとついに最後の一体も倒れた。

 そこには皮が落ちていた。

 俺は受け取ると、それを鑑定してみた。

 ---------------------

 ミノタウロスの分厚い皮

 状態:良

 詳細:ミノタウロスの分厚い皮で、非常に丈夫な皮である。防具としては非常に優秀ではあるが、通気性がかなり悪い。銀貨八枚の価値がある。

 ---------------------

 なるほど、通気性がかなり悪いということを除けばかなりいい皮ではあるが……。


「蒸れそうね」

「蒸れそうだな」

「蒸れそうです……」


 俺の説明に全員が微妙な顔をしてそう言った。


「だよな。防具の更新をしたかったんだが、もう少し待つか、モーナットビーストの皮で対処するか、だな」


 俺がそう言うと、ミハエルは思い出したのか少し眉を顰めた。


「ああ、あの気色悪いやつか。まぁ、もうちょい先でいい皮出すモンスターいなかったらそうするしかねぇかもな」

「そうだな。とりあえず今のところは問題ないし、六十五階までにいなければ検討しようか」

「そうね」

「はいです」


 一応ミノタウロスの皮は売らずに置いておくことにして、そのまま狩りを進めた。

 フィーネと俺は動きの速いアクアドッグを、ミノタウロス二体はミハエルに任せ、残りの一体はエルナにジャベリンで倒させることにした。


 エルナはなんとか魔法の発動を安定させようと頑張っている。

 最初の頃よりはだいぶ安定した感じはするので、今日一日ずっと撃っていればきっと安定するだろう。


 そうして何度か休憩を挟みつつも進む。

 エルナの訓練も兼ねているので、ミハエルもフィーネもかなりゆっくりあれこれ試しながら倒しているので、移動速度としてはかなりゆっくりだ。

 ガンガン進めば今日中に五十九階にもいけただろうが、今日は五十八階で泊りとなるだろう。


 まだ貴族パーティまでは時間があるので急ぐ必要もない。

 俺に全てを任せたミハエルはきっと驚くだろうなぁ。

 でもきっとミハエルにはよく似合うだろう。


「そろそろセーフゾーンに向かおうか」


 俺の声に全員が頷いたので、俺の先導でセーフゾーンへと向かう。


 五十九階へ下りる階段はすぐ近くなので、明日は五十九階からスタートになるだろう。

お読みいただきありがとうございます。

評価ブクマをして頂けますと喜びます。


修正:アクアバレット→アクアカッター

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闇の世界の住人達

前作になります。まだ連載中ですが、すでに最後まで書き終えています。

もし良かったら↑のリンクから見てみて下さい。

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